全部上書きして【Lier's world】
破壊の甘美は乗り移る。
[太字]思想に乗って、人から人へ。[/太字]
[水平線]
[小文字]捨て飯「やっぱり水は重いですね............」[/小文字]
[斜体]コトン[/斜体]
美しい曲線で構成された花瓶をテーブルの真ん中に鎮座させる。
朝露さんから『これ、捨て飯に合うかなって思って』と言ってもらったガーベラの束に浸かっていた水を交換したところだ。
色とりどりで、それでも全てに暖かみのある印象のあるガーベラの花。
適当に手に取ったガーベラを1本取り出しては眺める。
幸いなことに私は花粉症でもない。
微かに感じる花の甘い香りを嗅いでみては、その度美しいと思うのだった。
[斜体]ガチャッ[/斜体]
柊翔「兄さん、おはよう!」
捨て飯「あぁ......おはようございます。」
いつまで経っても、誰に対しても敬語は抜けない。
[太字]それが血の繋がりを持っている弟でも。[/太字]
柊翔「.........兄さん、それは?」
捨て飯「あぁ......これですか。ガーベラですよ。朝露さんからの貰い物で。」
どうしても、[太字]幻聴が聞こえるのだ。[/太字]
柊翔「へぇ.........ガーベラってこんな見た目だったんだ、名前は聞いたことあったけど実際に見たことはなかったなぁ」
______オレンジ、ローズウィズアイ、ホワイト、
______イエローウィズアイに、レッドウィズアイ。
中には紫色なんてものもあって、そっちは珍しいなと思いつつ自分の部屋に飾った。
柊翔「.........キレイ」
捨て飯「そうですね.........朝露さんも目が高いですよ本当」
[小文字]捨て飯「あっそうだ、ちゃんと戻しておかないと」[/小文字]
手に持っていた白いガーベラが枯れてしまったら嫌なので花瓶にそっと戻した。
ガーベラ.........確か朝露さんは20本あるかないかくらいの花束にしてくれたんでしたっけ。
めでたい日でもないのに花束をくれるというのは、朝露さんらしいと言えば朝露さんらしかった。
捨て飯「............もう少し緑のある場所に置きますかね。そっちの方が目立って見えるでしょうし」
キッチンのすぐそば、観葉植物を置いていたカウンターテーブルの辺りに置いてみると、赤やオレンジのガーベラが際立ってよく見え、こちらの方が印象もいいように見える。
捨て飯「.........よし。」
柊翔「.........あ、兄さん!僕買い物行かなきゃだ!」
柊翔「何か食べたいものある?」
そう言えば、今回の買い物当番は柊翔だった。
捨て飯「う〜ん........」
捨て飯「そうですね、今日はパスタが食べたい気分です」
柊翔「分かった、じゃあパスタ麺も補充しとかないと.........」
柊翔はスマホに目線を下ろしスマホに触れている親指をささっと動かす。
メモ帳アプリに『パスタ麺』『パスタソース』などと書き込んでいるんだろう。
柊翔「牛乳、卵、ほうれん草、ホットケーキミックス.........[小文字]はあったらでいいかな、[/小文字]あとさっきのパスタ.........よし。」
柊翔「じゃあ行ってくるね、兄さん!」
捨て飯「はい、気をつけてくださいね」
___[斜体]ガチャン[/斜体]
捨て飯「............。」
置いたばかりの色とりどりなガーベラの花瓶、その中から1本を取り出す。
捨て飯「............」
音が鳴るわけもなく、その中[太字]ただ私はガーベラの花弁を握り潰していた。[/太字]
[中央寄せ][太字]第5章「希望で汚れた日々」 開幕[/太字][/中央寄せ]