全部上書きして【Lier's world】【Thanks for 2000 views over!!!!】
[太字]朱肉って子は、あの時に殺そうとしてた。[/太字]
[太字]なのに別の、何かの手を取っていってしまった。[/太字]
______[太字]橘カンパニー。[/太字]
[太字]私の、私を生んだ父親の経営する会社。[/太字]
あの会社は、[太字]問題を権力でもみ消して平然と世間の上層に立ち入っているクソみたいな所。[/太字]
私からすれば私を作った父はもういないのだから、汚れなのだから名前とっとと改名しろ、と何回聞いても思う。
そして朱肉とかいう子の父親は、[太字]そこにいた。[/太字]
だから手を組んで、あの会社の闇を白日に晒してやろうってのが、[太字]表向きの提案。[/太字]
本当は全然、準備なんて1人でとっくに終えているし、助けを求める必要もない。
そんなので手を組んであの子の重荷を下ろすようなこと、私はする気などない。
手を組んで少ししたら、さっさと切り捨てて殺すつもりだった。
だからあの時かけてあげた言葉も、
あの時提案したあの事も、
あの時作った笑顔も、
[太字]全部全部、偽物。[/太字]
[太字]全部薄っぺらの、偽物の、表面上の「いい人」。[/太字]
説明不足だったかな、とか思いながら返り血のついてしまったシャツを洗濯かごに投げ入れる。
ストンッ
見事なまでにホールインワン。
レモン「.................。」
さっきもあんなのに騙されてあの子は心を救われてたみたいだけど、
それだけで本当に人間って馬鹿なんだなって思えて、[太字]本当に楽しかった。[/太字]
______。
それでも、ふとした瞬間に幸せそうな表情をして、
それが、憎くて憎くてたまらない。
[太字]私に『幸せ』なんてなかったのに。[/太字]
[太字]私は『笑う』事なんかできなかったのに。[/太字]
[太字]私は『普通』に生きることなど許されなかったのに。[/太字]
そんな事も知らずこの人たちは『普通』を過ごしている。
私の思いの1つくらい知ってほしいよ、本当に。
レモン「............はぁ」
『普通』の人から『日常』を奪っていかなきゃ、『幸せ』になれなくなっていた。
でもやっぱり、『普通』ってことに目を背けたのがダメだったのかな。
[太字]やっぱり、『普通』に帰りたいって思う。[/太字]
私はとっくのとうに、『普通』になれないって分かったから『異常』になることを選んだのに。決めたのに。
[小文字]レモン「.........何今さらそんな事言ってるんだろ」[/小文字]
アパートの一室の外で、親子が仲睦まじく話している声が聞こえたけど、
それが鬱陶しくて、
[太字]憎々しかった。[/太字]
[太字][斜体]グシャッ[/斜体][/太字]
_________。
[小文字]レモン「...............」[/小文字]
あーあ。
[太字]癪に障るから、殺しちゃった。[/太字]
目の前で母親から殺した時の子どもの泣き叫ぶ声が、『幸せ』を奪われたと実感できて、本当に殺してよかったと思えてしまう。
レモン「.........あはッ」
脳内では『後処理どうしようかな』とか考えてるのに、身体は言うことを聞かず笑っている。
これじゃ容疑者一直線じゃん。あはは。
そう思っていながらも、身体はそのままあの時のナイフを突き立てて、捻る。
すぐにその死体は消える。
死肉を媒介にした肉金属の凶器の力はすごいよねー、本当。
止め処なく溢れ出てくる血液の湖を洗い流して、証拠も流れていって。
[小文字]レモン「洗い物増えたなぁ.........」[/小文字]
いつも羽織っている上着にも返り血がついてしまっていた。
[小文字][太字]レモン「.........自業自得か」[/太字][/小文字]
自分の行いに対してなのか、それとも過去の自分に対してなのかは知る由もなかった。
______。
............誰かがこちらを見ていたような気がしたけど、人はいなかった。
[小文字]「......あ、外れた」[/小文字]
洗濯機の手前に上着が落ちていった。