見習い女神とのクエスト体験記
アルセンの町にある露店はザワザワと中々の賑わいを見せていた。俺はほえ~と辺りをぐるりと見回す。
「唐傘さん、はぐれてはいけませんよ」
ミルーカ様は俺の手をギュッと握り、迷子を案内するかのように慈愛の瞳で仰る。
あの、俺一応大学生なんですけど……。
何だかむず痒いものを感じながら俺とミルーカ様は露店を歩き回る。それにしても、色々あるなあ。
食べ物系と、武器系と、アクセサリー系とまあ種々様々な商品が両脇に並んでいる。目移りしちゃうな。
「ミルーカ様はどこへ行かれたいのですか?」
「はい。もうちょっと先にあるお店です」
そう言って俺の手を軽く引っ張りながら、行きたいという店に俺を誘導するミルーカ様。
「これは……」
「マジックアイテムですね」
連れられた店にはずらーーっと、首飾りやイヤリング、腕輪みたいな物が所狭しと並んでいた。
「これ全部ですか?」
「はい」
「えっと……ミルーカ様はこの中でどれが欲しいのですか?」
俺がそう聞くと、ミルーカ様はニコリとした。
「唐傘さんのお好きなものをお選びください。リーズナブルな商品が多いので」
「え? それは、えっと」
俺が戸惑いの声を上げると、ミルーカ様は言葉を続ける。
「私は、唐傘さんがクエストをちゃんとクリア出来るようにサポートするという役割がございますので、私が喜ぶということであれば、それは……」
ミルーカ様は一旦言葉を区切って、俺をじっと見つめた。
「ミ、ミルーカ様?」
「唐傘さんが報酬をクエストクリアのために使う、ということになりますね」
俺は、ハッと息を呑んだ。
この方は……俺の身を案じてくれているのか。突然異世界に呼び出しただけでもあれなのに、プレゼントまで貰うわけにはいかない、と。
全くもって寛大な御方だ。
「……分かりました。じゃあ、これにします」
俺は、奥の方にあった楕円形のペンダントを2つ手に取る。お金を払って購入。チャリーン。
「え? それって……」
「はい。こうすると……」
俺は、ペンダントを2つ重ね合わせると1つにぴったりくっつく感じのやつをミルーカ様に見せた。なんなのかよく分かんないけど。
「自分用のとミルーカ様にあげるのとの兼用ってことでどうでしょうか?」
俺はミルーカ様にペンダントの1つを手渡す。
「…………」
ミルーカ様は、手元のペンダントを見つめ、青い瞳をウルウルとしだした。
「どうか受け取ってください」
俺が万感の思いを込めて言うと、ミルーカ様は瞳を濡らして、ポツリと一言。
「よろしいんですか……?」
「はい」
ミルーカ様はポロポロと涙を流す。指先でそれを拭い、俺にはにかんだ。
「ありがとうございます。ずっと……大切にします」
そう仰ったミルーカ様の笑顔は、俺の初クエストの一番の報酬となった。
「唐傘さん、はぐれてはいけませんよ」
ミルーカ様は俺の手をギュッと握り、迷子を案内するかのように慈愛の瞳で仰る。
あの、俺一応大学生なんですけど……。
何だかむず痒いものを感じながら俺とミルーカ様は露店を歩き回る。それにしても、色々あるなあ。
食べ物系と、武器系と、アクセサリー系とまあ種々様々な商品が両脇に並んでいる。目移りしちゃうな。
「ミルーカ様はどこへ行かれたいのですか?」
「はい。もうちょっと先にあるお店です」
そう言って俺の手を軽く引っ張りながら、行きたいという店に俺を誘導するミルーカ様。
「これは……」
「マジックアイテムですね」
連れられた店にはずらーーっと、首飾りやイヤリング、腕輪みたいな物が所狭しと並んでいた。
「これ全部ですか?」
「はい」
「えっと……ミルーカ様はこの中でどれが欲しいのですか?」
俺がそう聞くと、ミルーカ様はニコリとした。
「唐傘さんのお好きなものをお選びください。リーズナブルな商品が多いので」
「え? それは、えっと」
俺が戸惑いの声を上げると、ミルーカ様は言葉を続ける。
「私は、唐傘さんがクエストをちゃんとクリア出来るようにサポートするという役割がございますので、私が喜ぶということであれば、それは……」
ミルーカ様は一旦言葉を区切って、俺をじっと見つめた。
「ミ、ミルーカ様?」
「唐傘さんが報酬をクエストクリアのために使う、ということになりますね」
俺は、ハッと息を呑んだ。
この方は……俺の身を案じてくれているのか。突然異世界に呼び出しただけでもあれなのに、プレゼントまで貰うわけにはいかない、と。
全くもって寛大な御方だ。
「……分かりました。じゃあ、これにします」
俺は、奥の方にあった楕円形のペンダントを2つ手に取る。お金を払って購入。チャリーン。
「え? それって……」
「はい。こうすると……」
俺は、ペンダントを2つ重ね合わせると1つにぴったりくっつく感じのやつをミルーカ様に見せた。なんなのかよく分かんないけど。
「自分用のとミルーカ様にあげるのとの兼用ってことでどうでしょうか?」
俺はミルーカ様にペンダントの1つを手渡す。
「…………」
ミルーカ様は、手元のペンダントを見つめ、青い瞳をウルウルとしだした。
「どうか受け取ってください」
俺が万感の思いを込めて言うと、ミルーカ様は瞳を濡らして、ポツリと一言。
「よろしいんですか……?」
「はい」
ミルーカ様はポロポロと涙を流す。指先でそれを拭い、俺にはにかんだ。
「ありがとうございます。ずっと……大切にします」
そう仰ったミルーカ様の笑顔は、俺の初クエストの一番の報酬となった。
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