全部上書きして【Lier's world】【Thanks for 2000 views over!!!!】
[中央寄せ]夕凪side[/中央寄せ]
夕凪「...............」
春喰「............」
ただ目を見開いてその場に立つことしかできない。
ただ黙りこくる春喰。
それを見ることを強いられる時間が過ぎていく。
[太字]______その名前に、聞き覚えがあった。[/太字]
[太字]あの頃の唯一の居場所にいてくれた、あの頃の自分にとっては変な喋り方としか理解できなかったあの2人の名前だった。[/太字]
それなのに1人の生徒の名前も覚えてないなんて、正直自分を笑いたいくらいだった
______重たい空気の中、彼は重たい口を開く。
春喰「............兄さんは」
春喰「[太字]兄さんは、その " 雨傘 " って人のことを、ずっと探してる。[/太字]」
春喰「[太字]______あの人が、何の音沙汰もなく消えていったから。[/太字]」
春喰「[太字]僕のことを忌み嫌った肉親のように。[/太字]」
夕凪「...............」
思い出す。
橘の花が咲いていた、あの時に______
[水平線]
[中央寄せ][小文字]「______ 」[/小文字][/中央寄せ]
[中央寄せ]「____ん、____兄ちゃ......!」[/中央寄せ]
______。
[大文字][中央寄せ][太字]「凪兄ちゃん起きて!」[/太字][/中央寄せ][/大文字]
「ッ!?」
???「凪兄ちゃん、凪兄ちゃんも探して!」
俺が起きてから開口一番、突然そんな事を言われた。
「は、え、探す?探すって何を.........」
???「いいから早く!!」
???「[太字]雨傘お姉ちゃんがいないの!![/太字]」
「え.........あ、うん」
あんなにみんなと仲も良かったのに、ある朝目覚めたら忽然といなくなっていた。
俺にも変わらず接してくれたあの人が。
「............」
こんなの現実じゃないと理性が何度も自分に言い聞かせていた。
これが現実なんだと本能が勝手にそれを理解しようとしていた。
「............ッ」
何が理由なのかは、分からない。
[水平線]
夕凪「............」
あの日以来、彼女がどこにいるのかなんて誰も知らない。
でもそれを、あの人はまだ______
[太字]...............それを諦めてないって、普通に考えたらだいぶおかしくて、
______本当は、笑い飛ばしたかったくらいだった。[/太字]
夕凪「[太字].........お前の兄さん、その人の事探してんだな。[/太字]」
春喰「.........うん。ずっと、探してる。何の目的で探してるかは、分からないけどね」
ひどく切なく、それでも、彼は笑顔だった。
レモン「......ちょ、ちょっと待って.........ど、どういう事?」
レモン「夕凪さんって.........[太字]孤児院で育ってた、って事?[/太字]」
夕凪「............」
レモン「............」
レモン「.........あはは、なーんだ、[太字]図星じゃないですか。[/太字]」
夕凪「な、何で.........言ってすらないのに?」
レモン「いや、だって夕凪さん.........[太字]言ってもないのに顔に全部書いてくれるじゃないですか。[/太字]」
レモン「[太字]だから言ってなくても、言葉で伝えてなくとも分かっちゃうってだけです。[/太字]」
夕凪「.........それ俺の事貶してる?」
レモン「......さぁ。どっちでしょうね?w」
そう言って笑い飛ばす。
[太字]結局それが上っ面の笑顔であるとは知っていても、それを「偽物」だとは疑えなかった。[/太字]
レモン「[太字].........まぁ、それ知った所で私らは夕凪さんの事幻滅したりしないですけど[/太字]」
朱肉「............僕だって普通に、孤児院行ってた事あるしね」
捨て飯「それ本当は普通じゃないんですけどね()」
夕凪「...............ふふっ」
夕凪「[太字].........そうか。ありがとう。[/太字]」
返事と言うべきか、お返しと言うべきかは分からないが、今できる精一杯の笑顔を送る。
夕凪「...............」
その暖かさは果たしてただ一方的にくれたモノなのか、それとも______
[太字]______ただ彼らが「罪滅ぼし」を「救いの手」だと勘違いしているだけなのか。[/太字]
朝露「...............」
[太字]そんなの、誰も分からない。[/太字]