たとえすべてが嘘だとしても。
「ごめんなさい!遅れちゃいました……。メール、見てくれましたか?」
あれから数分後。私は走って待ち合わせ場所まで向かった。そこには、いつもと変わらない笑顔の乱数さんが居て、私は罪悪感と同時に、なんだか安心するような気持ちになった。
「あ、○○〜!メール見たから大丈夫だよ!」
明るく笑う乱数さんを見ていると、さっきまでの事は夢だったのかと思う。実際、周りの人達は何食わぬ顔で自分なりの日々を過ごしていた。
「ありがとうございます……。乱数さんと会うのは久しぶりなのに、本当にお恥ずかしい」
「いいっていいって!それよりもさ、なんで遅れちゃったの?メールには巻き込まれた、としか書いてなかったけど……」
そうだ。そういえばあの時焦っていて、詳しい事は書いていなかった。本来なら嘘をついているとしか思えない文面を書いていたのを思い出す。それでも乱数さんは信じてくれていたのか。
「う、それは、えっと……」
でも言えない。乱数さんのチームのメンバーさんと一緒にチンピラとラップバトルしてました、ちゃんと勝ちましただなんて言える訳ない。そんな事言えたら、私は今日から自分を尊敬する。
でも言わないと怪しすぎる。ただ遅れてきただけだと思われるのも存外だ。
「えーっとですね、そうだなー。なんて言えば良いのかな……」
「言うのが難しいの?」
「いや、そうじゃなくてっていうか!なんだろう、乱数さんにとってはちょっと、アレかもしれない……」
考えている間、なんとか言葉を濁しつつ、言い回しをひたすらに考えていた。数年の仕事で得た語彙力が、頭の中で総動員されている。
「……その……悪い[漢字]輩[/漢字][ふりがな][/ふりがな]に狙われちゃって。そしたら心優しい人が助けてくれて……って感じでした」
なんとか言葉は出せたものの、結局胡散臭くなってしまった。乱数さんはなんとも言えない目でかちらを見てくる。やめてくださいとか、なんですかその目とも言えない。ただの時間が過ぎていく。
「……そっか!大変だったね!」
乱数さんは純真だった。
あれから数分後。私は走って待ち合わせ場所まで向かった。そこには、いつもと変わらない笑顔の乱数さんが居て、私は罪悪感と同時に、なんだか安心するような気持ちになった。
「あ、○○〜!メール見たから大丈夫だよ!」
明るく笑う乱数さんを見ていると、さっきまでの事は夢だったのかと思う。実際、周りの人達は何食わぬ顔で自分なりの日々を過ごしていた。
「ありがとうございます……。乱数さんと会うのは久しぶりなのに、本当にお恥ずかしい」
「いいっていいって!それよりもさ、なんで遅れちゃったの?メールには巻き込まれた、としか書いてなかったけど……」
そうだ。そういえばあの時焦っていて、詳しい事は書いていなかった。本来なら嘘をついているとしか思えない文面を書いていたのを思い出す。それでも乱数さんは信じてくれていたのか。
「う、それは、えっと……」
でも言えない。乱数さんのチームのメンバーさんと一緒にチンピラとラップバトルしてました、ちゃんと勝ちましただなんて言える訳ない。そんな事言えたら、私は今日から自分を尊敬する。
でも言わないと怪しすぎる。ただ遅れてきただけだと思われるのも存外だ。
「えーっとですね、そうだなー。なんて言えば良いのかな……」
「言うのが難しいの?」
「いや、そうじゃなくてっていうか!なんだろう、乱数さんにとってはちょっと、アレかもしれない……」
考えている間、なんとか言葉を濁しつつ、言い回しをひたすらに考えていた。数年の仕事で得た語彙力が、頭の中で総動員されている。
「……その……悪い[漢字]輩[/漢字][ふりがな][/ふりがな]に狙われちゃって。そしたら心優しい人が助けてくれて……って感じでした」
なんとか言葉は出せたものの、結局胡散臭くなってしまった。乱数さんはなんとも言えない目でかちらを見てくる。やめてくださいとか、なんですかその目とも言えない。ただの時間が過ぎていく。
「……そっか!大変だったね!」
乱数さんは純真だった。
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