ワンダフル・タイムズ!
side 灰原 ほまれ
今日はマネージャー体験二日目。昨日のように順調に進めればいいのだが、今日はどうなる事やら。陸上部が今日も使っているグラウンドへとお邪魔する。
「…あ、狛犬さん。」
よくよく見ていると、狛犬さんがいる。今日も部活に顔を出していたのだ。
「あン? なんだ昨日の…マネージャーか。」
どうやら名前を憶えていてくれなかったらしい。少し残念だ。心が少しばかり傷付き痛みながらも、私はまた自己紹介を始める。
「あ、灰原ほまれです。」
「そーだそんな名前だったな…忘れねえようにしないと。」
彼は複数回私の名を呟いてから、「覚えた。よし。」とにっこりとからっと笑う。
「今日もマネージャーとしてよろしくな。ほまれ。」
彼はそれだけ言うと、また部活へと向かった。なんとなく、きっと私の支えに彼はなりつつあるのだろう。
・・・
そして放課後。私はマネージャー体験を今日も一人で帰ろうとしていた。すると、後ろから男性の声で私の名前を呼ぶ声が聞こえる。踵を返すと、そこには狛犬さんがものすごい速さで手を大きく振りながら走ってくる。
「おーい!! ほまれェ!! ちょっと待てよォ!!」
あの声量であの速さを保てるとは、ものすごい体力だ。私は究極のインドア派な為、彼の様に速く走れない挙句体力もない。そんな彼を見ていると、私も体力をつけなければいけない。私に狛犬さんが追い付くと、息切れしている様子もなく話し始める。
「連絡先交換しねぇ? お前気に入ったわ。」
狛犬さんは平然とスマートフォンを取り出し、連絡先のQRコードを私に差し出した。狛犬さんには世話になった。これは礼儀的にも、彼の誘いを受け入れるべきなのだろう。
「いいですよ。」
私達はあっさり連絡先を交換し、邪魔にならないよう道の端に寄り変なスタンプを送りあったり変な文章を送りあったりした。
「そんなスタンプあるんですか? 初めて見ましたよ私。」
「ははっ。そうだろ? これ気に入ってるんだよ。」
けらけらと笑いながら狛犬さんは言う。そんな他愛もない会話を交わしながら私達はまた歩き出した。
「あ、じゃあな。昨日言った通りボクはこっちの道なんでな。」
狛犬さんは軽く手を振ってから、小道へと消えていった。そしていきなり後ろからちろるんが突っ切ってくる。大激突してしまい、ふらりと転んでしまいそうになった。
「あ、ちろるん。どうしたの?」
「…もしかして、恋愛感情ある系? 私、応援しとくねー。」
少し茶目っ気のある声でちろるんは笑う。狛犬さんとは確かにいい友人になれそうだが、恋人になるかもしれないと意識した事はなかった。
「そういうのじゃない。」
「知ってる。」
こんな感じでいつも茶化してくるのだ。だが、こんなややり取りが私は大好きで親友として小突きあうには最適な人間なのだ。だが、そう言われてしまえば少し意識してしまう。彼の事を。
「ねね、恋バナしよ恋バナ。他人の恋人暴露でもいいからさー。」
さらっとちろるんは恐ろしい事を口走る。少々ちろるんの口が軽いのは知っているが、まさかこんな事を言うとは思いもしなかった。まあだが、正直他人の恋人などどうでもいいのが本音。
「えー…言われてるけど…言ったら殺すって脅されてるし。」
「みんなそうやって脅すよねー。分かるー。」
だが、友人との仲は良好に保っておきたい。ここは口を慎んでおこう。
今日はマネージャー体験二日目。昨日のように順調に進めればいいのだが、今日はどうなる事やら。陸上部が今日も使っているグラウンドへとお邪魔する。
「…あ、狛犬さん。」
よくよく見ていると、狛犬さんがいる。今日も部活に顔を出していたのだ。
「あン? なんだ昨日の…マネージャーか。」
どうやら名前を憶えていてくれなかったらしい。少し残念だ。心が少しばかり傷付き痛みながらも、私はまた自己紹介を始める。
「あ、灰原ほまれです。」
「そーだそんな名前だったな…忘れねえようにしないと。」
彼は複数回私の名を呟いてから、「覚えた。よし。」とにっこりとからっと笑う。
「今日もマネージャーとしてよろしくな。ほまれ。」
彼はそれだけ言うと、また部活へと向かった。なんとなく、きっと私の支えに彼はなりつつあるのだろう。
・・・
そして放課後。私はマネージャー体験を今日も一人で帰ろうとしていた。すると、後ろから男性の声で私の名前を呼ぶ声が聞こえる。踵を返すと、そこには狛犬さんがものすごい速さで手を大きく振りながら走ってくる。
「おーい!! ほまれェ!! ちょっと待てよォ!!」
あの声量であの速さを保てるとは、ものすごい体力だ。私は究極のインドア派な為、彼の様に速く走れない挙句体力もない。そんな彼を見ていると、私も体力をつけなければいけない。私に狛犬さんが追い付くと、息切れしている様子もなく話し始める。
「連絡先交換しねぇ? お前気に入ったわ。」
狛犬さんは平然とスマートフォンを取り出し、連絡先のQRコードを私に差し出した。狛犬さんには世話になった。これは礼儀的にも、彼の誘いを受け入れるべきなのだろう。
「いいですよ。」
私達はあっさり連絡先を交換し、邪魔にならないよう道の端に寄り変なスタンプを送りあったり変な文章を送りあったりした。
「そんなスタンプあるんですか? 初めて見ましたよ私。」
「ははっ。そうだろ? これ気に入ってるんだよ。」
けらけらと笑いながら狛犬さんは言う。そんな他愛もない会話を交わしながら私達はまた歩き出した。
「あ、じゃあな。昨日言った通りボクはこっちの道なんでな。」
狛犬さんは軽く手を振ってから、小道へと消えていった。そしていきなり後ろからちろるんが突っ切ってくる。大激突してしまい、ふらりと転んでしまいそうになった。
「あ、ちろるん。どうしたの?」
「…もしかして、恋愛感情ある系? 私、応援しとくねー。」
少し茶目っ気のある声でちろるんは笑う。狛犬さんとは確かにいい友人になれそうだが、恋人になるかもしれないと意識した事はなかった。
「そういうのじゃない。」
「知ってる。」
こんな感じでいつも茶化してくるのだ。だが、こんなややり取りが私は大好きで親友として小突きあうには最適な人間なのだ。だが、そう言われてしまえば少し意識してしまう。彼の事を。
「ねね、恋バナしよ恋バナ。他人の恋人暴露でもいいからさー。」
さらっとちろるんは恐ろしい事を口走る。少々ちろるんの口が軽いのは知っているが、まさかこんな事を言うとは思いもしなかった。まあだが、正直他人の恋人などどうでもいいのが本音。
「えー…言われてるけど…言ったら殺すって脅されてるし。」
「みんなそうやって脅すよねー。分かるー。」
だが、友人との仲は良好に保っておきたい。ここは口を慎んでおこう。