二次創作
及川徹と未来予想
#1
及川とオンリーバレンタイン
二月十三日。この日のわたしの未来予想は大体当たる。
「ズバリ!明日はカップルが数組、振られて泣いて女友達に囲まれてなく奴が数人、渡す前に失恋する奴が十数人、貰えずに泣くやつが山ほど現れる!」
「最期シビアだな」
「義理チョコを大量にもらって浮かれてるクソ川も浮かぶけどな」
「義理チョコなのにな」
「ひどいよみんなして!」
わたしの適当な未来予想によっていつも通り及川がいじられる。ご愁傷様。
「○○ちゃんは及川さんに本命くれるよね?」
くれないとないちゃうよ!と駄々をこねる及川を一瞥。
「好きでもない女子からチョコを貰うやつにやるチョコはない」
そう吐き捨てると泣くふりをしだす及川。面倒くさいことこの上ない。
まぁ、そんなやつを好きになってしまったわたしも大概だけど。
「そもそも好きでもない奴から受け取って期待させるほうが最低だろ」
「そうなんだよ岩ちゃん!ほんとかっこいい、最高」
相変わらずの男前を発揮する岩ちゃんに、及川が拗ねだす。
「わかったよ!好きな子からだけ受け取ればいいんでしょ!」
見ててね○○ちゃん!なんてビシッと指をさされるけど、何が悲しくて失恋現場を見ていなくちゃならないのか。
「わたしに宣言してもしょうがないでしょ。好きな子に宣言してきなよ。」
なんて言ってやれば、はぁ~。とため息をつく四人。
「●●って時々ほんと鈍いよな」
呆れ半分にマッキーに言われる。心外な。
「あ、わかった、及川あんた好きな子に宣言すんの怖いんでしょ」
チキンめ。
「大丈夫だって!あんたに告られて嫌な顔すんの飛雄くらいだよ、きっと」
チキンで可哀想な及川を慰めるべく励ましてやると、二つの思わぬ射撃が入る。
「それ俺も追加で」
「俺も」
「なんなのさマッキーもまっつんも!」
「わお、どんまい」
嘆く及川の背中をバシバシ、と励まし代わりに叩いてやると、痛いよ!と声を上げる。
「そもそも未来永劫こいつらに告白する事なんてないから!」
ふいっ、とそっぽを向く及川の背中を岩ちゃんがまたバシッとひっぱたく。
「んじゃ、今日も送ってくれてありがとね」
実はこんなにいじり倒しているけどわたしの家まで送ってもらっている最中だったのだ。
「気にすんな、じゃあな」
ばいばい、と手を振ってから玄関に向かったのを確認して四人ともわらわらと帰っていく。
こうして来た道を戻る姿を見ると申し訳なくなるけど、遅くまでの練習の後に一人で帰るのも怖くて有難く甘えさせてもらっている。
だが、帰っている道で及川が励まされているのは、わたしには私には知る由もない。
二月十四日。今日も例年通り浮かれているやつばかりかと思っていたけど、今年は少し違うらしく、落ち込んでるやつが多い。みんなして失恋したのか。
そう思って自分のバックに軽く目をやる。
一応バレー部への義理チョコのほかに、及川の分も用意はしてみたけど、こうして振られている子たちを見る限り、及川には彼女でも出来たのだろう。そうなるとこのチョコ、どうするか。そんなことは作った時から決めてある。
嫌がらせとして飛雄にあげよう。純粋なる後輩を嫌がらせに巻き込むのは気が引けるが飛雄なら喜んで食べるだろう、としめしめと悪だくみをして、いざ昼休み。そいつは大声で名前を呼んで来やがった。
「○○ちゃん!俺ちゃんとチョコ断ったからチョコください!」
そういう彼の手には、毎年あるはずのチョコはない。
「え、噓でしょ?なんで?」
昨日好きな子に言いなって言ったじゃん、と付け足せば、及川は深く深くため息をつく。
「俺が好きなの、ずっと○○ちゃんだから。俺と付き合ってください」
顔を赤くする及川は、いつもキャーキャー言われてるような感じではなくて、まさにバレーボールをやっているときのような表情で。
「わたしでよければ宜しくお願いします。はい、これチョコね」
一回頭を下げてからチョコを渡すと、及川は「嬉しいけど雰囲気!」と騒ぎ始める。
「ごめんごめん。ちょっと恥ずかしくて」
そんな風に笑えば、かわいいな!と怒りながら言ってくる。
このときのわたしは、校内一のバカップルとして名を馳せることをまだ知らない。
「もし徹があのときチョコを一つでも持ってたら飛雄にあげようって決めてたんだよね」
ソファーに並んで、わたしが作ったバレンタインチョコを頬張る徹は、それを聞くとものすごいしかめっ面をする。
「駄目だよ絶対。そんなことしたら及川さん飛雄のこと末代まで祟るからね」
「飛雄が被害者すぎる」
なんて二人で笑いながら過ごせている幸福感に浸りながら、ふとあのときのことを思い出す。たしか、わたし以外の全員徹がわたしのことを好きなの知ってんだっけ。
でも、あのときのマッキーの予想は外れていてよかったな、と思う。
「ていうか及川さんって言わないでよ。わたしももう及川さんなんだけど」
高校の時から変わってないそのノリをする徹をこずくと、幸せすぎる、と惚け始める。
バレーをしてる時の真剣な表情も好きだけど、こういうデレデレの徹も好きだよ、とは言ってやらない。
