「群馬、僕と付き合ってください？」
「…キモイ」
なぜ同姓の栃木に告白などされなければならないのだろうか
確かに最近はこいつの行動がおかしかったりはした
行動がおかしいと言っても、気が狂ったとかそういうものではない
以前まで嫌悪感を表していた俺に対していきなり『好きです、付き合ってください』とか言われても対処できるわけがない
突っ込むのが遅れたが、なぜ疑問系なのだ
しっかりと言いなさい
しかし、俺に対してなぜ愛が芽生えてしまったのだろうか
本当に以前までなら、一緒にされるだけで喧嘩が勃発しワンチャン殴り合いにまでなっていたというのに
「群馬、だめ、かな？」
「あ゛ー…」
俺は正直迷っていた
俺が『考えさせてください』とか言えば、こいつはどう思うのだろうか
自分は『フラれた』と思うだけだが、栃木はどうだろう
県民性が全く逆だ
しかも大っ嫌いなライバルの好みとか五兆積まれても知りたくなんてない
「さ、流石に無理だなァ…」
自分の口から自然に出てきた言葉がそんなものだった
「無理かぁ…なら、群馬の好みになれるように頑張るから！」
…は？
こいつは何を言っているのだ
何でこんなところで健気になる？
しかも俺の好みって、俺の好みは男ではない、女だ
栃木は嫌いだし、どうにもならないと思う
「あいつ…大丈夫か？」
・・・
「群馬！好きだ付き合ってくれ！」
「次はあんたですか埼玉さァァァァァァァァァん！？！？！？」