【僕は俺>俺が勇者になった理由】〜異世界行って人探しのついでに英雄になってやる〜
青い光に包まれた俺は、今謎の森に立っている。
「ほんま意味わっかんね」
あたり一面が木…どうやったらあの一瞬で家から大森林に来れるのだろうか。とりあえず居ても立っても居られない俺は、歩き始める。
「あれ、俺裸足じゃん」
そっか一応俺はベットで寝ていたんだから服装もパジャマに靴下すらない。直足で歩くのも悪くはないな。結構気持ちいい。
「とりあえずここはどこかだよな」
大森林、アフリカ?オーストラリア?アマゾン?、まあそこら辺だろうか。まかり間違ってどこか別の世界に来たとかなければいいが。まあ、そんな話があるわけないか。いや、すでに家でないところに3秒も使わず移動してる時点でおかしいのか。
「ますます意味がわからない」
まじで混乱している。何を考えても答えが出ない感じがしてイライラしてくる。
そもそも、あの夢の時からおかしいんだよ!!あれが始まりでこんなところにいるんだよ。
ああ、なんだかお腹すいたな…頭使ったせいでもあるし、だいぶ歩いたと思う。何か食べ物はないだろうか。
「いや、森!!緑すぎてわかんねえよ!」
てかこんだけ歩いて人はまずいないかもしれないだろうけど、動物にも出会わないとかマジかよ。全然森抜けれないし。
歩いて俺の体感時計30分だろうか。そろそろ足が痛くなってきた。くっそ、こんなことになるんだったら運動しとけばよかった…
「なんか、痛い‥」
左腕につけてあるブレスレットを外してみると、手首をぐるっと一周するようにギザギザと赤くあざができていた。それも濃ゆくて、消えることはないだろう。
「うわっ最悪…」
「はあ…」深いため息をしながらブレスレットを付け直す。
ん?俺なんでブレスレット付け直してんだ。俺はこいつの光でここに、こんなところに飛ばされたんだから外して捨てた方がいいのでは?
「いやいや、流石に先輩に貰ったものを捨てられるわけない」
そう言いながらブレスレットを外そうとする。
「おかしいな…さっきは外れたよな」
ロックがかかって取れなくなってしまった。
「詰んだ…」
[水平線]
森の木が少なく、明かりが入ってきた。どうやら森を抜けているのだろう。ほんと、長い散歩だったな…
「おお」
思わず声が出るほどのあたり一面がたくさんの種類の花で埋まっている。カラフルで知らない花ばかり。なんなら見たことない花ばかりだ。ここって、地球か?
でも、明らかな不規則で種類もバラバラ。俺はどこか不気味さを感じた。
「なんだあれ」
目を細めながら花畑の奥の方を見る。黒い渦?のような強いて言うならブラックホールだろうか?見ていてとてもきみが悪い。少しだけ近づいていくと黒い霧が薄ら、かかっている気がする。この引き込まれる感覚はなんだろう。それどころかクラクラしてくる。
「あれっ…?」
いつのまにか鼻血を出していた。それも結構な量だ。意識も朦朧として、右膝から崩れ落ちる。頭が痛い…息もしづらい…これ
「やばい…死ぬ…かも」
脳が直接揺れる感じ、とてつもない吐き気と眩暈。
「呼吸が…ガヒュッ、ゴホッゴホッ…」
口から大量の血が出てきた。まさか吐血?俺はそんな病気あったか?
「まさか…この黒い霧が…」
地面に倒れ込み目がだんだん開かなくなる。
俺は悟った。
ああ、終わりか。俺はもうここで死ぬんだな。そうかここは死後の世界なのかも。何もかも終わったんだ。
地面にめり込むかのように取り込まれていく。体全体がツタのようなもので巻かれていき沈んでいく。
そうか、このまま俺は楽になれるのか…ああ、楽になろう。
この痛みが、だんだん心地よくなってくる感覚は、俺を麻痺させる。
全てを投げ捨て、生きることすらもやめようとした瞬間。つけていたブレスレットが光、左手首の痣に刺激が走る。その瞬間先輩の顔が脳裏をよぎった。
「せ、んぱ…い」
ああ、そうだよな。俺はここで終わったらだめだよな。俺にはやるべきことがあるんだよ。
「簡単に死んでたまるかあああああ!!」
埋もれかけた体を全力で起こし、はいあがる。最後まであがけ…!
