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最も醜い化け物の英雄奮闘記

#12

第10話『無関心』

『お、大きなナニカ……ですか』

ミラに言われた一部を復唱すると、足元に視線を落とす。
そんな彗月と対極的に、秋雅を除く3人は、またはしゃいでいた。

「もしかして、すごい後輩の先輩になっちゃった!?」
「かわいいのに強いなんて反則だよ、彗月ちゃん」
「ミラさん!その大きなナニカってなんですか!?」

一気に喋る3人に、ミラは少し困惑の色を見せるが、物腰柔らかい口調を変わらせず話しかける。

「そこまで分からなかったわ。そのナニカは黒色で塗り潰されたように、サーチできなかったのよ」

秋雅ははしゃぐ3人にゲンコツをお見舞いし、黙らせる。
3人は口々に「ゴリラかよ」と秋雅の力を茶化すように言う。

「じゃあ、要さんの検査結果はこっちで提出しておくから、みんなは本部内でも案内してきたら?」

ミラの提案に秋雅のゲンコツによって、しょげていた3人は息を吹き返したように、明るくなる。

「先輩が案内してあげる!」
「アタシもいくー!」
「オレがかわいい子を案内してやるよ」

そう言ってリィズは彗月の手を掴み、そのまま検査室の外に出る。

『え?えぇ』

何が何だか分からずに外に連れ出された彗月は困惑気味。
助けを求めるように、秋雅の方を向くと

「俺は用があるから、先に案内しておいてくれ」
「りょーかい、ましろんの分まで案内してくる!」

彗月の助けを求める視線をスルーして、4人を見送る。

そして嵐のように消えていった4人を優しい笑顔で見送ったミラは、秋雅と2人になる。

「で、真白さん私に用って何かしら?」
「アイツの能力のこと、まだ何かあるんだろう?」

カルテを手に取り、舐めるように見た秋雅は、ミラにそう問いかける。
ミラは、一瞬キョトンとした顔になるが、すぐさま何か諦めたかのように小さく息を吐く。

「真白さん、貴方は騙せませんね」
「そりゃこれだけではないよな。アイツの能力。」
「えぇ、詳しくはよく分からなかったけどね。あの子何者なのかしら…」

少しの沈黙が流れる。
先に沈黙を破ったのは、ミラだった。

「あの子何か、隠してる気がするのよね」
「……俺は知ったこっちゃない」

ミラの疑問に素っ気なく返す秋雅。
騒がしい3人とその3人に連れ出された彗月がいなくなったことで、先程とは比べられないほどの静かさがその間に流れる。

「あらあら、冷たいことね。もう少し関心持ったらどう?」

ミラの提案を無言で流し、壁にもたれかかった体を起こしてから、ドアノブに手をかける。

「アイツはただの隊員だ。アイツの能力がどうとか、何を隠しているのかとかは、正直興味なんてない」

そう吐き捨てると、ドアノブを捻りそのまま外に出る。
秋雅が検査室を後に出ると、ミラは一人取り残される。

「真白さんはあの子に無関心なんだから……まぁあの人らしいけどね」

そう言って飲みかけのコーヒーを飲み干す。
マグカップを置いて、カルテの結果を見る。

「不思議な子……きっと大物になるわね」

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作者メッセージ

秋雅くんの人間性が少し覗けた回でした。
次は本部探索回になりそうです。

2024/09/17 15:58

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