高嶺の花にはトゲがある
[明朝体]僕の隣の席には、美しい花が咲いている。[/明朝体]
僕は、[漢字]花倉旭[/漢字][ふりがな]はなくらあさひ[/ふりがな]。
平凡な、男子高校生だ。
そんな僕の隣には、『高嶺の花』と呼ばれるような美人さんが座っている。
2年生になって、初めての席替えで隣の席になった、[漢字]乃美菫[/漢字][ふりがな]のみすみれ[/ふりがな]さん。
大きくて綺麗な瞳、長いまつげ、高い鼻。
身長も高くて、すらっとしてる。
(…僕より高くないか…?)
高嶺の花と呼ばれるのもうなずける。
友達数人が声をかけたらしいけど、見事に全部無視。
噂だけど、性格が悪いって聞いたこともある。
「なぁ、旭。結局乃美さんとは話せた?」
お昼休み。
食堂の端っこの席で、幼馴染みの[漢字]凪[/漢字][ふりがな]なぎ[/ふりがな]と[漢字]周[/漢字][ふりがな]あまね[/ふりがな]とお昼ご飯を食べている。
「それが、まだで…」
「はやく話しかけろよ…」
「だって…いっつもひとりだし、なんか緊張して…」
「はぁ…」
凪は、呆れて大きなため息をつく。
乃美さんは、休み時間はずっと読書。
僕は読まないような分厚い本を読んでいるから、その話題を振ることもできない。
移動教室も、ひとりでそそくさと行ってしまうし…
「まぁ、ひとりでいるのが好きな人なんだろうね。ちょっと話しかけにくいのは分かるよ」
周は、凪と違ってフォローをしてくれる。
「てか、あの人性格悪いって噂なかったっけ…?」
(今日は部活ないけど、凪も周も部活かぁ…)
あのふたりは、サッカー部。
僕は文芸部。
「ん…?あれ、乃美さんかな…」
廊下で、乃美さんが派手な女子数人に囲まれているのが見えた。
(絡まれてるのかな…)
こっそり近づくと…
[太字]「ねぇ、あんた調子乗ってない?」[/太字]
「乗ってませんが」
「乗ってるでしょ!?うちの彼氏があんたが好きって言い出して…!」
「それは私のせいじゃないので」
やっぱり、揉めてるみたいだ。
(助けたほうがいいかなぁ…)
「あんたさぁ!!」
女子のひとりが、手を振り上げたとき、もう僕は走り出していた。
「やめなよっ!!」
「…って、旭じゃん。なに?」
隣のクラスのアヤメ。去年同じクラスで、散々からかわれた。
「大人数で責めるなんてよくないよ!」
「だって、こいつが…」
乃美さんは、うつむいて何も言わない。
(泣いてるっ…?)
「ほら、乃美さん泣いて…」
「いや、泣いてないし。…ふふっ」
顔を上げた乃美さんは、なぜか笑っていた。
(笑ってるとこ、初めて見た…って、そうじゃなくって!)
「なんで笑って…?」
「だって、しょうもなくって。彼氏が、私に目移り?それは私悪くないわよ。だってそっちが勝手に好きになったんでしょう?私を責められても困るわ…」
(めっちゃ煽るな…)
案の定、アヤメはさっきよりも怒っている。
「覚えててよ!!」
捨て台詞を吐いて、アヤメは去って行った。
「すぐ忘れるから大丈夫でーす」
最後まで煽る、乃美さん。
[太字]「てか、あの人性格悪いって噂なかったっけ…?」[/太字]
凪の言葉が頭によぎる。
僕は、[漢字]花倉旭[/漢字][ふりがな]はなくらあさひ[/ふりがな]。
平凡な、男子高校生だ。
そんな僕の隣には、『高嶺の花』と呼ばれるような美人さんが座っている。
2年生になって、初めての席替えで隣の席になった、[漢字]乃美菫[/漢字][ふりがな]のみすみれ[/ふりがな]さん。
大きくて綺麗な瞳、長いまつげ、高い鼻。
身長も高くて、すらっとしてる。
(…僕より高くないか…?)
高嶺の花と呼ばれるのもうなずける。
友達数人が声をかけたらしいけど、見事に全部無視。
噂だけど、性格が悪いって聞いたこともある。
「なぁ、旭。結局乃美さんとは話せた?」
お昼休み。
食堂の端っこの席で、幼馴染みの[漢字]凪[/漢字][ふりがな]なぎ[/ふりがな]と[漢字]周[/漢字][ふりがな]あまね[/ふりがな]とお昼ご飯を食べている。
「それが、まだで…」
「はやく話しかけろよ…」
「だって…いっつもひとりだし、なんか緊張して…」
「はぁ…」
凪は、呆れて大きなため息をつく。
乃美さんは、休み時間はずっと読書。
僕は読まないような分厚い本を読んでいるから、その話題を振ることもできない。
移動教室も、ひとりでそそくさと行ってしまうし…
「まぁ、ひとりでいるのが好きな人なんだろうね。ちょっと話しかけにくいのは分かるよ」
周は、凪と違ってフォローをしてくれる。
「てか、あの人性格悪いって噂なかったっけ…?」
(今日は部活ないけど、凪も周も部活かぁ…)
あのふたりは、サッカー部。
僕は文芸部。
「ん…?あれ、乃美さんかな…」
廊下で、乃美さんが派手な女子数人に囲まれているのが見えた。
(絡まれてるのかな…)
こっそり近づくと…
[太字]「ねぇ、あんた調子乗ってない?」[/太字]
「乗ってませんが」
「乗ってるでしょ!?うちの彼氏があんたが好きって言い出して…!」
「それは私のせいじゃないので」
やっぱり、揉めてるみたいだ。
(助けたほうがいいかなぁ…)
「あんたさぁ!!」
女子のひとりが、手を振り上げたとき、もう僕は走り出していた。
「やめなよっ!!」
「…って、旭じゃん。なに?」
隣のクラスのアヤメ。去年同じクラスで、散々からかわれた。
「大人数で責めるなんてよくないよ!」
「だって、こいつが…」
乃美さんは、うつむいて何も言わない。
(泣いてるっ…?)
「ほら、乃美さん泣いて…」
「いや、泣いてないし。…ふふっ」
顔を上げた乃美さんは、なぜか笑っていた。
(笑ってるとこ、初めて見た…って、そうじゃなくって!)
「なんで笑って…?」
「だって、しょうもなくって。彼氏が、私に目移り?それは私悪くないわよ。だってそっちが勝手に好きになったんでしょう?私を責められても困るわ…」
(めっちゃ煽るな…)
案の定、アヤメはさっきよりも怒っている。
「覚えててよ!!」
捨て台詞を吐いて、アヤメは去って行った。
「すぐ忘れるから大丈夫でーす」
最後まで煽る、乃美さん。
[太字]「てか、あの人性格悪いって噂なかったっけ…?」[/太字]
凪の言葉が頭によぎる。