鬼神様はゆったり暮らしたい
_________夜のコンビニの雰囲気が、[漢字]楓[/漢字][ふりがな]かえで[/ふりがな]は好きだ。
人も少なく、静かで丁度よい室温で居心地が良い。外はもうすっかり暗くなったというのに、夏なのでとても蒸し暑い。
楓の家はお世辞にも穏やかとは言い難いので、落ち着ける場所があると少しでも心が休まる。
楓はアイスとコーラを買い、コンビニの二階で勉強をしながら食べることに。
テキストとノートを開いて、シャーペンを手に取る。紙に文字を書く音が誰も居ない部屋に響いた。
三十分くらい経ったら、休憩として買ったチョコ味のアイスのフタを開ける。
口に入れて最初に冷たい感覚が口の中に広がり、遅れて甘みがやってきた。楓はそれを満足そうに頬張りながら、ふと壁の時計に目を向ける。
「もう深夜の一時・・・・・・時間が過ぎるの早いなぁ」
楓は小さくそう呟きながら、再び口の中にアイスを入れる。
それからしばらく勉強をしていたが、結局いつも通り飽きてしまう。
「うーん・・・肌寒くなってきたし、帰ろっかな」
思えば、今の楓の服装は半袖シャツに短パン。
いくら外が暑いとは言え、空調が効いている室内で冷たいアイスを食べたら体も冷えるに決まっている。
楓は開けてすらいないコーラや勉強道具を持ってきたバッグの中に入れて、コンビニを立ち去った。
冷え切った体が外に出た途端、蒸し暑さに焦がされる。
楓はその感覚にわずかに顔を顰しかめながらも、足を自宅の方へと進めた。
誰もいない道に、楓の足音が壁に反響して響く。
ふと、明日は学校ということを思い出した楓は憂鬱な気持ちになる。
「お父さんたち、もう喧嘩してないかな・・・」
楓が、小さくそう呟いたその時だった。
____________空から、人が降ってきたのは。
「えっ・・・・・・ちょ、え!?」
バタンと音を立てながら地面に落下した人影を見て、楓は遅れて反応する。
生きているか、確認しようとした楓がその人物に近寄った。だが、楓のその行動も無駄に終わる。
その瞬間、その人物が突然勢いよく体を起こしたのだ。
「ったく・・・・・・どこだ、ここ・・・」
苛立たしげに呟きながら後頭部を押さえるのは、目も疑うほど美しい少女だった。
腰まで伸びた闇を飲み込んだと思うほどの黒髪、まるで宝石をはめ込んだように輝く大きな真紅の瞳。
日焼けを知らない白い肌の少女は、ゆっくりと立ち上がり自らが落下してきた空に、その瞳を向ける。
「・・・・・・?」
楓も少女につられ、空を見上げた。
だがそこには何も無い。ただ、ひたすら闇のような夜空が広がるだけだ。
だが、少女はそんな夜空を強く睨んでいる。
「__________来る」
「えっ?」
少女が小さくそう呟き、楓がその呟きに反応したその瞬間だ。
空から巨大な、影が落ちてきた。
象のようにも、肥大化した豚のようにも見える”それ”は少女と楓の前に落ちてきて、大きく口を上げ吠えてきた。
「____________ッッッ!!!!!」
耳障りなその鳴き声は、鼓膜を破る勢いだ。
楓が思わず耳を塞いでしまうようなその鳴き声なのに、楓よりも近い位置に立っている少女はただ、その巨大生物を睨んでいる。
少女は、長い黒髪を風で舞い上がらせながらゆっくりと腕を組む。
「驚いたな、流石に死んだとは思ってくれなかったか」
初めて聞いた少女の声は、完璧に調律された弦楽器を思わせる美しい声をしている。
少女は、細い腕を真横に出し、拳を強く握りしめた。
瞬間、少女の拳が淡い光を放つ。
「[漢字]創操[/漢字][ふりがな]そうそう[/ふりがな]・[漢字]鬼斧[/漢字][ふりがな]きふ[/ふりがな]」
少女の美しい声がそう唱え、拳の光が更に強く、目も開けられないほどになる。
楓が腕を顔の前に出し、目を強く閉じた。
「さーてと、いっちょ一狩りといきますかー」
光が弱くなり楓が目を開いた瞬間、少女は強く踏み込んでいた。
その手にはいつの間にか、少女の体よりも遥かに大きい斧が握られている。
強風と共に少女の華奢な体が巨大生物へと、猛スピードで向かっていく。
だが、巨大生物はそんな少女に対して、大きな前足で少女の小柄な体を踏み潰さんと試みる。
「うそっ!?」
弾丸に等しい速度で突っ込んでいた少女の軌道が、不自然にズレたのだ。
前足で踏み潰されそうになっていた少女は、前足が自分の頭上にやって来た途端、少女の体が真横にズレた。
そのまま少女は、黒髪を靡なびかせながら巨大生物のこれまた巨大な足に、巨大な斧を振り下ろす。
「いっせーのーでっ」
少女の軽い掛け声と共に振り下ろされた巨大な斧。
