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車に、感謝を。

#2

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今日は売る日だ。
ワクワクすが、悲しい気持ちもある。

両親は、よく分からない紙に印鑑を入れていた。
あの車はどうなるのだろう。
ふと、私は思ったので、両親に訊くと、
「潰す。」
その一言しか返ってこなかった。
潰す……
私は心の中でひたすら呟いた。

私は気になり、ネットで調べてみた。
すると、思っていた以上に残酷だった。
あの車も……
考えると心が痛くなる。
家族の思い出がいっぱい詰まった車を、そんな思い出なんて知らない、全く関係ない人によって押し潰される……
車は機械だから心も何もない。
だけど痛さが伝わってくる。

だったら知らない人に乗ってもらいたかった。



別の車に乗り、その場を離れる。
段々と思い出が沢山詰まった車が遠くなる。
私は何も言えなかった。
何かを言うと涙が出そうになりそうで怖かった。


その日の夜、私はふと考えた。

いつもと違う場所で、ひとりぼっち。
何をされるか分からない。
[漢字]家族[/漢字][ふりがな]あの人たち[/ふりがな]は悲しそうにこちらを見て別の車でここを去った。

そう車は思っているんじゃないか。
更に胸が痛くなる。


機械には心はない。だけど、私は心があると信じている。

あの車は“人々を安全に乗せる。楽しませる”という役目を果たした。
あの車は楽しかっただろう。
約10年間、遠くまで行って、みんなで笑って──

もう、会えなくなるけれど、写真があるから大丈夫。

……文章がおかしいって?
だって、泣きながら書いているから。



ここで言います。


[大文字]約10年間、私達を楽しませてくれてありがとう。[/大文字]

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2024/09/16 22:58

貴志柚夏 ID:≫93Mvld0Raw8pg
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