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病室10号室から、君へ________。

#3


[太字]?「はい。これ。」[/太字]
後ろを振り返ると、癒し系のイケメンがいた。
利「え…あ…あ、ありがとうございます。」
?「にしてもめずらしいですね。図書館に人が来るなんてほとんどないのに。」
そういってくしゃっと笑った。
その瞬間、心臓がどくっとした。
いや、これは心臓病の症状なんかじゃない。
よくわからないまま俺はフリーズしてしまった。
?「大丈夫です?」
利「っあ、全然大丈夫です。心配かけてすみません。」
?「ふふっ。面白い人だね。名前は?」
利「えと…利登です。利用の利に登るの登、って書いて利登です。」
翠「僕は翠隆(すいりゅう)。翠玉の翠に、隆起の隆って書くんだ。」
利「じゃあ…翠って呼んでもいい?」
翠「いいよ。好きなように呼んで。」
翠「うーん…利登って何歳?」
利「俺?俺は17。翠は?」
翠「あれ、年下かと思ったのに。僕は15。」
利「お前、年下かよww」
翠「いや…身長低かったからてっきり同い年か年下かと…。」
利「おい。」
翠「あ、もしかして身長いじられるの地雷?」
利「俺そんな低くないから。172だから。」
翠「僕175だけど?」
利「たった3cmじゃん!」
翠「逆に3cmもあるんだよ~?」
利「うぐっ…。」
翠「ふふっw利登にい、やっぱ面白いね。」
利「そうか?てかなんだよ、その呼び方。利登にいって。」
翠「だって年上だし!なんかこう…兄っぽいっていうか…。この呼び方嫌だ…?」
本当に犬みたいにしゅん、と悲しでいるようだったから仕方なく了承した。

それから本なんて読まずに、翠と話していた。
なんとなくわかったのは、[下線]共通点が結構多いこと。[/下線]
ダンスが好きなこと、静かな場所が好きなこと、音楽が好きなこと…。
だから結構話が合った。
翠「僕たち結構馬が合うね。」
そうやってにこって笑う。
人の笑顔を見るのは久々だ。
翠「…そういえば本読みに来たんじゃないの?」
そういえばずっと膝の上にさみしそうにおいてある、本。
翠と話していたせいか、ずっと放置してしまっていた。
利「そうなんだけど…翠と話すの楽しくて忘れてたw」
翠「僕も。なんか…利登といたら落ち着くし、明るくなれる!」
利「俺も。俺さ、小さいころからここの病院にいるから学校なんて行ったことないし、友達なんて一人もいないから翠と友達になれてよかった。」
翠「そうなの?僕は小学校3年生までは行ってたよ。でもそっから病気なっちゃって、行けなくなっちゃった。」
笑い交じりに言う君。
笑い飛ばそうとしたが、その姿があまりにも切なくて。
利「…つらかったな。」
薄っぺらな情けの言葉を吐き出した。
なんで俺はこんな薄っぺらい言葉しか出てこないのだろうか。
翠「なんでよ~!利登にいの方がつらいでしょうが~!」
そういってまた明るくふるまって。
全部全部切ない。
それと同時にこんな翠を守ってやりたいと思った。
ほぼ初対面で話してるだけの自分が言うのもなんだが、話してる限り、こいつは純粋にもほどがあるレベルで純粋なのだろう。
だから嫌なものを見せたくないと思った。
この世の汚い物や嫌な現実を見せないで、キラキラした世界だけを見せてあげたいと思った。
[明朝体]風になびいた髪とその横顔を見て、ポエムみたいなことを想いながら。[/明朝体]

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2024/10/22 18:44

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