アンリ『僕、実は転生先、国際指名手配されてるアンリ・ニューロンっていう怪盗なんだよね…。』

いや誰！？


へアンナ『つ、つまり、さっきメリアッセ家って名乗ったのは、潜入したのがバレないようにしたのかしら？』

アンリ『ははっ、まさかこんなに調子良く行くとは思わなかったよ。あの王子も馬鹿だなぁ、反社会派のメリアッセ家が順社会派のパーティーに招待されるわけないじゃん。』

た、確かにそれはそうだ…。アンリと話していると、いつのまにかもう城は見えなくなっていた。

知らない明るい街の空の上にいたのだ。雲があんなに近くにあるのだ。手を伸ばしたら本当に届きそうで面白い。そんなことを思っていたら、アンリが私に話しかけてきた。

アンリ『ねえ、地球での名前は？僕は[太字][下線][漢字]佐藤[/漢字][ふりがな]さとう[/ふりがな][/下線][/太字][太字][下線][漢字]一[/漢字][ふりがな]はじめ[/ふりがな][/下線][/太字]。』

へアンナ『[漢字]平田[/漢字][ふりがな]ひらた[/ふりがな][漢字]文美[/漢字][ふりがな]あやみ[/ふりがな]ですわ。』

アンリ『文美ちゃんね。てか、ここでもお嬢様語みたいなので話さなくていいよ。』

へアンナ『嫌ですわ。少しでも気を抜くと、バレてしまいますの。」

アンリ『そっか〜w、あ、この街で降りよう。僕の仲間がたくさんいる家を紹介してあげる。』

そう言って、アンリは絨毯を下に降下した。地面につくと、アンリはその絨毯を一瞬にして消し去った。

私は興味本位でその魔法について聞いてみた。

へアンナ『その物を生み出す魔法って、いったい何なんですの？』

アンリ『え？嗚呼、生まれつき持っていた魔法。他にも何個か魔法が使えるけど、全然上手くできなくて…。この魔法だけ上手で、そのうえ誰も習得してないんだよね。』

アンリ『まあそんなことはどうでもいいから、僕の仲間の家を紹介してあげるよ。』

どうでもいい…か。私はアンリについて行った。

周りの人は私をみていて、「すごい」や「どうやったんだ」という声が飛び交う。周りの声を気にしていたのを気づかれたのか、アンリが説明した。

アンリ『この街、罪人とか怪盗、マフィアとかが住んでる街で、健全な人間はこの街に誰もいないよ。』

へアンナ『ず、随分物騒な街ですわね…。』

アンリ『まあね。この街の土地、どこの国からも支配されてないし。土地が悪くて、農産物は全然育たないんだ。だから、食料は全部他の街から奪ったり、家畜をして肉を食料にしたりしてる。』

アンリ『あ、着いたよ。』

アンリは目の前にあるドアを開けた。中には、人が４人、椅子に座って野菜を頬張っている。

アンリは真っ先に４人に声をかけた。

アンリ『うぃーす！夕食中？これって、誰が獲ってきたの？』

オルト『オルトだが…。アンリ、隣にいる女性は一体…？』

椅子から立ち上がったオルトと名乗る者がアンリに私のことを質問した。まあそうなるよね…。私は別にここにいつもいたわけじゃないし…。

しかも私はこんな高価な服を着てこの街にいるから、いつ狙われてもおかしくない…。

？？？『あ、分かったあたい。アンリが女性ごと盗んできたんでしょ？？』

アンリ『違うぜ、トド。まあ部分的にはあれだけど。』

トド『え、じゃああたいわかんない。』


アンリ『救ってきた！！！』

一同『？？？』