夢を叶えに
●●side―――
『まずは、一次審査自己PRです。』
司会をしているのは、韓国の有名なアナウンサーだ。こういうところからも、改めてこのオーディションの規模の大きさを実感する。
自己PRは、エントリーナンバー順に、5分間自分の得意なことなどを自由に発表するというものだ。
私は、この自己PRであの歌を歌うと決めていた。アイドルになると言う夢を蘇らせてくれたあの歌を…
『続いては、エントリーナンバー27番●●さんです! ●●さんはスタンバイをよろしくお願いします。』
ついに、私の順番が来た。
何十回も練習してきたのに、いざ本番となると、緊張と不安で手足の震えが止まらない。
どうしよう…
私、このまま失敗して終わっちゃうのかな…
止まらない緊張と不安に諦めかけていたその時―――
「頑張って」
聴き慣れた声がどこからともなく聴こえてきた。
えっ、この声は…
私の思考が口からこぼれ出ていたのか、
さっきの声の主は言った。
「今はそんな事いいから。もう始まっちゃうよ?」
「ほら行きな。」と私の背中を押してくれた。
私は、密かに気合を入れて、審査員の方たちの前へ向かって、一歩踏み出した。