春、君は何処へ。
#1
春、舞う桜。
あの日、君に言えなかった、
[水平線]
『美羽?起きてる?』
僅かに頬をつつかれる感触があって、うっすらと目を開ける。
今日生徒会だよ、と聞こえさえしなければ、もう少しでも寝られたのに。
鞄のどこかに入れたままのノートを取りに行こうと席を立って、ふと思う。
今、元気かな。
春の香りは好きじゃない。
けれど、『春』のあの香りは、好きだ。
春、というのは、いなくなった私の幼なじみだ。
本名を、春佳 ── 結月春佳という。
よく、共通の友達である千夏と三人で遊び、時に先刻のような事もした。
春と夏、それに私の冬で『あきない、ってこと?』なんて笑っていたけど、あれはいつのことだろうか。
『美冬、始まるよ』
「あぁごめん、すぐいくね」
窓の外の大きな桜は、雪を背負って踏ん張っていた。
[水平線]
『美羽?起きてる?』
僅かに頬をつつかれる感触があって、うっすらと目を開ける。
今日生徒会だよ、と聞こえさえしなければ、もう少しでも寝られたのに。
鞄のどこかに入れたままのノートを取りに行こうと席を立って、ふと思う。
今、元気かな。
春の香りは好きじゃない。
けれど、『春』のあの香りは、好きだ。
春、というのは、いなくなった私の幼なじみだ。
本名を、春佳 ── 結月春佳という。
よく、共通の友達である千夏と三人で遊び、時に先刻のような事もした。
春と夏、それに私の冬で『あきない、ってこと?』なんて笑っていたけど、あれはいつのことだろうか。
『美冬、始まるよ』
「あぁごめん、すぐいくね」
窓の外の大きな桜は、雪を背負って踏ん張っていた。
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