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声の届かぬ世界で〜Until the day when I fly my wings〜

#2


その日は辛かった。
朝から昼に続くまでは、授業中に紙や消しゴムのカスを投げられ、
昼ごはんを食べた後は、わざとぶつかってきたり・・・
泣きそうになる気持ちを心の中にとどめ、その日は家に帰った。
華奈「うっ・・・!」
夕日が背中に温もりを与えている。
でも、その温もりが涙を増幅させようと必死にしている。
怒りが、悲しみが、不安が・・・
心の中で、体の中で渦のように巻いている。
耳が聞こえない体を、ここまで恨んだことなどない。
もう、死んでしまおうかな・・・
よし、死のう。
この体になって、良いことなんて全然なかった。
0では無かった。でも、限りなく0に近かった。
割合では表せないほど、0。
そんなことを考えていると、家に着いた。
華奈(家には・・・誰もいない。)
家の扉を開ける。玄関には夕日が差し込み、茜色に染まっている。
華奈(もう・・・いいや。)
リビングに入る。
部屋の中は、電気をつけなくてもまだ明るかった。
右に歩き、突き当たりを左に向くと、キッチンがある。
キッチンの中に入り、包丁を持つ。
華奈(これを・・首に刺すだけ・・・)
両手で包丁を持ち、刃先を首に触れさせる。
華奈(刺すだけ・・刺すだけ・・刺すだけ!)
出来ない。
私には、自殺なんて出来ない。
死ぬことなんてできない。
だって・・・だって・・・
なんでだろう。
なんで死にたくないんだろう。
大切な友達がいるから?違う。
家族がいるから?違う。
理由がない。
多分、他の人もそうなんだろう。
いい大学に入りたい。結婚したい。長生きしたい。
みんなそう思ってるのが表。
でも、本当は理由もなく死にたくないって思うのが、生物の原理なんだろう。
でも、自殺をする人は、なんなんだろう。
私には、何が足りてないの?
決心?違う・・・
生物の掟を破る[大文字]覚悟[/大文字]だ。
私には、足りない。
まだ、足りない。
いつか、足りるといいな・・・

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作者メッセージ

どうも戸部夏実です!
どうも戸部夏実でした!(?)

2024/09/08 12:51

戸部夏実 ID:≫.psyZPMB6Zfrw
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