side なろ屋

どくん、どくん、と僕の心臓が波打つ。
今でも、やっぱり信じることはできない。
今は、昨日から時間がたった今日。のきに言われたことを現状受け入れられていない状態だ。
「なろ屋さん...大丈夫？」
そらちゃんは心配そうに顔をのぞかせた。大丈夫だよ、と軽く返事をして僕は笑った。その笑顔が引きつっていたのは、さすがの自分でもわかった。

すると、そらちゃんがド正論をぶちまけた。
「みんな、さ。信じられないのとかはわかるけど、今僕らがこうしてたらあと少ししかない、限られた時間をこんなふうにもてあましてたら、絶対後悔するよ？........さっき、僕考えたんだ。僕がのっきさんの立場になったら、絶対今みたいな空気が流れてたらやだ。もっと笑顔で見送ってほしい、って絶対思う。」
........たしかに、ほんとそれなんだよね。
笑顔になれるんだったら、とっくに笑顔になってる。なれないから、困ってた。
でも....。のきも、こんな暗い空気で見送られるのは、やだよね。
「........みなさん。のっきさんと、楽しめることをしましょう...！」
○○がそう言った。.....実は、のきから色々聞いた後、○○すっごい泣いてたから、内心1番気になってたんだよね...。
「......せやな。やっぱちょっとは沈んじゃうけど、とにかく笑顔で見送ろ！」
翔くんは明るくそう言った。
「じゃあ、とりあえずにょきを呼んでくるな。」
かもめんはそう言ってのきの部屋へと向かった。
「........なろ屋さん...。言いたいことは、言っときましょうね。」
○○が僕に向かってそう言う。.........僕がずっと喋ってなかったからかな。気にかけてくれたのだろう。淡い水色の髪を揺らせ、○○はにっこりと笑った。
「ありがと.......○○...。」
やっぱりほんとの僕の笑顔は、浮かび上がらせれない。
のきがいなくなってしまうことを、突きつけられるのが怖いから。
でも、だめなんだ。そう、だめ。このままじゃだめ。
だから、僕は前を向く。

「みなさん.....」
のきがかもめんと一緒に部屋からリビングへとおりてきた。

僕は、君の1番近くにいたい。
かけがえのない存在でありたい。
ずっとずっと友達でありたい。

いろんな感情が混ざり合って、
また、どくんどくん、と心臓が波を打つ。

僕は、1番に君に抱きついた。

あのとき、君が抱きついてくれたときのように。