おかしな書記官。
「もう21時だよ?良い子はねんねしないとね〜」
「子供じゃないんですけど…」
ティナリ君、セノ君が来たのはもう外が暗いころ、何か用事があったのだろう。アルハイゼン君も暗いころに来たけれど、面倒なことになっちゃうし帰らせないようにしよう。
「それでは、俺は帰らせてもらう」
アルハイゼン君が素早くその場を去っていった。勿論、本も持って行って。
「あーあ、帰っちゃったねぇ」
「いいんですか?止めなくて」
ティナリが困り顔に近しい何とも言えない表情でそう言った。
「ふふふふっ、今日から一ヶ月ぐらいアルちゃんって呼ぶからいーの」
「はぁ……」
ティナリ君が頭を抱えた。嫌われてもその反応が面白かったらプラスでしかないし。
「ユスン、ティナリ酒を飲みにいかないか?」
「………え?セノ急にどうしたの?」
[中央寄せ]*[/中央寄せ]
「「「乾杯!」」」
ということで、現在、セノ君、ティナリ君と酒を飲んでいる。
「セノが酒を飲みたいなんて言い出すなんて、珍しいね」
セノ君は下戸、下戸は酒が弱い人たちの事。酒によるけど、セノ君は二杯半ぐらいで顔を真っ赤にして寝てしまうほど。
「新しい酒を試してみたかっただけだ」
メニューを広げ、恐らくセノ君の言ってるであろう新しい酒、メニューにNEWと書かれているこれだろう。
「倒れないようにね、セノ君」
「あぁ」
私も人のことを言えるほど酒に強いわけではないのだけれど。
「ティナリ君も何か飲む?」
そう聞き、セノ君を母親のような笑みで見つめるティナリ君にメニューを差し出した。
「じゃあ、これを一杯だけ…」
悩みながら、オドオドとした顔でティナリ君がいつも飲んでいるであろう酒を指差した。
「すみません〜!店員さん」
一通り注文を終え、全員が満足したよう。
[中央寄せ]*[/中央寄せ]
「ふふふっ、今から帰って大丈夫?セノ君」
「必要とあらば泊めてあげるよ?」
外は街灯がもう見えない暗さ、そしてここから砂漠はありえないぐらい遠い。そして何より、セノ君は顔を真っ赤にして酔っている。
「……大丈夫だ」
赤子のような聞き取りにくい言葉でセノ君は私に向かってそう言った。
「それで遭難して困るのは私達なんだけどなぁ」
「ま、いいや。今日は泊まっていって」
セノ君を背負った。思っていたよりは軽いみたい。思っていたよりは。
「ティナリ君は平気?」
「一杯しか飲んでませんので、平気です」
「すみません…持たせてしまって」
申し訳なさそうに深く腰を曲げ、お辞儀をしてきた。
「大丈夫だよ、家近いしね」
「それじゃ、また機会があったら」
手を振って、ティナリ君と別れた。そして、そこそこ重いセノを背負って帰路に就いた。
※ダブルクリック(2回タップ)してください