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八尋「あっそ、じゃあどうなってもいいって事ね。」
三つ編みの彼女は吹き抜けた強風にも目をつむらず冷淡な瞳で僕たちを見る。
春喰「[太字]【死垂れ桜】『[漢字]春爛漫[/漢字][ふりがな]はるらんまん[/ふりがな]』!![/太字]」
八尋「.........復讐とは感情の投影 錆びぬ翠色の煽情 鏡越しに劣情を映し合わせ泣き喚け」
八尋「[太字]______『[漢字]翠鏡十二単[/漢字][ふりがな]すいきょうじゅうにひとえ[/ふりがな]』[/太字]」
ひねくれ者のように桜は僕らを避け真っ先に飛んだ。
[太字]______と思われた。[/太字]
突如出てきた硝子の石板にそれは遮られるどころか反射する。
[太字]真っ先にこちらへと戻って来る。[/太字]
もうダメだ。
もうどうすることもできない。
そんな気がしてから瞬時に行動にできたのは、最期に親友の顔を見納めしておくことくらいだった。
2人とも目を見開いていて驚いているのを確認したあと前を向き直す。
死垂れ桜はすぐそこまで来ているはずだったのにスローモーションに見えていたのか、それが永遠に続く予感までした。
「[太字]______『沙羅双樹』!![/太字]」
[太字]ただその永遠は一言で現実に戻された。[/太字]
目の前が木々の鱗で覆われ、どこかから砂の地面を蹴る音が聞こえた。
神々廻「え?」
???「[太字]______全く情けない先輩たちですね、本当に![/太字]」
???「[太字]神々廻先輩に至っては能力持ってもないのに何でいるんですか!?[/太字]」
神々廻「え、あ、はい.........?」
不遊「...........その声、お前[太字]朱肉[/太字]?」
朱肉「............そうです。助けに来てやりました」
不遊「朱肉何でお前、......! 危ねェんだからお前は無理すんじゃねェよ!!」
朱肉「...............」
朱肉「[太字].........僕もうやめたんですよ、誰かの言いなりになるの」[/太字]
不遊「は?」
朱肉「[太字].........もう誰かの[漢字]言いなり[/漢字][ふりがな]道具[/ふりがな]になってばっかりで生きるの、嫌だって話です[/太字]」
八尋「..........あなた、何なの」
八尋「これは私とコイツ達の話なの、邪魔をしないで......!」
八尋「勝手に[漢字]他人様[/漢字][ふりがな]ヒトサマ[/ふりがな]の話に割り込んできて、勝手に正義ヅラしといて.........!!」
八尋「[太字]『[漢字]憎しみの結晶[/漢字][ふりがな]クリスタルブルー[/ふりがな]』!![/太字]」
朱肉「先輩たちの邪魔はさせない!![太字]『[漢字]世界樹[/漢字][ふりがな]ユグドラシル[/ふりがな]』『青薔薇』!![/太字]」
硝子の針が薔薇の棘と相殺していく。
______思えば、どう考えても足を引っ張っていたのは僕だった。
[太字]僕に能力なんてないから。[/太字]
朱肉「............自分のせいだ、とか思ってます?」
神々廻「.........」
朱肉「.........そんなに思い詰めないでください」
朱肉「[太字]願いなんてなくても、いつか見つかる。それを忘れないでほしいです[/太字]」
神々廻「.........!」
八尋「[太字]『[漢字]成長の芽[/漢字][ふりがな]グロウアップ[/ふりがな]』!![/太字]」
朱肉「[太字]ッ時間稼ぎしてくれますか!![/太字]」
朱肉「[太字]いいから早く!![/太字]」
不遊「.........ッしゃーねェなァ!![太字]『[漢字]連鎖[/漢字][ふりがな]チェイン[/ふりがな]』『[漢字]×2[/漢字][ふりがな]ツヴァイ[/ふりがな]』[/太字]!!」
神々廻「僕も、やれることを.........!!」
今、彼女の周りは結晶の障壁によって守られている。
それなら、石でも適当にぶつけよう.........!
