境界線で夢を見た
[明朝体]●●「わ、あ、あああぁあ!」
雄英から届いたビデオで伝えられる合格か否か。
あのとき助けた行為が得点となり
見事合格を勝ち取った私は、思わず涙をこぼした。
母「大きい声出してなにかあったー?」
母「何かあったら今言ってね●●ちゃん、おかあさんもう寝ちゃうから」
公安直属ヒーローであり母親でもあるおかあさんの声。
いつもいつも眠そうにして血まみれで帰って来る。
個性上仕方のないこと...ではあるのだけれど
すごく痛そうで、えぐられた皮膚をどうしても直視できない。
困惑させてしまっているにも関わらず
目も合わせられないままどうにか口を開く。
●●「...[小文字]雄英、受かった[/小文字]」
ぽつりと蚊の鳴くような声でぼやく。
それでもおかあさんは聞き取ってくれたみたいで
半ば転びながら駆け寄ってきてくれる。
母「すごいじゃん!!!」
●●「わっ」
勢いよく抱きついてきたものだから体が耐えきれず後ろへ倒れた。
風に乗って漂う鉄のにおいとあまいにおい。
近しく感じていなかった懐かしいにおいだ。
どちらもおかあさんのにおいで、嬉しさにまた涙が出る。
母「よく頑張ったねぇ...!おかあさん嬉しいよ!」
心の片隅が、じっくり埋まっていく感覚がした。
・・・
雄英高校の制服を身にまとって、いってきますとドアに手をかける。
そこから広がる世界はいつも通りでしかないのに不思議といつもよりきれいに見えた。
たくさん空気を吸って、そして吐き出す。
●●「うん、緑谷くん家行こう」
軽い体をはずませてもう歩き慣れた道を駆け抜ける。
ところどころ寄り道もしつつも、無事部屋の前にたどりつく。
何気なくインターホンを鳴らしていた日が
どこか遠い日のことのように思えて胸が高鳴る。
緑谷くんは受かったのかな、落ちるはずないよね、
とか色んな想いがひしめき合って
どうにでもなれ、なんてやけくそにインターホンへ手を伸ばす。
ピーンポーン___
カチャリ、と鍵が開くと飛び出してきたのは
引子「あ!出久、●●ちゃんだよ!」
緑谷「えぇ●●さん!?その格好、まさか雄英っ」
まさかの2人ともだった。
緑谷くんのパジャマは相変わらずオールマイトで。
お母さんはふくよかで優しくて。
何一つとて代わり映えのない様子に笑みを浮かべた。
引子「ごめんね今すぐ用意させるから!」
焦るお母さんによって奥へ押し込まれた緑谷くん。
ドアが閉じられた今、
肩にかけられた緑谷くんとお揃いのリュックを握りしめて
湧き上がってくる嬉しさを抑え込んだ。
[/明朝体]
雄英から届いたビデオで伝えられる合格か否か。
あのとき助けた行為が得点となり
見事合格を勝ち取った私は、思わず涙をこぼした。
母「大きい声出してなにかあったー?」
母「何かあったら今言ってね●●ちゃん、おかあさんもう寝ちゃうから」
公安直属ヒーローであり母親でもあるおかあさんの声。
いつもいつも眠そうにして血まみれで帰って来る。
個性上仕方のないこと...ではあるのだけれど
すごく痛そうで、えぐられた皮膚をどうしても直視できない。
困惑させてしまっているにも関わらず
目も合わせられないままどうにか口を開く。
●●「...[小文字]雄英、受かった[/小文字]」
ぽつりと蚊の鳴くような声でぼやく。
それでもおかあさんは聞き取ってくれたみたいで
半ば転びながら駆け寄ってきてくれる。
母「すごいじゃん!!!」
●●「わっ」
勢いよく抱きついてきたものだから体が耐えきれず後ろへ倒れた。
風に乗って漂う鉄のにおいとあまいにおい。
近しく感じていなかった懐かしいにおいだ。
どちらもおかあさんのにおいで、嬉しさにまた涙が出る。
母「よく頑張ったねぇ...!おかあさん嬉しいよ!」
心の片隅が、じっくり埋まっていく感覚がした。
・・・
雄英高校の制服を身にまとって、いってきますとドアに手をかける。
そこから広がる世界はいつも通りでしかないのに不思議といつもよりきれいに見えた。
たくさん空気を吸って、そして吐き出す。
●●「うん、緑谷くん家行こう」
軽い体をはずませてもう歩き慣れた道を駆け抜ける。
ところどころ寄り道もしつつも、無事部屋の前にたどりつく。
何気なくインターホンを鳴らしていた日が
どこか遠い日のことのように思えて胸が高鳴る。
緑谷くんは受かったのかな、落ちるはずないよね、
とか色んな想いがひしめき合って
どうにでもなれ、なんてやけくそにインターホンへ手を伸ばす。
ピーンポーン___
カチャリ、と鍵が開くと飛び出してきたのは
引子「あ!出久、●●ちゃんだよ!」
緑谷「えぇ●●さん!?その格好、まさか雄英っ」
まさかの2人ともだった。
緑谷くんのパジャマは相変わらずオールマイトで。
お母さんはふくよかで優しくて。
何一つとて代わり映えのない様子に笑みを浮かべた。
引子「ごめんね今すぐ用意させるから!」
焦るお母さんによって奥へ押し込まれた緑谷くん。
ドアが閉じられた今、
肩にかけられた緑谷くんとお揃いのリュックを握りしめて
湧き上がってくる嬉しさを抑え込んだ。
[/明朝体]
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