喫茶店に入ると、4人用の席から1人の少年が彗月達に手を振っていた。
青年は少年の存在に気づくと、その少年の席へと移動する。

その少年は、小柄で少し幼い顔立ちをしていていかにも美少年という感じだった。

少年と秋雅は彗月と向かい合う形で座る。
少年は、メニュー表を開いてどれを食べようかと目をキラキラ輝かせていた。

「これってましろんの奢りってことでいいよね！？」

急に少年が、高揚感が聞いて取れる声で秋雅に聞く。

「はぁ？お前、奢るとは言っとらんやろ！」
「店員さーん、このフワ甘クリームマシマシパンケーキを一つ！」
「おい！ったく……お前もなんか食うか？」
『あっいえ、お構いなく……』

彗月は目の前の喧嘩？に呆然としていた為、急に話しかけられ、言葉がこもってしまう。
秋雅は「じゃあコーヒーでも頼んでおくか」と彗月の分までコーヒーを注文する。

そして、少年が頼んだ見るからに甘そうなパンケーキとコーヒーが届く。

「めっちゃ美味そう！いただきます！」
「……このクソガキは『[漢字]緋村[/漢字][ふりがな]ひむら[/ふりがな]リィズ』。一応俺の後輩にあたる野郎だ」
『そ、そうなんですね……』

どう反応したら良いか分からず苦笑いを浮かべる。リィズはパンケーキを頬張りながら、彗月を舐めるようにじっくりと見る。

（めっちゃ見られてる……）
「この子が例の子？」
「あぁ、そうだ、じゃあそろそろ本題に入るか」

そう言って秋雅はコーヒーを一口飲むと、彗月に真剣な眼差しを向ける。
緩かった雰囲気が急に変わり、少し緊張感が走る。

「お前がミラージュに入る事についてだ」

秋雅はそう言って本題を喋り始めるのだった。