「うおおおおおおおお」
体に巻き付くツタはまるで生きているかのように動いている。
服は破け、腕や足は血が止まらず出血を続けている。痛い…痛い…ー痛い。
(我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢)
「があ、がああああああああああああ!」吐血で掠れた声。俺はそれでも気合いで目を覚ませる。
そして、ギリギリで出て来れた。
「脱出せいこ…」
喜ぶのも束の間だ。俺のすぐ目の前には口を開けて今にも食われそうになる。
見たこともない…生き物。こいつ、植物なのか?いかれてやがる!!
「し、死んでたまるかあああ!!やっと出て来れたのに…食われてたまるかああ!!」
泣きながらも、目の前の化け物に殴りかかる俺は心も体もボロボロだった。
「ちくしょおおおお!!」
『シャアアアアアアアアア』
俺の声は化け物の咆哮にかき消され、拳は届かず化け物の口の中に頭が入りかけたときだった…
『ドドドドコオオオオオオオオオ!!』
目の前にいた化け物は、いつのまにか轟音と爆風で消えていた。
「ふぇ…?」
俺の目の前に立つ、真っ黒な肌に銀髪でそして特徴的な耳と尻尾がある女性?
「よく持ち堪えた!!人間!あとはワテに任せろ!!」
犬歯と、赤い目は明らかに地球上の生き物ではない。
「わ、ワテ?」俺は、彼女の一人称に印象を受けたがそれどころではない。
「フハハハハ!!ファントムフラワーの精神攻撃を耐える人間はそうなかなかいないぞ!貴様見どころがある!」
俺はこの状況についていけない。なんだよ見どころって…
『シャアアアアアアアアア』
「むっ、まだいるか。やはり黒渦をぶっ壊した方がいいか」
右手に持っていた黒くてデカい剣を片手で構え、そこから一振りで複数の化け物を軽くあしらう。その衝撃波は周りの花すらも消し飛ばした。
「なんだこの程度か」
いやいやおかしい!!俺は何にもできなかったぞ!それもこう、いとも簡単に剣一振りで消し飛ばすなんて…!てかなんでそのサイズの剣を片手で持ってるの!?剣?そもそも剣なんで振り増してるんだよ!しっぽに犬耳生えてるし!
「おっ、これが最後か」
「デカ…」
さっきの化け物とは比べもんにもならないくらいデカい。推定15mだろうか、頭にはデカい花と口、たくさんの触手のようなツタがウネウネと動いている。
「こいつ、まさか強化魔法を使えるのか」
「えっ?」
ん?ま、魔法って言った!?え、ちょ…は?
「ここの黒渦は相当な量の瘴気が溜まっていたのだろうな…」
この命の恩人は、何者だろうか…
「少しだけ本気を出そう」
その瞬間謎のオーラが見えた。一瞬だけど…何か纏っているのか?この圧はなんと言うか気迫とは別の何かだ。モアモアとした温かみのあるものは…
「フン!!」
彼女は足に力を入れた瞬間俺の目では追えないスピードでデカい奴に突っ込んでいった。時速100kmをとうに超えているようにも見える。彼女の踏み込んだところの地面は半径3m級のクレーターができてる。
「ハアアア!」
襲いかかる触手は、全てあの大剣で切り倒されていく。右に左に華麗なステップを踏んでいく彼女の動きは明らかに人間ではなかった。超人…いや彼女こそが化け物だったのかもしれない。
「風葬・雷神」
彼女はそういった瞬間、突風が巻き起こり雷が落ちたような音が鳴る。
デカい奴は、振り下ろされる黒い大剣で真っ二つにされた。
紫色の血のようなものが吹き出して、彼女の顔半分にベシャリとかかった。
「ふう、これで終わりだな」
よく見れば、黒い渦もなくなって霧も全て消されていた。
「ああ、俺はもしかしてとんでもないところにきてしまったのかもしれない」
[水平線]
彼女は歩いて、俺の方に近づいてきて手を差し伸べる。
「ほら、立ちな」
「は、はいありがとうございます」
「いいってことよ。うん?お前よく見ると黒い髪だな…」
「え?」
興味深々で見てくる彼女は、ニヤリと笑い右肩に手を乗せてくる。
なに?なんか俺は今絶対に目をつけられたよな。完全いやっちまったか?
黒髪がそんなにも珍しいのか?
