全部上書きして【Lier's world】
柊翔「............こうでもしなきゃ返事してくれないでしょ、兄さんは」
柊翔くんはそこに[漢字]兄さん[/漢字][ふりがな]捨て飯[/ふりがな]がいるかのような真剣な眼差しで扉を見つめる。
[小文字]捨て飯「............うるさいですね」[/小文字]
捨て飯「私の邪魔をしないでください」
捨て飯の方は、冷たく言い放すような言葉の発し方から相当な嫌悪をこちらに抱いているようだった。
柊翔「嫌だよ。僕兄さんの言いなりにはなりたくない」
捨て飯「[太字]ッ............そうやって.........そうやって、またあなたは......!![/太字]」
柊翔「何? 言いたいことあるなら言ってよ家族なんだかr
捨て飯[大文字]「[太字]あなたなんて家族じゃないんですよ!!!![/太字]」[/大文字]
突如普段の彼からは想像もできないような、若干金切り声にも近しい怒鳴り声が扉越しに響く。
驚いたのは、その内容でもあり彼の怒号でもあった。
[小文字]柊翔「[太字]............は、え......?[/太字]」[/小文字]
捨て飯「............柊翔 " さん "、私にとってあなたなんて人は家族じゃないんです」
捨て飯「[太字]私を見捨てて、私のことなんて知らないで、勝手に一人で幸せになったあなたなんか............!![/太字]」
[小文字]朱肉「見捨てた、.........?」[/小文字]
捨て飯「だからね、柊翔。[太字]私はここで死にますよ。[/太字]」
柊翔「え?」
捨て飯「[太字]あなたに一生刻まれる[漢字]呪[/漢字][ふりがな]おまじな[/ふりがな]いをかけてあげるんですよ。[/太字]」
柊翔「待って......? ねぇ、僕の何が悪かったの兄さん!? 直すから!!」
捨て飯「今さら後悔なんてしても無駄ですよ。今から直そうとしても私の意思は変わりませんからね。」
捨て飯「[太字]一生過去の自分を恨んでおいてください。[/太字]」
柊翔「.........せめて理由だけでも!!」
捨て飯「.........何でこうも諦めの悪い人に育てられてるんですかね、この人も」
柊翔「教えてよ!!」
捨て飯「[太字]うるさいんですよ。[/太字]」
柊翔「ッ......!?」
感情が手のひらに乗せられ転がされているように声色が突拍子もなく変貌する。
捨て飯「教える[漢字]理由[/漢字][ふりがな]ワケ[/ふりがな]ないじゃないですか。[太字]一生分からないまま、一生考え続けて、一生それに縛られていればいいだけです。[/太字]」
捨て飯「[太字]______いいですね?[/太字]」
扉越しにいる弟のことをまるで人間のそれだとは微塵たりとも思っていなさそうな、冷酷で寒気のする、なのに[漢字]愛憎[/漢字][ふりがな]あいじょう[/ふりがな]を込めているような声色で語りかける。
柊翔「............。」
朝露「.........ちょっと待て、情報量が多すぎる」
朝露「まず家族じゃないってどゆこと.......?」
夕凪「.........柊翔は養子だったとか、そういう.........?」
朝露「あり得なくもない......で、柊翔くんが捨て飯を『見捨てた』ってのは.........」
扉の前で呆然と立つ柊翔の方を見る。
柊翔「.........いや、分かんないです、僕にも............」
視線を感じ取ったのか、彼は扉を見たまま単調な声を発する。
感情というプログラムだけがすっかり抜け落ちてしまったかのような声だった。
捨て飯「[太字]______そうでしょうね。[/太字]」
捨て飯「[太字]無意識で盲目で一方的な虐殺を楽しむ側のあなたが、こちら側の苦しみなんて分からないでしょうから。[/太字]」
扉越しで分からないが、きっと『憎い』という感情単色の瞳をしているだろう。
夕凪「.........ッ捨て飯お前いい加減に......!!
捨て飯「______[太字] " 仮にも弟なんだから " 、って?[/太字]」
捨て飯「どうやら人っ子一人の痛みも理解できないようで。」
捨て飯「[太字]______そんなんであなた『先生』なんて名乗ってるんですか。醜いですね。[/太字]」
夕凪「............!!」
こんなのもう捨て飯ではない。
ここまで来ると、何が彼をこうさせているのかが気になるくらいだった。
いつもは温厚で優しくて、文字通りの『博愛主義者』みたいな人だったのに______。
朝露「ッ、お前本当に捨て飯なのかよ.........?」
捨て飯「えぇ。正真正銘、[太字]私は『捨て飯』であって『飯田 蓮翔』です。[/太字]」
捨て飯「[太字]そして私は、あなた達の思うような『博愛主義者』ではいられなかったんです。[/太字]」