その痛みと衝撃に、巨大生物は最初よりも大きい、耳障りな鳴き声で泣いた。
人も少なく、静かで丁度よい室温で居心地が良い。外はもうすっかり暗くなったというのに、夏なのでとても蒸し暑い。
楓の家はお世辞にも穏やかとは言い難いので、落ち着ける場所があると少しでも心が休まる。
楓はアイスとコーラを買い、コンビニの二階で勉強をしながら食べることに。
テキストとノートを開いて、シャーペンを手に取る。紙に文字を書く音が誰も居ない部屋に響いた。
三十分くらい経ったら、休憩として買ったチョコ味のアイスのフタを開ける。
口に入れて最初に冷たい感覚が口の中に広がり、遅れて甘みがやってきた。楓はそれを満足そうに頬張りながら、ふと壁の時計に目を向ける。
「もう深夜の一時・・・・・・時間が過ぎるの早いなぁ」
楓は小さくそう呟きながら、再び口の中にアイスを入れる。
それからしばらく勉強をしていたが、結局いつも通り飽きてしまう。
「うーん・・・肌寒くなってきたし、帰ろっかな」
思えば、今の楓の服装は半袖シャツに短パン。
いくら外が暑いとは言え、空調が効いている室内で冷たいアイスを食べたら体も冷えるに決まっている。
楓は開けてすらいないコーラや勉強道具を持ってきたバッグの中に入れて、コンビニを立ち去った。
冷え切った体が外に出た途端、蒸し暑さに焦がされる。
楓はその感覚にわずかに顔を顰しかめながらも、足を自宅の方へと進めた。
誰もいない道に、楓の足音が壁に反響して響く。
ふと、明日は学校ということを思い出した楓は憂鬱な気持ちになる。
「お父さんたち、もう喧嘩してないかな・・・」
楓が、小さくそう呟いたその時だった。
____________空から、人が降ってきたのは。
「えっ・・・・・・ちょ、え!?」
バタンと音を立てながら地面に落下した人影を見て、楓は遅れて反応する。
生きているか、確認しようとした楓がその人物に近寄った。だが、楓のその行動も無駄に終わる。
その瞬間、その人物が突然勢いよく体を起こしたのだ。
「ったく・・・・・・どこだ、ここ・・・」
苛立たしげに呟きながら後頭部を押さえるのは、目も疑うほど美しい少女だった。
腰まで伸びた闇を飲み込んだと思うほどの黒髪、まるで宝石をはめ込んだように輝く大きな真紅の瞳。
日焼けを知らない白い肌の少女は、ゆっくりと立ち上がり自らが落下してきた空に、その瞳を向ける。
「・・・・・・?」
楓も少女につられ、空を見上げた。
だがそこには何も無い。ただ、ひたすら闇のような夜空が広がるだけだ。
だが、少女はそんな夜空を強く睨んでいる。
「__________来る」
「えっ?」
少女が小さくそう呟き、楓がその呟きに反応したその瞬間だ。
空から巨大な、影が落ちてきた。
象のようにも、肥大化した豚のようにも見える”それ”は少女と楓の前に落ちてきて、大きく口を上げ吠えてきた。
「____________ッッッ!!!!!」
耳障りなその鳴き声は、鼓膜を破る勢いだ。
楓が思わず耳を塞いでしまうようなその鳴き声なのに、楓よりも近い位置に立っている少女はただ、その巨大生物を睨んでいる。
少女は、長い黒髪を風で舞い上がらせながらゆっくりと腕を組む。
「驚いたな、流石に死んだとは思ってくれなかったか」
初めて聞いた少女の声は、完璧に調律された弦楽器を思わせる美しい声をしている。
少女は、細い腕を真横に出し、拳を強く握りしめた。
瞬間、少女の拳が淡い光を放つ。
「[漢字]創操[/漢字][ふりがな]そうそう[/ふりがな]・[漢字]鬼斧[/漢字][ふりがな]きふ[/ふりがな]」
少女の美しい声がそう唱え、拳の光が更に強く、目も開けられないほどになる。
楓が腕を顔の前に出し、目を強く閉じた。
「さーてと、いっちょ一狩りといきますかー」
光が弱くなり楓が目を開いた瞬間、少女は強く踏み込んでいた。
その手にはいつの間にか、少女の体よりも遥かに大きい斧が握られている。
強風と共に少女の華奢な体が巨大生物へと、猛スピードで向かっていく。
だが、巨大生物はそんな少女に対して、大きな前足で少女の小柄な体を踏み潰さんと試みる。
「うそっ!?」
弾丸に等しい速度で突っ込んでいた少女の軌道が、不自然にズレたのだ。
前足で踏み潰されそうになっていた少女は、前足が自分の頭上にやって来た途端、少女の体が真横にズレた。
そのまま少女は、黒髪を靡なびかせながら巨大生物のこれまた巨大な足に、巨大な斧を振り下ろす。
「いっせーのーでっ」
少女の軽い掛け声と共に振り下ろされた巨大な斧。
その痛みと衝撃に、巨大生物は最初よりも大きい、耳障りな鳴き声で泣いた。