たとえすべてが嘘だとしても。
「さて、今日の仕事をするかな」
また時間は移ろいで、今日は乱数さんと食事に行く日。今日の仕事はそこそこに終わらせて、午後五時には準備でも始めようかと思う。
「メール、メールをチェック……」
私には、日々の仕事のルーティンがある。まず仕事の最初に、メールを確認する事。私はフリーランスとして業務を行っているので、仕事には迅速さを求められる。メールへの返信も、大事な業務の一環だし、お偉いさんは、意外とそういう所を気にする。合理的なルーティンってわけだ。
「メールアプリっと」
メールアプリをクリックで開く。するとそこには、未読のメールが四件ほどあった。
「え?四件も……?今日は中々多いなぁ」
さっきも言った通り、私はフリーランスで仕事をしている。そんな中で朝に未読メールが四件というのは、中々多い。しかも、送信先はみんな違う個人や企業だった。
「なんだろう、忙しくなりそうな予感がする」
途端に、仕事に関する少し悪い予感を覚えた。エアコンからではなさそうな風が吹いた気がする。
仕事が忙しくなるという事、それは拘束時間が長くなるという事だ。私としては、それは御免だ。
「仕事が多すぎると、本当にやりたい事ができなくなっちゃうんだよなぁ……」
私は仕事を通して、ある事を知ろうとしている。それのためにこの出版業界に来たのに、仕事が忙しいせいで知る事ができなくなるなんて、それは流石に本末転倒すぎる。それに、私は自由を奪われるのが苦手だ。というか、嫌いだ。だから仕事にはあまり時間を使いたくない。
「うーん、まぁでも……お金かぁ」
だが、私は結局、全ての仕事を受け付ける。本来なら断る事も出来るが、いつもそれはしない。理由なんて単純。お金がないと、生活ができないからだ。汚い大人だと思われるかもしれないが、これがリアルだ。愛だけで衣食住が用意できたら、私はとっくに──。
「はっ!やばい、何分過ぎた?メール確認しなきゃ」
刹那、正気に戻る。ついつい、昔の事を思い出そうとしてしまった。
「はぁー、仕事をしないと」
気持ちを切り替えて、仕事モードに一転。私はきっちりとメールを確認していく。仕事とは、本来こういう姿勢で取り組むべきものだなと思った。
「なるほどね……。新規依頼はそこまでかも」
新規の依頼はあまりなく、会議の日程調整についてだったり、締切設定だったり、そんなメールばかりだった。
「うーん、ちょこちょこ忙しいかもぐらいになるかな」
あんまり仕事が増えそうになくて、私は少しだけ安心した。これなら穏やかに出来そうだ。
「さて、最後のメールはー……」
だが、それは束の間。私の想像は、容易く打ち切られる。
「……え……えぇ……。嘘でしょ?」
メールの内容を見て、私は唖然とした。
「夢野先生の本の……デザイン監修って?」
また時間は移ろいで、今日は乱数さんと食事に行く日。今日の仕事はそこそこに終わらせて、午後五時には準備でも始めようかと思う。
「メール、メールをチェック……」
私には、日々の仕事のルーティンがある。まず仕事の最初に、メールを確認する事。私はフリーランスとして業務を行っているので、仕事には迅速さを求められる。メールへの返信も、大事な業務の一環だし、お偉いさんは、意外とそういう所を気にする。合理的なルーティンってわけだ。
「メールアプリっと」
メールアプリをクリックで開く。するとそこには、未読のメールが四件ほどあった。
「え?四件も……?今日は中々多いなぁ」
さっきも言った通り、私はフリーランスで仕事をしている。そんな中で朝に未読メールが四件というのは、中々多い。しかも、送信先はみんな違う個人や企業だった。
「なんだろう、忙しくなりそうな予感がする」
途端に、仕事に関する少し悪い予感を覚えた。エアコンからではなさそうな風が吹いた気がする。
仕事が忙しくなるという事、それは拘束時間が長くなるという事だ。私としては、それは御免だ。
「仕事が多すぎると、本当にやりたい事ができなくなっちゃうんだよなぁ……」
私は仕事を通して、ある事を知ろうとしている。それのためにこの出版業界に来たのに、仕事が忙しいせいで知る事ができなくなるなんて、それは流石に本末転倒すぎる。それに、私は自由を奪われるのが苦手だ。というか、嫌いだ。だから仕事にはあまり時間を使いたくない。
「うーん、まぁでも……お金かぁ」
だが、私は結局、全ての仕事を受け付ける。本来なら断る事も出来るが、いつもそれはしない。理由なんて単純。お金がないと、生活ができないからだ。汚い大人だと思われるかもしれないが、これがリアルだ。愛だけで衣食住が用意できたら、私はとっくに──。
「はっ!やばい、何分過ぎた?メール確認しなきゃ」
刹那、正気に戻る。ついつい、昔の事を思い出そうとしてしまった。
「はぁー、仕事をしないと」
気持ちを切り替えて、仕事モードに一転。私はきっちりとメールを確認していく。仕事とは、本来こういう姿勢で取り組むべきものだなと思った。
「なるほどね……。新規依頼はそこまでかも」
新規の依頼はあまりなく、会議の日程調整についてだったり、締切設定だったり、そんなメールばかりだった。
「うーん、ちょこちょこ忙しいかもぐらいになるかな」
あんまり仕事が増えそうになくて、私は少しだけ安心した。これなら穏やかに出来そうだ。
「さて、最後のメールはー……」
だが、それは束の間。私の想像は、容易く打ち切られる。
「……え……えぇ……。嘘でしょ?」
メールの内容を見て、私は唖然とした。
「夢野先生の本の……デザイン監修って?」
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