『敦は優しいんだね。そこらへんは心配しなくても太宰さんとは長い間居るから、慣れっこだよ』
初めて表情を変えた○○に敦は少しポカンとしていた。
この少女は滅多に無表情を崩さないのかと思っていたので、予想外だったのだ。
○○は太宰の方を向くと、
『お二人とも、仕事の方は？』
太「あァそうだったね」
敦は○○の言葉に少し緊張しながらも、
敦「あの･･･探偵の皆さんの今日のお仕事は…」
敦の言葉に国木田は眼鏡を上げながら、
国「[太字]”虎探し”[/太字]だ」
敦「……”虎探し”？」
太「近頃街を荒らしている[太字]人食い虎[/太字]だよ。倉庫を荒らしたり畑の作物を食ったり、好き放題さ」
『最近、この近くで目撃情報があったみたいなんだけど＿＿＿＿＿』
ｶﾞﾀｯ
○○がそこまで云った途端、敦が椅子から落ちた。
その顔は驚きと恐怖が混じった様な表情をしている。
敦「ぼ、ぼぼ、僕はこれで失礼します」
立ち去ろうとする敦の後ろ襟を国木田が「待て」と云いながら掴み上げる。
敦はそんな国木田に、
敦「む、無理だ！奴＿＿＿＿奴に人が敵うわけない！」
国「貴様、人食い虎を知っているのか？」
国木田は逃げようとする敦を床に叩きつける。
その様子を太宰と○○は静かに見ていた。
『そろそろ止めた方がいいですかね？国木田さんがやるとほぼ尋問ですよ』
太「そうだねー…止めよっか」
太宰はそう云うと椅子から立ち上がり、国木田に近付く。そして国木田を宥めると、敦の傍でしゃがんだ。○○も太宰の隣に立つ。
敦は俯きながらもポツポツと説明を始める。