「ワテは狼王リュカオーンだ!!」
「え?あ、俺は、サクマ・リョウタです?」
唐突で反射的に答えたが自己紹介ってこれで合ってるのか?もしかして逆の方が良かったのかも…リュカオーンってなに?聞いたことないよ。強いて言うなら俺の家にある小説くらいだよ。
「しっかしこんな島になんでいるんだ」
今度は不思議そうに俺を見てくる。すげえ表情豊かな人だな…名前もだけど狼王って何よ。なんかさっきから似たようなこと言ってる気がする。
「俺もなんでここにいるかわかりません」
「ほう…」
また考え込むかのように、腕を組み俺をじっと見つめてくる。
「あの、なんですか?」
「お前は、目も黒いんだな…」
その質問?に俺ははてなになる。
「おい、お前その目もしかして見えるのか?」
「は、はい?」
何を言ってるんだ。あんたまさか実は幽霊なんですけどっとか言わないよね。
「ワテのこのホワホワしたものだ」
「ああ、はいなんとなく薄らですけどね。さっきの化け物と戦った時よりは全然小さいですけど」
あの時のフウソウ・なんちゃらってやつ…すげえ速さで移動してたし。
その時、一瞬何かを纏うのか、放出するのかよくわからないがブワアアアってなった。
「そうか、これが見えるのか。黒髪に黒目かもしかして…とりあえず服装からしてここのものではないだろう。貴様はどうやら色々訳ありだろうな」
訳ありって何よ…俺がやべえ奴みたいな言い方されてるけど。
服装は…まあ確かに俺の着ている服はパジャマだ。もう半分くらいちぎれて血で染まったけど。それと反対にリュカオーンのは黒と白で作られた民族的なものだ。
よく見ると金色のアクセサリーをしているな、それに靴もなんだか俺の知っているものとは違う気がする。
「あれ、なんか…また」
何かが解けたのか俺はまた膝から崩れ落ちる。さっきのとは違いこれは疲労だろう。あまりの出来事に体が追いつけていないのだろうか。これが全部1日の出来事だったら信じられない。信じるの信じないもくそもないけど…
「フハハハハ、相当な無理をしていたのだろうな。安心しろワテは貴様を気に入った。殺しはしない!
「はは…そうっすか…」
リュカオーンの言葉に少し安心し、俺は深い眠りについたのだった。
「まさか、ここで会えるとはな…これはデカい収穫。そういえば王都にもいたっけな?まああれは王の命令で召喚されたのだが。これならあいつをぶっ殺せそうだな」
何か独り言を呟くリュカオーンは、リョウタを抱えて森の中に入って行った。
「ほんま意味わっかんね」
あたり一面が木…どうやったらあの一瞬で家から大森林に来れるのだろうか。とりあえず居ても立っても居られない俺は、歩き始める。
「あれ、俺裸足じゃん」
そっか一応俺はベットで寝ていたんだから服装もパジャマに靴下すらない。直足で歩くのも悪くはないな。結構気持ちいい。
「とりあえずここはどこかだよな」
大森林、アフリカ?オーストラリア?アマゾン?、まあそこら辺だろうか。まかり間違ってどこか別の世界に来たとかなければいいが。まあ、そんな話があるわけないか。いや、すでに家でないところに3秒も使わず移動してる時点でおかしいのか。
「ますます意味がわからない」
まじで混乱している。何を考えても答えが出ない感じがしてイライラしてくる。
そもそも、あの夢の時からおかしいんだよ!!あれが始まりでこんなところにいるんだよ。
ああ、なんだかお腹すいたな…頭使ったせいでもあるし、だいぶ歩いたと思う。何か食べ物はないだろうか。
「いや、森!!緑すぎてわかんねえよ!」
てかこんだけ歩いて人はまずいないかもしれないだろうけど、動物にも出会わないとかマジかよ。全然森抜けれないし。
歩いて俺の体感時計30分だろうか。そろそろ足が痛くなってきた。くっそ、こんなことになるんだったら運動しとけばよかった…
「なんか、痛い‥」
左腕につけてあるブレスレットを外してみると、手首をぐるっと一周するようにギザギザと赤くあざができていた。それも濃ゆくて、消えることはないだろう。
「うわっ最悪…」
「はあ…」深いため息をしながらブレスレットを付け直す。
ん?俺なんでブレスレット付け直してんだ。俺はこいつの光でここに、こんなところに飛ばされたんだから外して捨てた方がいいのでは?
「いやいや、流石に先輩に貰ったものを捨てられるわけない」
そう言いながらブレスレットを外そうとする。
「おかしいな…さっきは外れたよな」
ロックがかかって取れなくなってしまった。
「詰んだ…」
[水平線]
森の木が少なく、明かりが入ってきた。どうやら森を抜けているのだろう。ほんと、長い散歩だったな…
「おお」
思わず声が出るほどのあたり一面がたくさんの種類の花で埋まっている。カラフルで知らない花ばかり。なんなら見たことない花ばかりだ。ここって、地球か?
