高嶺の花にはトゲがある
(噂、本当だったんだ…)
めちゃくちゃ煽るし…口も悪い。
「乃美さん、絡まれて大変だったのは分かるけど、あそこまで煽らなくたって…」
「は?花倉くんに関係ないでしょ。わざわざ間入ってきて…じゃあ」
乃美さんは、僕をキッと睨んで、行ってしまった。
(うっ……)
「へぇ…そら残念だな。新しい女探せば?あ、サッカー部のマネにさぁ…」
「だから、そういうんじゃないってばっ!…普通に友達になりたかったの…」
「もう、凪…」
周が、僕の頭を撫でて慰めてくれる。
「誰もが、旭みたいに素直なわけじゃないしね」
「旭、関わるのやめといたほうがいいぜ。だいぶやばい。」
「うん、そうだよね…」
悲しいけど、あっちも迷惑そうだったし…
(仲良くなりたかったのになぁ…)
「なぁ、旭一生のお願い!!掃除当番変わってくれっ!!」
「暇だし、いいけど…何かあるの?」
「じいちゃん入院しててさ、お見舞い行きたくて…!」
クラスメイトの仁は、頭を下げてくる。
「それなら、早く行ってあげなよ!やっとくからさ」
「さんきゅーっ!愛してる旭!!!!今度パフェおごる!!」
「うん、また明日ね」
走り出した仁を見送って、掃除を始める。
(他の人も、部活なのか…)
みんな大会前だから、忙しいみたいだ。
しょうがない。僕は文芸部、忙しくもないし、週3回しかない。
「意外と、やること多いなぁ…」
ひとりだと、だいぶ大変だ。
(よし、あとこれだけ…)
重いダンボールを、他の教室に移動させる。
「これぐらい持てっ…ない………」
重すぎて、ビクともしない。
(かっこわる…誰もいないよね!?)
「僕だって男なんだっ!これぐらいちょっと力入れればいける…っ」
5分間、頑張ったけど無理だった。
(他に、誰か残ってないかな……)
プライドを捨てるしか無い。このままじゃ一生終わらないし…
「あっ」
思わず、声を出してしまった。
「…花倉くん」
廊下を歩いてきたのは、乃美さんだった。
(やばい……めっちゃ睨んでるっ……)
「乃美さん、帰宅部だよね?委員会かなにか…」
せめて、会話を繋げようと頑張って話す。
乃美さんは、何も言わずにダンボールをひょいっと持ち上げた。
「これ、どこ」
「あ、えっと…視聴覚室です…」
「あそ」
(…運んでくれるって、こと……?)
「乃美さん、ありがとう。手伝ってくれて」
「別に。持ち上げようとしてんのずっと見えてたし」
(見られてたんだ…)
乃美さんは、ふいっと顔をそむけて、1枚の紙を渡してきた。
「じゃあね」
〔 ごめん 〕
何度も消しゴムで消した跡があった。
めちゃくちゃ煽るし…口も悪い。
「乃美さん、絡まれて大変だったのは分かるけど、あそこまで煽らなくたって…」
「は?花倉くんに関係ないでしょ。わざわざ間入ってきて…じゃあ」
乃美さんは、僕をキッと睨んで、行ってしまった。
(うっ……)
「へぇ…そら残念だな。新しい女探せば?あ、サッカー部のマネにさぁ…」
「だから、そういうんじゃないってばっ!…普通に友達になりたかったの…」
「もう、凪…」
周が、僕の頭を撫でて慰めてくれる。
「誰もが、旭みたいに素直なわけじゃないしね」
「旭、関わるのやめといたほうがいいぜ。だいぶやばい。」
「うん、そうだよね…」
悲しいけど、あっちも迷惑そうだったし…
(仲良くなりたかったのになぁ…)
「なぁ、旭一生のお願い!!掃除当番変わってくれっ!!」
「暇だし、いいけど…何かあるの?」
「じいちゃん入院しててさ、お見舞い行きたくて…!」
クラスメイトの仁は、頭を下げてくる。
「それなら、早く行ってあげなよ!やっとくからさ」
「さんきゅーっ!愛してる旭!!!!今度パフェおごる!!」
「うん、また明日ね」
走り出した仁を見送って、掃除を始める。
(他の人も、部活なのか…)
みんな大会前だから、忙しいみたいだ。
しょうがない。僕は文芸部、忙しくもないし、週3回しかない。
「意外と、やること多いなぁ…」
ひとりだと、だいぶ大変だ。
(よし、あとこれだけ…)
重いダンボールを、他の教室に移動させる。
「これぐらい持てっ…ない………」
重すぎて、ビクともしない。
(かっこわる…誰もいないよね!?)
「僕だって男なんだっ!これぐらいちょっと力入れればいける…っ」
5分間、頑張ったけど無理だった。
(他に、誰か残ってないかな……)
プライドを捨てるしか無い。このままじゃ一生終わらないし…
「あっ」
思わず、声を出してしまった。
「…花倉くん」
廊下を歩いてきたのは、乃美さんだった。
(やばい……めっちゃ睨んでるっ……)
「乃美さん、帰宅部だよね?委員会かなにか…」
せめて、会話を繋げようと頑張って話す。
乃美さんは、何も言わずにダンボールをひょいっと持ち上げた。
「これ、どこ」
「あ、えっと…視聴覚室です…」
「あそ」
(…運んでくれるって、こと……?)
「乃美さん、ありがとう。手伝ってくれて」
「別に。持ち上げようとしてんのずっと見えてたし」
(見られてたんだ…)
乃美さんは、ふいっと顔をそむけて、1枚の紙を渡してきた。
「じゃあね」
〔 ごめん 〕
何度も消しゴムで消した跡があった。