鬼神様はゆったり暮らしたい
巨大生物は不細工な鳴き声を上げながら、その場で足踏みする。
それだけでもまるで地震のように地面が揺れ、楓の足裏が何度も地面から離れた。
「デッカイ声でうっさいなァ・・・・・・」
気だるそうな声でそう言いながら、少女は巨大生物の横腹に何度も斧を振り下ろす。
連続で何度もやって来る衝撃と痛みにもう耐えられなくなったのか、大きな音を立てながら巨大生物は盛大に倒れた。
恐らくもう生きてはいないのだろう。
呼吸の度に動くはずの腹が一切動かず、巨大生物のその[漢字]巨躯[/漢字][ふりがな]きょく[/ふりがな]が徐々に塵ちりのようになって消えていっているのだから。
少女はその亡骸の近くに音もなく着地をし、感情が宿っていない瞳で亡骸を見つめる。
だがすぐに、目線をずらし、呆然と座り込んでいる楓の方へと向かってきた。
「ねェ」
「な、なんでしょうか・・・?」
少女の身体は楓よりも小さいが、その小柄な身体から放たれる圧は、体の大きさの差など感じさせないほどだ。
少女はその真紅の瞳で、楓を見下ろす。
まるで人形のように凍りきった瞳に、楓は圧倒的な少女への畏怖を感じた。
「___________ね、さっきのバケモン見えてた?」
「へっ?」
膝を曲げ、楓に目線を合わせた少女の言葉に、楓が思わず間抜けな声を出してしまう。
楓には少女の質問の意図が全く分からなかった。
あんな巨大な怪物がいれば、誰でも目に入るだろう。
思えば、あれだけの騒音だったにも限らず、警察どころか誰も家から出てきていない。
「普通の人には、存在自体が確認できないってこと・・・・・・?」
少女の言葉から楓は、質問の意図を考える。
顔を顰めながら考える楓が見えていないのか、少女は手に握った斧をブンブンと振り回しながら小さく唸った。
「まさか見える人がいるとはー・・・兄貴とかに伝えといた方がいいかー・・・?でも、バレたってのが確定したわけじゃないし・・・・・・」
少し長めな前髪をかき上げながら、少女は形の良い眉を寄せる。
楓は少女の言っていることを不思議に思い、恐る恐る口を開いた。
「あ、あの・・・さっきの生き物ってなんなんですか?それに、あなたも・・・」
「あー・・・やっぱ気になるかー。逆に気にならない人なんかいないもんね」
少女はそう言いながら、手に握った斧を手放した。
刃の部分が地面にぶつかりそうになった瞬間、斧が刃先から光の粒子となって消える。
美しく、それでいてどこか儚げな光景に、楓は大きく目を見開いた。
そんな楓の目の前で、少女は荘厳な雰囲気を放ちながら、微笑んだ。
「________私は、[漢字]八神[/漢字][ふりがな]やがみ[/ふりがな][漢字]結真[/漢字][ふりがな]ゆま[/ふりがな]。まあ、簡単に言うと・・・・・・『鬼神様』だね」
「・・・・・・・・・・・・へっ?」
少女の言葉に、楓は更に間抜けな表情をする。
そんな楓に少女______結真は苦笑しながら、細い人差し指を立てた。
「『鬼神様』自体は知ってるでしょ?ほら、お[漢字]伽噺[/漢字][ふりがな]とぎばなし[/ふりがな]の」
そう聞いてくる結真に、楓を小さく頷いた。
『鬼神様』というのは有名な話だ。
多くの人間と仲良く、広い交友関係を持っていた『鬼神様』。
だが、「人間たちが脅されている」と勘違いをしてしまった一人の少年に心臓を貫かれ、死んでしまった。
誰もが『鬼神様』の死を悲しみ、彼のあらゆる偉業を称えたという。
お伽噺とはされているが、ずっと昔に実在していた人物という説もある有名な話だ。
だが、何故か結真は自分が『鬼神様』だと名乗った。
「ちなみに有名なあのお話は、ただの作り話だよ?まあ、似たようなことはあったけど、それは別に『[漢字]鬼神様[/漢字][ふりがな]わたし[/ふりがな]』じゃないし」
「いやいやいや、話が急過ぎるんだけど!?」
説明を続けようとした結真の声を遮り、楓は追いついていない頭を必死に回転させる。
ようするに、結真が『鬼神様』であり、有名なお伽噺とは違う__________。
「いや、もっと意味分かんない!!」
「こら、うるさくしてたら近所の人らが出てきちゃうよ」
結真は口元に人差し指を持ってきて、にっこり笑う。
うるさくさせている張本人が何を言っているのか。そもそもこの少女は人外の存在ではないのか。
先程の出来事といい、あまりにも現実離れしすぎている。
「・・・・・・あ、私そろそろ帰んなきゃ。瑠璃兄に怒られる」
「え?」
「せっかくだし家まで送ろっか、一瞬だから安心してねー」
唯真はそう言いながら楓を横抱き_____俗に言うお姫様抱っこ_____して、その場で高く跳躍した。
