[明朝体]

私が病院に着いたとき、家族はもう息を引き取っていた 。

[小文字]「...マジで死んだんだ ？ 」[/小文字]

怒りも悲しさもなかった。

ただ、死んだという事実が確認できたら、後はどうでもよかった。

だから家族の死を背に、私は帰ろうとした 。

看護師「家族が死んだのに泣きもしないで、そのセリフだけって...」

看護師「あなた本当に人の心があるんですかｯｯｯ？！？！」

医者「おい！やめなさい！！」


そのセリフで一瞬、私の足音が止まる。


「………」

あるはずがなかった。

私の自尊心も

人間としての尊厳も権利も

家族に無茶苦茶にされたから。


「...家族から虐待を受けていたのに、それ以外に何がいるって言うの？」


看護師「…え、？」


看護師にそう一言告げると、私はまた歩き出した。

看護師「………っ」

…あの時の歪んだ看護師の表情は今でも忘れられない 。


[/明朝体]