でも、明らかな不規則で種類もバラバラ。俺はどこか不気味さを感じた。
「なんだあれ」
目を細めながら花畑の奥の方を見る。黒い渦?のような強いて言うならブラックホールだろうか?見ていてとてもきみが悪い。少しだけ近づいていくと黒い霧が薄ら、かかっている気がする。この引き込まれる感覚はなんだろう。それどころかクラクラしてくる。
「あれっ…?」
いつのまにか鼻血を出していた。それも結構な量だ。意識も朦朧として、右膝から崩れ落ちる。頭が痛い…息もしづらい…これ
「やばい…死ぬ…かも」
脳が直接揺れる感じ、とてつもない吐き気と眩暈。
「呼吸が…ガヒュッ、ゴホッゴホッ…」
口から大量の血が出てきた。まさか吐血?俺はそんな病気あったか?
「まさか…この黒い霧が…」
地面に倒れ込み目がだんだん開かなくなる。
俺は悟った。
ああ、終わりか。俺はもうここで死ぬんだな。そうかここは死後の世界なのかも。何もかも終わったんだ。
地面にめり込むかのように取り込まれていく。体全体がツタのようなもので巻かれていき沈んでいく。
そうか、このまま俺は楽になれるのか…ああ、楽になろう。
この痛みが、だんだん心地よくなってくる感覚は、俺を麻痺させる。
全てを投げ捨て、生きることすらもやめようとした瞬間。つけていたブレスレットが光、左手首の痣に刺激が走る。その瞬間先輩の顔が脳裏をよぎった。
「せ、んぱ…い」
ああ、そうだよな。俺はここで終わったらだめだよな。俺にはやるべきことがあるんだよ。
「簡単に死んでたまるかあああああ!!」
埋もれかけた体を全力で起こし、はいあがる。最後まであがけ…!
「うおおおおおおおお」
体に巻き付くツタはまるで生きているかのように動いている。
服は破け、腕や足は血が止まらず出血を続けている。痛い…痛い…ー痛い。
(我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢)
「があ、がああああああああああああ!」吐血で掠れた声。俺はそれでも気合いで目を覚ませる。
そして、ギリギリで出て来れた。
「脱出せいこ…」
喜ぶのも束の間だ。俺のすぐ目の前には口を開けて今にも食われそうになる。
見たこともない…生き物。こいつ、植物なのか?いかれてやがる!!
「し、死んでたまるかあああ!!やっと出て来れたのに…食われてたまるかああ!!」
泣きながらも、目の前の化け物に殴りかかる俺は心も体もボロボロだった。
「ちくしょおおおお!!」
『シャアアアアアアアアア』
俺の声は化け物の咆哮にかき消され、拳は届かず化け物の口の中に頭が入りかけたときだった…
『ドドドドコオオオオオオオオオ!!』
目の前にいた化け物は、いつのまにか轟音と爆風で消えていた。
「ふぇ…?」
俺の目の前に立つ、真っ黒な肌に銀髪でそして特徴的な耳と尻尾がある女性?
「よく持ち堪えた!!人間!あとはワテに任せろ!!」
犬歯と、赤い目は明らかに地球上の生き物ではない。
「わ、ワテ?」俺は、彼女の一人称に印象を受けたがそれどころではない。
「フハハハハ!!ファントムフラワーの精神攻撃を耐える人間はそうなかなかいないぞ!貴様見どころがある!」
俺はこの状況についていけない。なんだよ見どころって…
『シャアアアアアアアアア』
「むっ、まだいるか。やはり黒渦をぶっ壊した方がいいか」
右手に持っていた黒くてデカい剣を片手で構え、そこから一振りで複数の化け物を軽くあしらう。その衝撃波は周りの花すらも消し飛ばした。
「なんだこの程度か」
いやいやおかしい!!俺は何にもできなかったぞ!それもこう、いとも簡単に剣一振りで消し飛ばすなんて…!てかなんでそのサイズの剣を片手で持ってるの!?剣?そもそも剣なんで振り増してるんだよ!しっぽに犬耳生えてるし!
「おっ、これが最後か」
「デカ…」
さっきの化け物とは比べもんにもならないくらいデカい。推定15mだろうか、頭にはデカい花と口、たくさんの触手のようなツタがウネウネと動いている。
「こいつ、まさか強化魔法を使えるのか」
「えっ?」
ん?ま、魔法って言った!?え、ちょ…は?
