全部上書きして【Lier's world】
結局私は何もできない子でしたよ。
昔から掲げた夢、両親からの期待、ましてや最高傑作とされた最低最悪な弟も。
[太字]かなわなかった。かなえられなかった。[/太字]
そんな世界で生きる意味なんて、いつまで経っても見い出せるわけがなかった。
夢なんて、もう叶えられるなんて世界の話ではなくなっていた。
私があの時『 警察官になりたい 』なんて言った自分の真理。
『 警察 』に憧れたんじゃなかった。
[太字]憧れたのは、『 お父さん 』の方だった。[/太字]
お父さんの、その勇敢な姿に憧れていただけだった。
[太字]ただ『 勇気のある人 " になりたかった " 』だけだった。[/太字]
次第にたくさん歪んでいき、その成れの果てで私の人生は壊された。
[太字]" 皆のため " 、その一言だけで。[/太字]
[水平線]
捨て飯「............だからもう一度だけ言ってあげますよ。」
捨て飯「[太字]私はやっぱり、あなたを愛することなんてできない。[/太字]」
きっと悲しい目をしているだろう。
きっと瞳の奥には何もないだろう。
きっと虚しさしか心には残ってないだろう。
捨て飯「跡形もなくぐちゃぐちゃにされたこんな人生に、生きる意味なんて............」
捨て飯「.........意味なんて............」
[小文字]捨て飯「意味、なんて...............ッ」[/小文字]
[小文字]捨て飯「[太字]そんなものは、ないんですよ............[/太字]」[/小文字]
ただ小さな声でそう告げられる。
捨て飯「私はもう、戻れませんから............」
捨て飯「[太字]...............『 さようなら 』[/太字]」
捨て飯「[太字]______そんな終わりの言葉も言えなくなりましたから[/太字]」
ただ、何かがずっと引っかかる。
何か、ずっと後回しにされている気がする。
何となく例えるなら、喉に魚の骨が刺さったような感じだった。
夕凪「[太字]...............『羨ましかった』の、間違いじゃないのか?[/太字]」
捨て飯「[太字]...............は?[/太字]」
夕凪「[太字]______だから、それは『恨んでた』『憎んでた』じゃなくて、『羨ましかった』の間違いじゃないのかって[/太字]」
捨て飯「羨ましかった?」
朱肉「............羨望ゆえの、いわゆる[太字]嫉妬みたいなものってこと?[/太字]」
夕凪「あー、それだ。」
捨て飯「嫉妬.........? 私は尊敬していた父に嫉妬していたんだって言うんですか.........?」
夕凪「んまぁ.........そうなんじゃないかなって」
夕凪「[太字]現に俺自身も似たようなもんだったわけだし?[/太字]」
いたずらに笑った彼の目の先には朝露がいた。
夕凪「意外と嫉妬するまでって無自覚なもんなんだよ」
夕凪「[太字]今からでも戻れるんだっての、分かったなら扉開けろ[/太字]」
捨て飯「..................いや。」
捨て飯「そんなの知ったところで、私に歩ける道なんてもう残ってませんよ............」
捨て飯「大体、残ってるのなんて精々茨の道くらいです 進む勇気もないんですから それくらいなら消えた方が楽ですよ だから___ 」
朱肉「[太字]............道あるじゃん、そこ歩きなよ[/太字]」
捨て飯「................は?」
朱肉「別に痛くてもいいじゃん。てか捨て飯さんもう茨の道進んでるでしょ?」
捨て飯「............違います。壊されてボロボロになった道を宛てもなく進んでいるだけですから___ 」
朱肉「.........あのね、捨て飯さん。」
朱肉「[太字]............僕らはきっと、痛みを知るってことを恐れなくていいんだと思う[/太字]」
朱肉「............勇気はなくても、[太字]希望があればきっと何だってできると思うから[/太字]」
朱肉「痛くても、傷ついても、心無い言葉で身体を貫かれても、希望があれば、きっと............そう信じたい」
捨て飯「...............」
朱肉「だからおいでよ」
朱肉「[太字]扉の先に希望があるって、信じてよ[/太字]」
捨て飯「............本当にいいんですか」
朱肉「なにが?」
捨て飯「今更戻れないことを知ったのに、合わせるような顔もないのに、本当に、信じていいんですか.........?」
朱肉「............僕とか夕凪先生とか朝露さんとかが、今までの思い出でできた友情全部裏切ると思うの?」
捨て飯「...............」
捨て飯「 『柊翔は何でもできる子だね、偉い子だね』って言われて『それなのに、蓮翔はなーんにもできないね』って言われて。 」
捨て飯「.........つらかった...............誰かに助けてもらいたかった............」
捨て飯「[太字]誰でもいいから、見てほしかった............っ[/太字]」
少し意地悪な話、見せかけ以上に彼の今の[漢字]願い[/漢字][ふりがな]夢[/ふりがな]は幼稚なものだった。
捨て飯「...............」
朱肉「............あれ、捨て飯さん?」
朱肉「え死んだ?」
朝露「............いや、寝てるなこれ」
朱肉「え寝てる!?」
朝露「泣き疲れて寝たんだろ、きっと」
[小文字]夕凪「はぁ、何とも赤ちゃんみたいな.........」[/小文字]
............明日になったら、きっと開けてくれそうだ
柊翔「あ、もうこんな時間............皆さんもう帰った方が良いですよ」
夕凪「え、もうそんな時間経って............
外の世界は、もう夕暮れ時が終わりかけていた。
夕凪「............るわ」
朱肉「帰りましょ、寒いですし」
朝露「.........よし、じゃあ俺がお前らにラーメン作るか」
朱肉「えいいの?」
朝露「特別な」
朱肉「え、じゃあ何ラーメンにしようかな............」
[小文字]柊翔「気を付けてくださいね〜」[/小文字]
夕凪「俺はいつも頼んでるやつな」
朝露「はいはい、醤油ラーメンねw」
[小文字]朱肉「いつか『いつもの』って言って頼んでみたいなぁ.........」
朝露「憧れだよなー分かる」
夕凪「俺の場合こいつが知り合いだから言えるけど普通に常連ってだけだと絶対言えないよな............」[/小文字]