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【僕は俺>俺が勇者になった理由】〜異世界行って人探しのついでに英雄になってやる〜

#4

朝の3時間が重すぎる

「おい、起きろ〜。おい!聞こえてるか〜!ちっ、とっとと起きろ!ワテを待たせるな!!」
「ぐへっ!!」

リュカ蹴飛ばされて、勢いよく吹き飛ぶ俺は木に受け止められる。

死ぬ!死ぬ!え?意味わかんない…!?普通寝てるやつ蹴り飛ばして起こす?え?おかしくない?マジで、自分が人間じゃないことわかってやってんのか…俺じゃなかったらマジで骨折れてたよ!?なんなら目が飛び出るとこだったよ?


「ななな、なんで!?なんで蹴ったんですか!?」

絶対腫れて、赤くなってるよ…俺じゃなかったらマジでこいつ殺してた。なんなら許さないよ!マジで恨むわ…一回マジで死んでくれ!

「ふっ、ワテを怒らせる奴が悪いんだ」

何こいつ、、、人間じゃないこと本当に自覚してほしい。じゃないといつか冗談じゃ済まない…てかまだちょっと暗いよ。まだ寝ててもよくない?なんで俺起こされたの?

「これを着ろ」
「うわっと」
リュカは持っていた黒い服を俺に投げ渡す。
「お前のその格好はみすぼらしい。ワテの予備で持っていたものだが我慢しろ。簡単には破けないし、燃えない。おまけに水を弾く」
「へえ、便利な服っすね」

俺は血で赤くなり、穴だらけのパジャマを脱いで着替えた。おれ、こんな服で昨日寝てたのかよ…。


「よし、いくぞ」
着替えた俺の胸ぐらを掴みながら引きずるリュカ。
「いや、ちょっ、あああ…引っ張らないで〜!いくぞってどこにですか!?それだけでも言ってくださいよ…!」
「ちっ」

え、今舌打ちしたよね?え?なんでキレてんの。これ俺が悪いの?いいからその手を離してください…

「朝飯のために準備するんだよ」
「準備…?」
「ああ、ちょうどここから西へ3km先にフォールディアの群れがいるっぽいからな、そいつらをチョチョイと狩ってさばいて、食おうってな」

「よく3km先にいるってわかりましたね」
「昨日ちょっくら、ボアを狩ってくる途中でな、みっけたんだよ」

そんな、昨日スーパーで歩いてたらたまたま友達にあったときみたいな言い方しないで。

「それでフォールディア…?ってやつはなんですか」

「全長4m、長い焦茶色の毛、そして太い首の頭から90cmくらいの角が生えてる魔獣。動物で言ったらそうだな、鹿だな。10頭以上の群れで行動する。単独で行動するやつの方が珍しい。ベースが鹿ではあるが、怒らせると手に負えないバケモンだ。まあ、こいつらの肉は結構美味しいし、ツノと毛は金になる。魔石も場合によっちゃデカくて綺麗なのが取れるだろうな」

「魔石が取れる…じゃあ魔法を使ってくるんですか?」
「ああ、使ってくるだろうな。だが魔法ってもんはな個性だからどんな奴がどういう魔法使ってくるかはわかんねえな」
「へえ〜じゃあ、出会って戦うまではわからないと…」

あれ…これなんか流れ的に戦う感じですか…?え?すげえスルーして感心してたけど、俺はなんでこんな狩りにつれていかれようとしてるんだ?

「俺は行かなくていいのでは?」
「バカか、お前はどうやら目がいいらしいからな…魔力の流れを見ることができるんだ。それが使えるようになればお前の武器になるぞ。だから手っ取り早い方法で体に叩き込んでやるんだよ」
「ああ、つまり実践で…」

なるほど…だから俺を連れていくのか。その魔力の流れを見れるようにするため。

「…」
「…」

「いや、いや、俺は絶対にいきませんよ!!!」
「はあ?今更何言ってんだよ」
「いや、だって!そのフォールディアってやつ4mあるバケモンなんでしょ!?

ツノは以上に長くてデカい!さらに魔法で攻撃してくる!?冗談じゃないでしょ!そんな奴が群れで10体以上も…意味がわかんないですよ!」

俺は戦闘未経験者。日本という治安がよく平和な街で暮らしていた俺が、まともに戦えるわけない!!俺はただ死ににいくようなもんだろ!

「だいたいですよ!!朝から蹴り飛ばして起こすなんておかしいでしょ!!!」

俺は勢いで、頭の中にある言葉全部吐き出した。何もかも全部言った。
そのせいでリュカはプツンと切れたのか、
「うるせえな!!黙って人の話を聞けええええ!」
「ああ!やめて掴まないで!!え!?あっグーはやめて!うあああああああああああぶはっ!、ぶへっっ!!!」

俺の右頬に強烈なストレートが入った。勢いのあまり今回二度目の木にぶつかる。
死ぬ!死ぬ!だからなんでこの人はこう、加減をしてくれないの!?マジで骨折れるよ?俺じゃないと死ぬからな!!!

