全部上書きして【Lier's world】
夕凪「.........だからあの日の事も、全部ぜんぶ嘘。」
夕凪「[太字]俺は自分の過ちを全部上書きしたんだよ[/太字]」
朝露「.........」
夕凪「みんなそうだった。[太字]みんな嘘つきだった。[/太字]」
夕凪「[太字]俺もお前も、朱肉や捨て飯だって、嘘つきだった。[/太字]」
夕凪「.........お前なら分かんだろ」
朝露「............」
夕凪「[太字]______それぞれがそれぞれの方法で、自分の歴史を上書きしようとしてた。[/太字]」
夕凪「塗りつぶされてたのは自分だってのに、それでも苦痛以上の幸福を得てその度乱雑に過去を塗りつぶそうとしたヤツがいて。」
夕凪「比べられてばかりの人生に生きる意味が見出せないまま、誰かさんへ向けた黒い感情を日常で薄めようとしたヤツがいて。」
夕凪「.........」
夕凪「.........それに、心の傷跡の恐怖をえぐり返されるのが恐怖で自分を偽りの姿に書き換えてたヤツだっていたよ。」
[小文字]朝露「みんな.........か」[/小文字]
夕凪「そ、俺らはみーんなそれぞれのやり方でそうやって自分の事嘘で塗り固めようとしてたんだよ、」
夕凪「.........不思議な話だろ」
朝露「.........そうだな」
朝露「[太字].........それでも俺、......同じくらい全部に向き合おうとしてたヤツらに出会ったのも間違いじゃないと思うんだよな[/太字]」
夕凪「向き合う.........」
朝露「.........そ、向き合う。」
朝露「救いようのない、知らない誰かにすらも手を差し伸べるような神様みたいなヤツがいて。」
朝露「大切なものを失くしたら忘れようとしないで、馬鹿みたいに取り憑かれたように動き続けられるようなヤツがいて。」
朝露「[太字].........俺ら、そういうヤツらに何回も救われてきたんじゃないかなって思う[/太字]」
朝露「いなかったら、きっと......希望なんて知らないまま過ごしてくなんて事もあったと思う」
朝露「.........ただ別に、俺らが『変わる』って事が全部良い事だなんて事もなくて。」
朝露「もちろん、[太字]そこに代償はあった。[/太字]」
朝露「見える世界も思考回路も、きっと変わって、また苦しみが生まれて、そこからまた嘘が生まれる。」
朝露「.........なぁ夕凪。」
朝露「[太字]俺らは、変われたよな?[/太字]」
夕凪「............」
夕凪「[太字]......当たり前だろ。[/太字]」