全部上書きして【Lier's world】【Thanks for 2000 views over!!!!】
[太字][斜体]ギギギ...[/斜体][/太字]
扉が軋んで開く。
扉の向こう側の世界は、確かにそこは、[太字]兄さんの部屋だった。[/太字]
でも、どこか殺風景に見える。
暖かく柔らかな光は入っておらず、どこか灰暗い。
部屋も散らかっていて、どこからかツンと鼻を刺す臭いもする。
春喰「............」
[太字]いつもの兄さんからは、正直想像もできない生活の姿だった。[/太字]
春喰「ッ.........」
不遊「.........兄さんは、いないのか?」
神々廻「いや、靴なかったしいないんじゃないかな.........」
冷蔵庫。食べ物があるのにその捕食人はいない様子だ。
所々賞味期限が切れたモノがあったり、中には傷んでしまっている食材もあった。
神々廻「もったいないな.........[小文字]フードロス.........[/小文字]」
不遊「うっわ、何だこれ.........!?」
神々廻「えっえっ、どうしたの!?」
こちらを見る黄生が無言で見向きもせずに指差す先には、キッチンに配置されたゴミ箱があった。
[太字]その中には、食べられもせずに捨てられた食事の数々が入っている。[/太字]
とにかく適当に作られたモノが多く、しっかり作られたモノは片手で数えられるほどしかない。
[太字]そしてその全てが腐敗を始めており、異臭が辺りに立ち込めている。[/太字]
神々廻「ッ、相当の間外に出て帰ってないのかな.........」
春喰「...............」
[斜体][小文字]コロコロカラン...[/小文字][/斜体]
不遊「............?」
玄関の方を振り向く黄生。
春喰「..........?黄生、何かあったの?」
不遊「いや、何か......[太字]転がる音しなかったか?[/太字]」
神々廻「転がる音?ボールとか?」
不遊「いや、硬いモノが転がる音だった。カラカラカラって感じで、音が跳ねてるみたいな」
春喰「.........じゃあ割れ物が転がった音なんじゃないかな。瓶とかガラスとかそういうヤツが」
不遊「だったらそんな跳ねた音するか?割れ物なんか普通跳ねないし、高い所から落としたら割れそうだし」
不遊「.........てかそもそも、俺の幻聴って可能性があるのか。ごめん、こんな事に時間使ってるヒマなかったよな」
神々廻「まぁまぁ、こんな状況じゃそうなってもおかしくないよ......」
春喰「............あれ」
不遊「ん、春喰どうしたー?」
春喰「いや、さっきまで見た時は何とも思わなかったんだけどさ.........」
春喰「[太字]これ、自分で料理作って自分で捨ててない?[/太字]」
2人「「.........え?」」
神々廻「え、それってどういう事......?」
春喰「傷んで使えなくなった食材、それこそキャベツとかが捨てられてるならまだ分かる」
春喰「[太字]でも、ちゃんと調理されてるモノが、それに1人暮らしだから自炊してるのは確実だとして、それなのに捨てられてるのはどう考えてもおかしい[/太字]」
神々廻「い、言われてみれば、確かに.........カレーとか、野菜炒めとか.........」
不遊「よく気づいたなこんなの.........やっぱお前すげーわ」
神々廻「.........この感じだと兄さん、何にも食べてなさそうだね」
神々廻「食欲不振だったりするのかな」
春喰「でも兄さんいつも元気だし.........」
不遊「んー、もうちょい手がかりが必要そうだなー.........何か心当たりないか?[小文字]俺はここ来た事ないから分からねー[/小文字]」
春喰「[太字]______あ、それなら兄さんの日記があるはずだ[/太字]」
神々廻「日記?そんなのあったの?」
春喰「うん。旅に出てる時以外は毎日書いてるって兄さん本人から聞いた事があるんだ」
春喰「旅に出てる時は書いてないから今この家に日記はあるはず.........」
そう言うと立ち上がり、一直線に1つの扉に向かう。
神々廻「ちょちょちょ、どこ行くのー!?」
[斜体]ガチャリ[/斜体]
春喰「[太字]______やっぱりだ、見つけた[/太字]」
扉から顔だけを出してきた春喰。その右手には、
[太字]「 夏祭 毎日の日記 」[/太字]と書かれた、少し古ぼけた手帳が手元に収まっていた。[/太字]