「ちゃんと考えはあるんだよ!ワテはバカじゃない!!」
「ああ、そうなんですか。それなら早く言ってくださいよ」

はあ、頬が腫れていることがわかる。真っ赤になった。それに背中が二回目だからかめっちゃ痛い。

「いいか、今回はこの狩の時間でしっかりその魔力の流れを見えるようにしろ」
地面に座り込んでいる俺の目を指差しながら言葉を捨てる。

「はい…」
「よし!いいだろう。ついてこい…」
「はあ…朝から重いな…」

いまだにヒリヒリする背中を押さえながら、リュカの後ろについて行った。

[水平線]

「はあ!はあ!やばいやばい!マジでやばい!」
『キュルルルルルルッ』
「うああああ!くるなああああ!」
俺はなんでこうなっているのか全くわからない。とりあえず今全力で走っているのはわかるだろう。なぜここまで全力走るかって?それはだな、今俺の真後ろで、全長7mのキングスパイダーってやつに追いかけられてるからだ。

遡ること10分前…

「(おい、しゃがめ…)」
「ブヘッ!!いきなり何するんですか!!」
リュカに頭を地面に叩きつけられる。

「(おいばか!黙れ!前見ろ前!)」
「前?」

数十メートル先にいる黒くてデカい蜘蛛…そいつは目が8つあり、足の長さだいたい3m…キモっ!!おれマジでむしとか無理なんですけど!!!

「(あれは、キングスパイダーだな。お前ちょうどいいあいつの魔力見てみろ)」
「(ええ…そんないきなり言われても…)」
「(いいから早く!)」
「(はあ、、、わかりましたよ)」

目を細めたり、開いたりを繰り返してやっと魔力の流れを確認できた。なんだろう…少し色があるように思えるけどこれはなんだろう。まだいまいち使い方が悪いせいかはっきりわからない。

「(ダメですよ全くわかんない)」
「(う〜ん、あいつの魔法がわかれば戦えるだろうに)」

いや、やめてよ…あんなやつと戦うなんて…俺がキングスパイダーを再び見た瞬間、8つの目のうち1つの目と合う。
「え…?」
「まっずい、バレたは!走れ!」
「えっちょ!置いてかないで!!」



現在

「うおおおおおおお!逃げろおおおお」
走れ!走れ!走れ!後ろを振り返るな!振り返ったら死ぬ!走れ!

キングスパイダーは、一定の距離を保ち決して近づこうとはしない。それには理由があるからだ。

大きく口を開け、サクマに向かって白い何かを飛ばす。
「うおおっ!!!な、なんだ!?」

走る俺はいきなりこけた。足に引っ付いているのは糸…クッソ!こいつは蜘蛛だったことを忘れてた。

視界がぼやける…頭の中がホワンホワンする。似たようなことがついこないだあった。

「なんか知らねえけど!俺には効かねえよおおおお!」
覇気と気合いで吹っ切らせる俺に、キングスパイダーは驚愕する。

『キュエエエエエエエ!!』
そして何かに対して怒っているのか、奇声をあげグルグル巻きの俺を足先にあるカニのようなハサミで持ち上げる。

「あえ、いや!いやだよ!食われたくないよやめてえええ!」


ああ!やばい!食われる!なんで俺はこうも何かに食われやすいのだろうか!結局似たようなことをやってるよね!

「させるかよ!!!」

勢いよく飛んできたリュカは、キングスパイダーの顎をぶん殴った。
「ふう、間に合った…」
キングスパイダーは、リュカの拳で吹き飛びワンパンされた。もちろん俺は地面へと落ちるが、リュカの華麗なる着地で抱っこされる。

「リュカ、剣いらないのでは?」
「ああ?まあ、剣なんて所詮飾りだぜ。じゃ魔石取ったら、次行こうな」
「え?」
「え?」
「流石に嘘でしょ!?」
「バカやろう!お前、あの蜘蛛を食えるわけねえだろうが!!」
「うあああああああああああ」

[水平線]

色々あった。3km…たった3kmなのにどっと疲れた。まあ、色々成果はあったけどね。それもクソグモの後に色々出会ったからな。クソムカデに、クソダンゴムシ…クソバッタ。どいつもこいつもクソだった。

「結構、魔力の流れが見えるようになってきたな」

気づいたこととしては、それぞれ属性によってうっすら色があること。はっきりは見えないけど、リュカだったら風魔法を使うから魔力の流れが白く光る。魔法発動時、その色とオーラは大きく、濃くなるんだ。

