記憶と声
俺は昔から祖父母が住むド田舎の村が好きだった。年に数回帰省していて、都会の人混みから開放された気分を楽しんでいた。
俺はこの村に住む「女の子」と仲良くしていた。ある日、いつものように女の子の家に遊びに行くと、女の子が「面白いところ連れてってあげる。」といい、そのまま半ば強引に着いて行かされた。
だが、向かっている先は明らかに草木が生い茂り、人が通る道ではなかった。その時不意に、祖母の話を思い出した。
「いいか?この村には神様が祀られた祠がある。ここの神様は絶対に近づいてはならない。そして、知ってしまっても絶対に人に話してはならないよ。広めてはならない」というものだ。
俺はもしかしたらと思ったが、俺はついて行くことにした。子供特有の好奇心と行動力だ。
そして進んでいくと、しめ縄が落ちていた。女の子はそれをまたいで進んで行ったので、急いで追いかけた。そして目に付いたのは、石像だった。そこには文字が刻まれており、その文字を読んだら、この世のものとは思えない寒気と、「読んだね?」と女性と男性が同時に喋ったような声が聞こえた。俺は女の子を見た。魂が抜けたカカシのような状態だった。俺は焦る。
だがその時。「何してる」という老人の声が聞こえた。それと同時に寒気はなくなり、女の子も意識が戻ったのか、「あれ?あれ?」と、焦っていた。その後は老人と一緒に村に戻った。
この時には日が暮れており、急いで家に戻ろうとしたが、女の子の両親と俺の両親が前から歩いてきて、「村長の家へ行くぞ」とだけ言い、俺らの手を引っ張ってきた。俺は戸惑いながらも、村長の家へ向かった。村長は、「話は聞いたよ。何があったか、言ってくれるかい?」と優しく言ってくれた。
俺はあったことを正直に話した。村長は俺が話している間。笑顔で頷いてくれていた。だが、「読んだね?って女性と男性が混ざった声が…」って言おうとした時。村長は下を向き、真顔になった。だがすぐに元に戻った。一通り話した後。村長は「いいかい?このことは絶対に他の人に話してはならない。もうあいつを縛る力はない。封印はとかれてしまった」とだけ言い、両親と一緒に村から出て、帰るように言われた。両親はなにも反論せず、家に帰った。最後の最後、女の子を見た。だけど今は顔や声、容姿すら覚えてない。
俺は20歳になるまでこの事を忘れていた。だがある日、いつも通り仕事から帰り、ベットに横たわった時、「*****」と、聞き取れない声が聞こえた。あの女性と男性の混ざった声だ。俺はその後気絶したようだ。気づいたら朝だった。その日は仕事を休み、実家に電話した。「祖父母の家がある○○村は何処だっけ?」と聞いた。何となく、生きている保証のない村長に助けて欲しかったからだ。だが両親は「○○村?何処よそこ」と言われた。俺は混乱した「え?祖父母のいた○○村だよ!?」って言っても、「お母さんは認知症で施設に、お父さんは2年前に死んじゃったでしょ?あんた葬式に出てたじゃない」と言われた。俺は「そうだったそうだった」といい、電話を切った。
俺はパニックになり、つい中学からの親友に話してしまった。親友は「そうか、それは大変だったな。で?行くの?そこ。ついてくよ」と言ってくれた。「なんで信じてくれんだ?」といったら「だってそんな数時間もペラペラと創作話を話せるか?もし話せてたらお前は詐欺師目指すべきだよ」と言われた。俺は親友が親友で良かったと思った。俺はこいつと○○村へ行く事にした。何とかその村がある山だけは思い出せたので、そこへ行けば村にたどり着くと思ったからだ。俺は親友とバイクでそこへ向かった。
このボタンは廃止予定です