そこには、白衣を着た女性が椅子に座り優雅にコーヒーを飲んでいた。

（綺麗な人……）
「ミラさん、コイツの能力検査をお願いしたいのだが」

秋雅がそうミラさんと呼ばれた白衣を着た女性は５人の姿を順番に見ていく。

「三雲さん、資料届けてくれたのね。」

遥の姿を見ると小さく微笑み、遙は女性に鞄から茶封筒を取り出し渡す。
茶封筒を貰った女性は、彗月の姿を見る。

「真白さん、この子が推薦の子ね。分かったわ検査するわね……貴女、こっちへおいで」

そう言って手招きで彗月が来るように促す。
彗月は女性の元へと、少し緊張した顔をしながら向かう。

「私は[漢字]花道院美楽[/漢字][ふりがな]かどういんみら[/ふりがな]。みんなからはミラさんって呼ばれてるわ。能力検査長と医療部隊隊長を勤めているわ。」
『よ、よろしくお願いします』

彗月をパイプ椅子に座らせて、ミラも向き合うようにして座る。
ミラは彗月の頭に手をかざすように前に突き出し、目を瞑る。
すると、ミラの手から光の胞子のようなものが発生し、その胞子のようなものが彗月の額に染み込むように消えていく。

「……なるほどね〜」
『な、何を調べたんですか？』

ミラの反応に、彗月はついそう問いかける。
瞑っていた目を開け、ニコッと微笑むと優しい口調で答えを返す。

「私ね、サーチとリカバリーという能力をを持つの。それでサーチで貴女の能力を調べさせてもらったわ」
「ミラさん！結果はどうなったの？」

自分の能力を簡単に説明するミラに、結果を急かすリィズ。
「落ち着いて」と目をキラキラさせ鼻息が荒いリィズを落ち着かせる。

「彼女の能力は、[漢字]影の狩人[/漢字][ふりがな]シャドーキラー[/ふりがな]。影と呼ばれるエネルギーを操る能力。変形自在に形を変える柔軟性を持ち、能力ですら破壊するパワーを持つわ」
『そんなことまで分かるんですね……』

彗月の能力をカルテに記入しながら、そう話すミラを横目に、リィズと遥は

「やばいじゃん！」
「すごぉ！アタシのランクすぐ越えられちゃうかも！」

とてもはしゃいでいる様子だった。

「そこ、はしゃぐな」
「「はい…」」

そんな2人を一喝し大人しくさせる秋雅、その姿はまるで2人の父親のようだった。

「と…もう一つ、彼女は」

ミラは先程の話を続け、そんなミラに５人の視線が向く。

「私達の想像を大きく超える、大きなナニカを彼女は隠しているわ」