「ズバリ!明日はカップルが数組、振られて泣いて女友達に囲まれてなく奴が数人、渡す前に失恋する奴が十数人、貰えずに泣くやつが山ほど現れる!」
「最期シビアだな」
「義理チョコを大量にもらって浮かれてるクソ川も浮かぶけどな」
「義理チョコなのにな」
「ひどいよみんなして!」
わたしの適当な未来予想によっていつも通り及川がいじられる。ご愁傷様。
「○○ちゃんは及川さんに本命くれるよね?」
くれないとないちゃうよ!と駄々をこねる及川を一瞥。
「好きでもない女子からチョコを貰うやつにやるチョコはない」
そう吐き捨てると泣くふりをしだす及川。面倒くさいことこの上ない。
まぁ、そんなやつを好きになってしまったわたしも大概だけど。
「そもそも好きでもない奴から受け取って期待させるほうが最低だろ」
「そうなんだよ岩ちゃん!ほんとかっこいい、最高」
相変わらずの男前を発揮する岩ちゃんに、及川が拗ねだす。
「わかったよ!好きな子からだけ受け取ればいいんでしょ!」
見ててね○○ちゃん!なんてビシッと指をさされるけど、何が悲しくて失恋現場を見ていなくちゃならないのか。
「わたしに宣言してもしょうがないでしょ。好きな子に宣言してきなよ。」
なんて言ってやれば、はぁ~。とため息をつく四人。
「●●って時々ほんと鈍いよな」
呆れ半分にマッキーに言われる。心外な。
「あ、わかった、及川あんた好きな子に宣言すんの怖いんでしょ」
チキンめ。
「大丈夫だって!あんたに告られて嫌な顔すんの飛雄くらいだよ、きっと」
チキンで可哀想な及川を慰めるべく励ましてやると、二つの思わぬ射撃が入る。
「それ俺も追加で」
「俺も」
「なんなのさマッキーもまっつんも!」
「わお、どんまい」
嘆く及川の背中をバシバシ、と励まし代わりに叩いてやると、痛いよ!と声を上げる。
「そもそも未来永劫こいつらに告白する事なんてないから!」
ふいっ、とそっぽを向く及川の背中を岩ちゃんがまたバシッとひっぱたく。
「んじゃ、今日も送ってくれてありがとね」
実はこんなにいじり倒しているけどわたしの家まで送ってもらっている最中だったのだ。
「気にすんな、じゃあな」
ばいばい、と手を振ってから玄関に向かったのを確認して四人ともわらわらと帰っていく。
こうして来た道を戻る姿を見ると申し訳なくなるけど、遅くまでの練習の後に一人で帰るのも怖くて有難く甘えさせてもらっている。
だが、帰っている道で及川が励まされているのは、わたしには私には知る由もない。
二月十四日。今日も例年通り浮かれているやつばかりかと思っていたけど、今年は少し違うらしく、落ち込んでるやつが多い。みんなして失恋したのか。
そう思って自分のバックに軽く目をやる。
一応バレー部への義理チョコのほかに、及川の分も用意はしてみたけど、こうして振られている子たちを見る限り、及川には彼女でも出来たのだろう。そうなるとこのチョコ、どうするか。そんなことは作った時から決めてある。
嫌がらせとして飛雄にあげよう。純粋なる後輩を嫌がらせに巻き込むのは気が引けるが飛雄なら喜んで食べるだろう、としめしめと悪だくみをして、いざ昼休み。そいつは大声で名前を呼んで来やがった。
「○○ちゃん!俺ちゃんとチョコ断ったからチョコください!」
そういう彼の手には、毎年あるはずのチョコはない。
「え、噓でしょ?なんで?」
昨日好きな子に言いなって言ったじゃん、と付け足せば、及川は深く深くため息をつく。
「俺が好きなの、ずっと○○ちゃんだから。俺と付き合ってください」
顔を赤くする及川は、いつもキャーキャー言われてるような感じではなくて、まさにバレーボールをやっているときのような表情で。
「わたしでよければ宜しくお願いします。はい、これチョコね」
一回頭を下げてからチョコを渡すと、及川は「嬉しいけど雰囲気!」と騒ぎ始める。
「ごめんごめん。ちょっと恥ずかしくて」
そんな風に笑えば、かわいいな!と怒りながら言ってくる。
このときのわたしは、校内一のバカップルとして名を馳せることをまだ知らない。
「もし徹があのときチョコを一つでも持ってたら飛雄にあげようって決めてたんだよね」
ソファーに並んで、わたしが作ったバレンタインチョコを頬張る徹は、それを聞くとものすごいしかめっ面をする。
「駄目だよ絶対。そんなことしたら及川さん飛雄のこと末代まで祟るからね」
「飛雄が被害者すぎる」
なんて二人で笑いながら過ごせている幸福感に浸りながら、ふとあのときのことを思い出す。たしか、わたし以外の全員徹がわたしのことを好きなの知ってんだっけ。
でも、あのときのマッキーの予想は外れていてよかったな、と思う。
「ていうか及川さんって言わないでよ。わたしももう及川さんなんだけど」
高校の時から変わってないそのノリをする徹をこずくと、幸せすぎる、と惚け始める。
バレーをしてる時の真剣な表情も好きだけど、こういうデレデレの徹も好きだよ、とは言ってやらない。
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