【参加型】この世界の未来を守る、そんなお話
*流生side
魁斗「跡奈ハロー!」
跡奈「んもー!耳壊れるかと思ったわ…」
ほのぼのとした会話を繰り広げる2人だが、個人的にすごく耳が痛い。
ふと隣を見ると、魁斗の破壊力の高い大声に三途の川を渡りかけている修がいた。
流生「修!生きてるか!?」
修「死んだじいちゃんが向こう岸に…」
魁斗「逝くなぁぁぁぁ!!!!!」
大声の張本人が修をゆさゆさと揺さぶったおかげで、彼は無事にこちらに戻ってきた。
流生「てか、なんで跡奈は生きてるんだ?」
跡奈「大声には慣れています!ママの声が信じられないほど大きいから!」
魁斗の声ですら信じられないほど大きいのに、跡奈の母親はどれだけ声がでかいのだろうか。
跡奈「…あれ?みんなは?」
修「探検しに行ったり水をろ過しに行ったり様々だ。そういや、あんたライターとか持ってないか?」
期待はしていないが、と付け加えた修。
だが、跡奈は気を悪くすることなくポケットを漁り始めた。
跡奈「ありましたぁ!」
『ゑ』
魁斗「…ラッキー、だな。ところで…なんでそんなの持ってんだ?」
跡奈「えへへ、昨日焼きどめしたくて持ってたの!やっぱ跡奈奇跡を呼ぶものだ〜!」
焼きどめとは、切断した紐を溶かして端がほつれないようにする技法だと授業で習った気がする。
修「よし、これで水が飲める。少し借りてもいいか?」
跡奈「うんっ!いいよ〜!」
修は跡奈からもらったライターを片手に、階段を駆け降りていった。
魁斗「俺、ちょっとトイレ行ってくるわ〜」
そう言って去っていった魁斗を、跡奈が不思議そうに見つめる。
跡奈「トイレなんかあったっけ…?」
流生「いや、無い。だからそこら辺で…」
跡奈がギョッとした表情で俺を見る。
そのあと、膝を抱えて頭を埋めた。
跡奈「…やっぱ、水飲まなくていいです。」
流生「それだと3日で死ぬ。」
跡奈「えぇ…」
しょんぼりした小動物を慰めていると、星奈が帰ってきた。
星奈「たっだいま〜って、跡奈どうしたの?」
跡奈「水飲みたく無いけど飲まないと3日で死ぬんですぅ…」
星奈「え?」
流生「トイレないからそこら辺でしてって言ったらこうなった。」
星奈「え…そりゃぁ…私も嫌…せめてパーテーションかなんかを…」
流生「…じゃあ、探してきてもらえますか?」
あからさまに嫌そうな顔をした星奈だが、よっぽど仕切りが欲しいのかもう一度出ていった。
女子って、めんどくさい。