神々廻「これでも球技は得意分野なんだよ!!」
石が当たって結晶が少し砕け散るのが見えた。
さらに不遊が飛ばしたサイコロで結晶がどんどん崩れていく。
朱肉「心の森に潜む欲念よ 罪深き肉体を越えその手を伸ばせ」
朱肉「蹂躙の愚見よ 善くするがままに絡みつき、絞め殺せ___ 」
朱肉「.........時間稼ぎしてくれたんです、そう簡単に期待裏切ったりはしませんよ」
朱肉「[太字]『[漢字]木々の目覚め[/漢字][ふりがな]グリムゾーン・グリードバイド[/ふりがな]』!![/太字]」
校庭に植えられていた木々が動き出す。
と思うと途端に、木の枝葉が軟体動物のように動き出し、
[太字]その見た目からは想像もできない速さで彼女を______[/太字]
八尋「[太字]『翠鏡十二単』『[漢字]転々[/漢字][ふりがな]てんてん[/ふりがな]』[/太字]」
______貫くはず「だった」枝葉が、[太字]一瞬にしてバラバラ死体のように切り裂かれた。[/太字]
八尋「[太字]『[漢字]水晶の煽惑[/漢字][ふりがな]ビィドローン[/ふりがな]』[/太字]」
早い。追いつけない。
彼女は真っすぐに春喰を見ている。
不遊「[太字]ッ柊也!![/太字]」
春喰「ぁ............」
[大文字][太字][中央寄せ]「______そんなとこで諦めるんか、柊也!!」[/中央寄せ][/太字][/大文字]
春喰「___え?」
誰もが声のした方を振り向いた。
............誰もいない。
春喰「兄さん......?今絶対、兄さんの声.........」
不遊「っ、そうなのか、神々廻.........?」
神々廻「.........うん。」
あの特徴的な声と関西弁。あれは確かに、「兄さん」のモノだった。
朱肉「............あ、あの.........」
不遊「?どーした」
朱肉「[太字]______きっと狙われてたはずの春喰先輩、何で今ここに?[/太字]」
神々廻「.........あれ?確かに............」
八尋「[太字]あはっ、あはは、あはははははは.........!![/太字]」
八尋「[太字]じゃあここにいるのが、ここにいるのが君の言う『兄さん』.........!![/太字]」
春喰「.........は?」
八尋「本当は君の事殺してあげようとしたけど作戦変更。[太字]君の大事な『兄さん』から殺してあげる......!![/太字]」
たかいたかーいすると大体あのくらい、と形容できるくらいの高さに、見せびらかすように目立つように水晶を両手に持つ。
状況もよく読み込めないまま、ただ[太字]「『兄さん』が命の危機に瀕している」[/太字]ことだけが唯一理解できた。
春喰「[太字]やめて......兄さんを返して!![/太字]」
八尋「あはは.........[太字]じゃーね春喰くんのお兄さん。さ よ う な ら[/太字]」
春喰「やめろ!![太字]『春嵐』!![/太字]」
落下したら割れてしまう。それを真っ向から否定する春喰の春風が、水晶が宙を舞う。
八尋「はぁ.........あがいたって無駄だって分からないのかな」
八尋「水晶はこの能力から生成される産物であって、その生成人はその水晶を[太字]どうするにも自由[/太字]なの。だから______ 」
八尋「[太字]______『[漢字]結晶爆裂[/漢字][ふりがな]ボンベ・クリスタル[/ふりがな]』[/太字]」
雪のように白く美しい右手を、何かを奪っていくように握りしめる。
[太字][大文字][斜体]パリンッ!![/斜体][/大文字][/太字]
春喰「[太字]あ............[/太字]」
八尋「.........あはは♪」