それだけでもまるで地震のように地面が揺れ、楓の足裏が何度も地面から離れた。
「デッカイ声でうっさいなァ・・・・・・」
気だるそうな声でそう言いながら、少女は巨大生物の横腹に何度も斧を振り下ろす。
連続で何度もやって来る衝撃と痛みにもう耐えられなくなったのか、大きな音を立てながら巨大生物は盛大に倒れた。
恐らくもう生きてはいないのだろう。
呼吸の度に動くはずの腹が一切動かず、巨大生物のその[漢字]巨躯[/漢字][ふりがな]きょく[/ふりがな]が徐々に塵ちりのようになって消えていっているのだから。
少女はその亡骸の近くに音もなく着地をし、感情が宿っていない瞳で亡骸を見つめる。
だがすぐに、目線をずらし、呆然と座り込んでいる楓の方へと向かってきた。
「ねェ」
「な、なんでしょうか・・・?」
少女の身体は楓よりも小さいが、その小柄な身体から放たれる圧は、体の大きさの差など感じさせないほどだ。
少女はその真紅の瞳で、楓を見下ろす。
まるで人形のように凍りきった瞳に、楓は圧倒的な少女への畏怖を感じた。
「___________ね、さっきのバケモン見えてた?」
「へっ?」
膝を曲げ、楓に目線を合わせた少女の言葉に、楓が思わず間抜けな声を出してしまう。
楓には少女の質問の意図が全く分からなかった。
あんな巨大な怪物がいれば、誰でも目に入るだろう。
思えば、あれだけの騒音だったにも限らず、警察どころか誰も家から出てきていない。
「普通の人には、存在自体が確認できないってこと・・・・・・?」
少女の言葉から楓は、質問の意図を考える。
顔を顰めながら考える楓が見えていないのか、少女は手に握った斧をブンブンと振り回しながら小さく唸った。
「まさか見える人がいるとはー・・・兄貴とかに伝えといた方がいいかー・・・?でも、バレたってのが確定したわけじゃないし・・・・・・」
少し長めな前髪をかき上げながら、少女は形の良い眉を寄せる。
楓は少女の言っていることを不思議に思い、恐る恐る口を開いた。
「あ、あの・・・さっきの生き物ってなんなんですか?それに、あなたも・・・」
「あー・・・やっぱ気になるかー。逆に気にならない人なんかいないもんね」
少女はそう言いながら、手に握った斧を手放した。
刃の部分が地面にぶつかりそうになった瞬間、斧が刃先から光の粒子となって消える。
美しく、それでいてどこか儚げな光景に、楓は大きく目を見開いた。
そんな楓の目の前で、少女は荘厳な雰囲気を放ちながら、微笑んだ。
「________私は、[漢字]八神[/漢字][ふりがな]やがみ[/ふりがな][漢字]結真[/漢字][ふりがな]ゆま[/ふりがな]。まあ、簡単に言うと・・・・・・『鬼神様』だね」
「・・・・・・・・・・・・へっ?」
少女の言葉に、楓は更に間抜けな表情をする。
そんな楓に少女______結真は苦笑しながら、細い人差し指を立てた。
「『鬼神様』自体は知ってるでしょ?ほら、お[漢字]伽噺[/漢字][ふりがな]とぎばなし[/ふりがな]の」
そう聞いてくる結真に、楓を小さく頷いた。
『鬼神様』というのは有名な話だ。
多くの人間と仲良く、広い交友関係を持っていた『鬼神様』。
だが、「人間たちが脅されている」と勘違いをしてしまった一人の少年に心臓を貫かれ、死んでしまった。
誰もが『鬼神様』の死を悲しみ、彼のあらゆる偉業を称えたという。
お伽噺とはされているが、ずっと昔に実在していた人物という説もある有名な話だ。
だが、何故か結真は自分が『鬼神様』だと名乗った。
「ちなみに有名なあのお話は、ただの作り話だよ?まあ、似たようなことはあったけど、それは別に『[漢字]鬼神様[/漢字][ふりがな]わたし[/ふりがな]』じゃないし」
「いやいやいや、話が急過ぎるんだけど!?」
説明を続けようとした結真の声を遮り、楓は追いついていない頭を必死に回転させる。
ようするに、結真が『鬼神様』であり、有名なお伽噺とは違う__________。
「いや、もっと意味分かんない!!」
「こら、うるさくしてたら近所の人らが出てきちゃうよ」
結真は口元に人差し指を持ってきて、にっこり笑う。
うるさくさせている張本人が何を言っているのか。そもそもこの少女は人外の存在ではないのか。
先程の出来事といい、あまりにも現実離れしすぎている。
「・・・・・・あ、私そろそろ帰んなきゃ。瑠璃兄に怒られる」
「え?」
「せっかくだし家まで送ろっか、一瞬だから安心してねー」
唯真はそう言いながら楓を横抱き_____俗に言うお姫様抱っこ_____して、その場で高く跳躍した。