「これが極まれば、魔法発動時どこを狙ってくるかわかるんだろうな」

まるで予知眼のような、未来視ができるんだ。

「おい、ついたぞ」
リュカの言葉に、顔をあげて考えるのをやめる。森から開けた場所に13体のフォーディアがいる。そして一際デカい傷のあるディアがおそらくこの群れのボスであろう。

「(とりあえずもう少し近いところであいつらの魔法を確認しよう)」
「(そうっすね)」

森から出ないギリギリで、匍匐前進しながら移動しディアの見える位置に移動する。

「(ああ…基本どれも火魔法ですかね…?)」
赤く光る魔力の流れはメラメラしていた。
「(火魔法かそこそこにめんどくさいな)」

「(あれ、なんかあいつだけ流れが違う…なんかバトバチしてます)」

「(まさか強化魔法の雷か…これは伊達に年数を生きてないとああはならないだろう)」
「(倒せますかね?)」
「(ワテを誰だと思っているんだ)」

そして立ち上がるリュカは剣を抜き、俺に言う。

「サポートはよろしくな。じゃいくぞ」
「はいっ!!」

ディアの群れに突っ込むリュカ。それを追いかけるように走る俺は、全力でサポートする。
突っ込んでくる俺たちに気づいた傷のディアは仲間に向かって吠え始める。

「リュカ!奥の二体から魔法が発動される!結構でかいぞ!」
「了解!!」

言った通り、1番奥にいる2体のディアは直径1mの火の玉を放つ。

「ほう、確かに見えているんだな」

足の筋肉が膨れ上がり、そのまま空中へと飛び上がるリュカ。風魔法で巨大な火の玉を上から相殺させ、消しとばす。着地を狙ったのか右側のディアがリュカめがけて突進をし始める。合わせて傷のディアは雷を発動さえようとする。

「雷がくる!どうにかしてくれ!!」
「おう!雑な指示だ」
ディアの突進はタイミングがズレる。リュカは風魔法を使うんだ。着地の軌道くらいずらせる。
センチ単位でのズレが仇となり、突進してきたディアはリュカの着地のクッション、そして雷魔法を防御するための盾になる。

雷が直撃したディアはマルコげになる。

「次!9対同時の攻撃がくる!」
「連携がここまで来るディアは初めてだ!!面白い!」

俺には一瞬すぎて見えなかった。あまりにも速すぎる発動、魔力の流れに…

「風葬・速進・20連」

ディアの魔法が発動したはずなのに、リュカは一個も当たらず吹き飛ばした挙句、9体全ての首を切り落とした。
「残り3体!楽勝さ」
「あいつはやばい」

つくづく思う。俺はこつの敵じゃなくてよかったって…

「ここからもう、楽勝だ…」
そう言いかけたとき、
『ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!』
「ぐがあっ…!!」

あまりの音の大きさに、鼓膜が壊れそうだ…!地面が揺れて、空気が揺れて、何もかもが震える。
そして俺は気づいた、この咆哮の最悪な能力…これはこいつら特有の魔法…鳴き声に魔力を乗せて増幅させることにより、振動が激しくなり、聞いたものの動きを封じる魔法。

傷のディアはさらに雷魔法を発動させてリュカに放つ。
「まずい!リュカ!」
「むっ!!」
直撃…土煙で見えなくなる。俺は失敗した。リュカに気を取られたせいで、傷のディアが土煙の中から突進で近づいていることに。

「こいつ俺狙いだったのか…!」

まずいこのままいけば俺は轢き殺される…!!それは嫌だ!!絶対に嫌だ!何か策はないか!?この危機を打開する策!

さっきの咆哮で足が痺れて逃げることもできない。もうすぐそこまで来ているというのに!!
「サクマ…!!!くっ!間に合わないか!邪魔だどけええ!」
リュカは残りのディアのせいでこっちに来れない。どうする…
『四大元素、基本魔法だ』

あの時のリュカの言葉が頭に浮かぶ…

「ええい!!どうにでもなれえええええええええええええええ!!」
両腕をディアに向かって突き出す。

こいつの脳天をぶち抜くような最強の弾丸!!俺の頭の中でイメージが、想像が固まった瞬間全身の魔力が一気に腕に集中していき大きな弾を作り上げる。

「できた!!!!いけええええええええ[漢字]土魔力砲弾[/漢字][ふりがな]アース・キャノン[/ふりがな]!!」

生成されて土魔力砲弾は突進をかまそうとするディアの頭めがけて発射され回転しながら直撃し爆発した。
反動がつよすぎるため、後ろに吹き飛び、腕は激痛がはしった。


「た、倒した」

だがそれ以上に、倒した喜びの方がデカかった。








このボタンは廃止予定です

2024/10/30 21:59

愛猫茶 ID:≫972W/z4G4BVy6
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