「ここの黒渦は相当な量の瘴気が溜まっていたのだろうな…」
この命の恩人は、何者だろうか…
「少しだけ本気を出そう」
その瞬間謎のオーラが見えた。一瞬だけど…何か纏っているのか?この圧はなんと言うか気迫とは別の何かだ。モアモアとした温かみのあるものは…
「フン!!」
彼女は足に力を入れた瞬間俺の目では追えないスピードでデカい奴に突っ込んでいった。時速100kmをとうに超えているようにも見える。彼女の踏み込んだところの地面は半径3m級のクレーターができてる。
「ハアアア!」
襲いかかる触手は、全てあの大剣で切り倒されていく。右に左に華麗なステップを踏んでいく彼女の動きは明らかに人間ではなかった。超人…いや彼女こそが化け物だったのかもしれない。
「風葬・雷神」
彼女はそういった瞬間、突風が巻き起こり雷が落ちたような音が鳴る。
デカい奴は、振り下ろされる黒い大剣で真っ二つにされた。
紫色の血のようなものが吹き出して、彼女の顔半分にベシャリとかかった。
「ふう、これで終わりだな」
よく見れば、黒い渦もなくなって霧も全て消されていた。
「ああ、俺はもしかしてとんでもないところにきてしまったのかもしれない」
[水平線]
彼女は歩いて、俺の方に近づいてきて手を差し伸べる。
「ほら、立ちな」
「は、はいありがとうございます」
「いいってことよ。うん?お前よく見ると黒い髪だな…」
「え?」
興味深々で見てくる彼女は、ニヤリと笑い右肩に手を乗せてくる。
なに?なんか俺は今絶対に目をつけられたよな。完全いやっちまったか?
黒髪がそんなにも珍しいのか?
「ワテは狼王リュカオーンだ!!」
「え?あ、俺は、サクマ・リョウタです?」
唐突で反射的に答えたが自己紹介ってこれで合ってるのか?もしかして逆の方が良かったのかも…リュカオーンってなに?聞いたことないよ。強いて言うなら俺の家にある小説くらいだよ。
「しっかしこんな島になんでいるんだ」
今度は不思議そうに俺を見てくる。すげえ表情豊かな人だな…名前もだけど狼王って何よ。なんかさっきから似たようなこと言ってる気がする。
「俺もなんでここにいるかわかりません」
「ほう…」
また考え込むかのように、腕を組み俺をじっと見つめてくる。
「あの、なんですか?」
「お前は、目も黒いんだな…」
その質問?に俺ははてなになる。
「おい、お前その目もしかして見えるのか?」
「は、はい?」
何を言ってるんだ。あんたまさか実は幽霊なんですけどっとか言わないよね。
「ワテのこのホワホワしたものだ」
「ああ、はいなんとなく薄らですけどね。さっきの化け物と戦った時よりは全然小さいですけど」
あの時のフウソウ・なんちゃらってやつ…すげえ速さで移動してたし。
その時、一瞬何かを纏うのか、放出するのかよくわからないがブワアアアってなった。
「そうか、これが見えるのか。黒髪に黒目かもしかして…とりあえず服装からしてここのものではないだろう。貴様はどうやら色々訳ありだろうな」
訳ありって何よ…俺がやべえ奴みたいな言い方されてるけど。
服装は…まあ確かに俺の着ている服はパジャマだ。もう半分くらいちぎれて血で染まったけど。それと反対にリュカオーンのは黒と白で作られた民族的なものだ。
よく見ると金色のアクセサリーをしているな、それに靴もなんだか俺の知っているものとは違う気がする。
「あれ、なんか…また」
何かが解けたのか俺はまた膝から崩れ落ちる。さっきのとは違いこれは疲労だろう。あまりの出来事に体が追いつけていないのだろうか。これが全部1日の出来事だったら信じられない。信じるの信じないもくそもないけど…
「フハハハハ、相当な無理をしていたのだろうな。安心しろワテは貴様を気に入った。殺しはしない!
「はは…そうっすか…」
リュカオーンの言葉に少し安心し、俺は深い眠りについたのだった。
「まさか、ここで会えるとはな…これはデカい収穫。そういえば王都にもいたっけな?まああれは王の命令で召喚されたのだが。これならあいつをぶっ殺せそうだな」
何か独り言を呟くリュカオーンは、リョウタを抱えて森の中に入って行った。
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