なろ屋さんとも話せて、他のみなさんとも目を合わせられて、私は十分満足しているはずだった。それなのに。
やっぱり、なにか大切なものをなくしてしまっている以上、心が落ち着かない。記憶を取り戻したいとは思っているけど、思い出せない。
思い出したい。絶対に。何があっても。

「○○！」
今日は珍しくかいとさんがお見舞いに来てくれた。
「かいとさんっ。来てくれてありがとうございます！」
かいとさんに心配をかけないようになるべく笑顔で話す。
「.....ああ。あの、退院まであと何日くらいだ...？」
退院....？あ、そっか。体力も徐々に元に戻ってきているし、そろそろ退院してもいいって言われたんだった。えっと、あと....
「4日ほど...ですかね。」
するとかいとさんは少し曇った表情を見せた。
「4日か...。長いな。みんな○○の事心配してるから、早く戻ってきてくれよな。」
まるで子犬のよう...
「もちろんですっ！完全回復したら必ず向いますのでっ！」
「......ありがとう。じゃあ、俺はこれで。」
みなさんが来てくれる時間はとても短い。
「はいっ！またねっ！」

バタンッ
あぁ、みんなのために、一刻も早く記憶を取り戻したい。かいとさんだって、みんなだって...少し自意識過剰かもだけど、あの様子からしてみんなは私を大切にしてくれているはずだからっ.....どんな目にあっても....。どんな形でも...みんなと一緒にいれるのなら記憶をっ...！

その時、赤い夕日に金色の星が振り溢れたのは気のせいだろうか。


「っ、ｹﾎｯ、ｺﾞﾎｯ...」
あれっ、、ちょっと風邪かな...？.....ふふ、風邪といえば、前にのっきさんも風邪ひいてたことあったなぁ...。そのときは私がもっと体調を悪くしちゃったけど...。
って



え？


どういうこと......？




[大文字]記憶が......戻ってる...？[/大文字]