フェルト・ペペロンチーノside

僕は簡単に諦めない。

だから、へアンナの部屋に仕掛けてある盗聴器とカメラで様子を伺うことにした。



へアンナ『…アンリ、と名乗りましたわね。一体どうやってこの世界に？』

アンリ『それが、気づいたらこうなっていたわけだ。実際に僕は怪盗じゃない、地球で暮らしていた一般人だ。』

一般人？アンリ・ニューロンは極悪な怪盗だ。怪盗じゃないとこいつはよく言えるな。俺は早速、アンリ・ニューロンに違和感を持った。

へアンナ『地球とは？』

アンリ『君があの世界と言っていた世界の名前だよ。そこに平田文美がいる。』

ひらたあやみ…？
それにへアンナのあの世界とは何だ？こいつは何を知っている？
それに地球って…、あるわけないだろうそんなの。この世界が全てだというのに。

へアンナ『あなたは地球でどういう世界を？』

アンリ『別に特に何も。学校に行って勉強して運動して、食べて寝て、それくらいかな。』

へアンナ『学校…？』

アンリ『ああ、勉強をするところ。勉強をするために集まる場所なんだ。』

勉強…へアンナは好きじゃないものだ。ああ、そんなものどうでも良い。俺は頭を抱えた。へアンナたちはさっきから何の話をしているんだ？まるで前から出会っていたかのような話…。


へアンナ『地球ってまるでパラレルワールドみたい。…地球に行く方法はないのかしら。』

…へアンナ？

アンリ『パラレルワールドねぇ…、う〜ん…。僕も戻り方が全くわからないんだよね。』

へアンナ『…へえ。実は私、この世界より地球の方が好きなの。』

へアンナ『ここにいるのが窮屈なの。』

へアンナ『だから地球に行きたい。地球で、一人で暮らして、自由に。』

へアンナがそう言った瞬間、僕は一つの可能性が頭をよぎった。

…家出？

…ここのどこが窮屈なんだ…！？たくさんの美味しいお菓子も食べれる。部屋で好きなことができる。出かけたいと言ったら出かけれる。ここのどこが窮屈なんだ…！？

それに一人でって…！

俺は信じられない、と思った。

すると、へアンナがこう言った。

へアンナ『ねえ、フェルト。』


…！！

…はは、やはり、お見通しだったか…。