文字サイズ変更

見習い女神とのクエスト体験記

#8


 アルセンの町に着いた俺とミルーカ様は、ギルドに寄っていく。受付に向かい、クエスト完了の報告をすると受付嬢から「報酬です」とチャリチャリ音が鳴る巾着袋? みたいなものを貰った。中を見てみるとコインがいくつも入っている。コインを1枚つまんで取り出してみた。
「えっと……これはこの世界の通貨ですか?」
 俺がコインをまじまじと見ながら、ミルーカ様に尋ねる。
「はい。それは1ネカですね。グレードがありまして、ネア、ネム、ネミ、ネマ、ネカと分けられており、1、10、100、1000、10000と数字があります」
 めっちゃあるやん。混乱してくる。
 俺がグルグル目を回していると、クスリとミルーカ様は微笑した。
「少しずつ、勉強していきましょう。焦ることはありませんからね」
 ミルーカ様のその柔らかな声音が俺の心に浸透していき、やがて平静さを取り戻す。
 俺とミルーカ様はギルドの隣に併設されている酒場に足を運んだ。中々の盛況ぶりだ。冒険帰りか?
「1、10、100、……はい、全部で500ネミあります。おお、結構な報酬ですよ」
 ミルーカ様は、ちょこっと驚いた様子でそう仰った。へえ、多いんだ。俺はふと尋ねた。
「じゃあ何か買えますかね?」
「はい。食事してもいいですし、露店でアイテム買ってもいいですし、お好きに使ってください」
 ミルーカ様のお言葉に俺はコクリと頷く。
「そうですか……じゃあミルーカ様、何か欲しいものはありますか?」
「…………………………へ?」
 俺の言葉を理解するのに時間がかかったミルーカ様は呆けた声を出す。
「ミルーカ様に何かプレゼントしたいです」
 俺は真っ直ぐミルーカ様を見つめて言うと、ミルーカ様は目をあっちへこっちへしていた。
「え、いや、あの唐傘さん? これはあなたの報酬なんですよ?」
「はい。分かっています。好きに使っていいんですよね?」
 何やら混乱中のミルーカ様に俺はゆっくりと、諭すように言った。
「俺は、この報酬を使って、プレゼントをして、ミルーカ様の喜んでいる姿が見たいんです」
「――っ!」
 俺の言葉を聞いて、ミルーカ様は暫し呆然とされていた。
「あの……ミルーカ様?」
 ミルーカ様は俯いて、顔を両手で覆い、肩をプルプルさせていた。どうしたんだ? 俺、出しゃばった真似しちゃったかな?
 程なくして、ミルーカ様は顔を上げて、にこやかに仰った。
「失礼しました。ありがとうございます。……それでは露店の方を一緒に回って頂いてもよろしいでしょうか?」
「はい!」
 俺は今日一番の声で返事をした。ミルーカ様と露店へレッツラゴー!

※ダブルクリック(2回タップ)してください

作者メッセージ

初クエストの報酬の使い道はミルーカ様へのプレゼント! ってことでミルーカ様と一緒に露店へレッツラゴー! ウキウキだ~!

2024/10/12 15:12

トモットモ ID:≫spZQ2sIFiacuE
続きを執筆
小説を編集
/ 10

コメント
[4]

小説通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

※できるだけ具体的に記入してください。
特に盗作投稿については、どういった部分が元作品と類似しているかを具体的にお伝え下さい。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
小説のタイトル
小説のURL