秋雅とリィズの言い争いが終わると、リィズは何か思い出したかのような顔をすると秋雅に話しかける。

「じゃあ、一回本部行っといた方がいいんじゃない？」
『本部って……なんでしょうか？』
「本部っていうのは、ミラージュの仕事場や色んな手続きの場になるところのことだよ」
「確かに、入隊すると検査や実力把握テストとかの色んな手続きをしなきゃいけなくってな」

そう言うと秋雅は、スマホをいじり誰かに連絡する。
その隣ではパンケーキに引き続きパフェも注文するリィズ。

（まだ食べるんだ……）

リィズの食い意地に若干引いた目で見る彗月。

秋雅は連絡を終えたのか、ふと隣のリィズを見る。

パフェを頬張るリィズに、静かにキレた秋雅はスマホを握っている右手に更に力を込めて、怒りを表す。
ただならぬ雰囲気を感じた彗月は、慌てて話題を振る。

『そ、そういえば、先程何を連絡していたんですか？』
「ん？あぁ、本部に行く為に車を手配するよう頼んだんだ」
「ふぇ？ひゃありひょいだほうがふぃふぃかひぃ？」
（何言ってるか全くわかんないよ…）

パンケーキを口いっぱいに入れながら、言語ではない何かを話すリィズに、秋雅と彗月は困惑する。

「何言ってるか分からんが、急げ」
「ふぁい！」
（はい！って言ったのかな？）

そう言われ光の速さでパフェを平らげると、会計を済ませ、近くにあったコインパーキングに向かう。
そこには、一台の黒い車があった。