服を着替えて部屋を出たヴィルスはドアの近くに立っていたアルメリアに驚く。
ｳﾞｨﾙｽ「ずっと･･･そこに居たのか？」
ｱﾙﾒﾘｱ「はい、依頼内容の中には”常に坊っちゃんの近くにいろ”というものがありますので」
ｳﾞｨﾙｽ「ていうか、なんで父様が依頼したんだよ？」
ｱﾙﾒﾘｱ「旦那様からは”伝える必要がない”と申し上げられています」
ｳﾞｨﾙｽ「そうか」
ヴィルスはそう言いながら一階に降りる。アルメリアはその後ろを着いていく。
ふとヴィルスはあることを思いついた。
ｳﾞｨﾙｽ「なあ確か名前、アルメリアだったよな？」
ｱﾙﾒﾘｱ「ええ、それがどうなさいましたか？」
ｳﾞｨﾙｽ「”アル”って呼んでいいか？一応今日から一緒にいるわけだし」
ヴィルスがそう言うとアルメリアの動きが一瞬だけ固まる。
だがすぐに、
ｱﾙﾒﾘｱ「構いません、その方が呼びやすいでしょうし。私の名前は長いそうなので」
そう言ったアルメリアを見てヴィルスが少し驚く。
近くで見ないと分からないが、口元が少し緩んでいるではないか。
ｳﾞｨﾙｽ「(ただのあだ名のつもりだったけど･･･ま、いっか)」

ヴィルスが食事をしている後ろで、アルメリアが耳をピクッと動かす。
ｱﾙﾒﾘｱ「(外から数名の足音と息遣い･･･)」
アルメリアは目の前にてパンを頬張るヴィルスに耳打ちする。
ｱﾙﾒﾘｱ「坊っちゃん、少しこの場を外します。何かございましたらこちらの首飾りを握りしめくださいませ」
そう言ってヴィルスの首に、アルメリアと瞳と同じ色の宝石が着いたネックレスを付ける。
ｳﾞｨﾙｽ「アル？どうした？」
ｱﾙﾒﾘｱ「いえ、ただの害虫駆除でございます故お気になさらず」
アルメリアはそう言いながらその場を去っていった。