side KAITO

「みなさんっ！！あのっ、久しぶりに全員一緒にお出かけしませんか...？」
そう言った○○は、本当に行きたいのだろうか。目を輝かせながら俺たちに言っている。
「おお、ええやん！俺も久しぶりにでかけたい！」
どうやら○○と出かけられるのが嬉しかったのだろうか。サムライは珍しく満面の笑みを浮かべている。
「おっ。俺も賛成〜っ！入院して以来だし、行こ！」
かもめんはそう言った。...たしかに。入院していらいどこにも言ってないしな...。
「じゃあ、退院おめでとうお出かけ会だね！」
あまりにもそらちゃんらしい言葉に思わず純粋な笑みがこぼれる。
「あ....。じゃあ、行くってことでいいんですよねっ...？」
○○は若干まゆを下げてそう言った。悪いが○○に反対するやつはこの家にはいない。
「○○。悪いけど、ここにいる全員○○に反対しないから、お出かけいこ〜！」
なろっちは俺が思っていたことを言ってくれた。
「どこに行きますか？楽しみですねぇっ。」
のっきたんも退院以来よく笑顔を見せるようになったので安心。
「あの....。かいとさんは、大丈夫ですか...？」
はっと我に返る。...そうだ、俺なにも喋っていなかったな...。しっかりと存在を導きだしてくれる○○は優しい、女神の生まれ変わりというのも納得、ということを脳内で考えていた。
「あぁ、大丈夫だぞ。早くどこに行くか決めないとなっ。」
「！！かいとさんっ！はい！早く決めましょうねっ！」
○○はいつも以上に微笑んだ。俺がつい最近まで放心気味で久しぶりに笑みをこぼしたからいつも以上に微笑んでくれたんじゃないか、と俺はその考えを残すことにした。

＿夜＿

俺は、話すことにした。
「あの、さ。○○。話したいことがある。みんなも。」
全員が俺の話を聞いてくれる。そう考えたら嬉しくなる。
「その...。まず今まで話さなくてごめん。勇気出なかった。」
そしてだらだらしていても仕方ないと思ったので淡々と話した。

前にみんなで行った所は俺の家族が死んだところ。
身内に拾われたけど心を開けなかったこと。
精神的にも辛かった時になろっちとサムライに声をかけてもらって今ここにいること。

「.......。そうだったんですね。というか、声をかけてもらってって...？」

「あぁ.....。○○には話していなかったね...。」
なろっちはそう言った。
俺が今過去を話そうと思ったのは、『声をかけてもらった』の意味を○○に知らせるため。...知らないまま、○○がこれ以上俺たち一緒にいるのは無理かもしれなかったから...。

[大文字]「僕らが一緒に住んでいる理由」[/大文字]