明鏡止水、虹は光る。
たくさんの冒険者が出入りするここは、ギルド『ジスキアナ』。
ヤクト王国の中では一番大きいギルドである。
ガレンの家からは歩いて1時間ほど。
わざわざここを訪れた理由、それは────。
ガレン「虹の噂って、知ってるか?」
「虹の噂?」
ギルドの受付嬢は首を傾げ、こう言った。
「レイラさんなら知っているかもしれません。ほら、あそこに───」
受付嬢の指している方向を向くと、小柄な女性が座っていた。
まっすぐな短髪を下の方で結っていて、赤毛を隠すように緑のバンダナをつけている。
強気で中性的な顔立ち、腰に付いているナイフ。
ニヤッと笑った口元に酒を流し込んでいるその姿は、海賊船の船長を連想させた。
ガレン「ありがとう。」
それだけ受付嬢に告げて、レイラと呼ばれた女性に話しかける。
ガレン「なぁ、虹の噂って知ってるか?」
「あ“ぁ?」
すぐさまドスの聞いた声で返される。
そりゃそうか、と思いながらもダメ元で頼んでみる。
ガレン「いや、知ってたら何か教えて欲しいと思って…」
「…へぇ、お前も宝狙い?」
酒瓶をドンっとおいて威圧されるが、怯まず話し続ける。
ガレン「…宝?」
「虹の噂って言ったらそれが有名だろ。知らねぇのか?」
ガレン「俺が知ってるのは虹の根元の話だが」
「虹の根元…?あぁ、あの噂ね。」
何かを企んでいるように足を組み直し、机に肘をつく。
「よし、交渉しよう。虹の根元の噂をあたしの知ってる限り話す。その代わり…」
「あたしの部下になれ。」
ガレン「はぃぃ??」
予想外のことを言われて、間抜けな声が出る。
「あたしは『虹の宝』狙いなんだ。そのために前のパーティーを抜けてきた。どうせ目的地は同じだし、お前が部下になった方が手っ取り早いってワケ!」
ガレン「…なるほど……よし、組もう。」
「ものわかりいいな、お前。」
グビグビと酒を煽りながら、片手を差し出してくる。
「あたしはレイラ。Lv.25の[漢字]盗賊[/漢字][ふりがな]シーフ[/ふりがな]さ。以後、よろしく。」
ガレン「俺はガレンだ。職業は[漢字]治療師[/漢字][ふりがな]ヒーラー[/ふりがな]でLv.32。よろしく。」
差し出された片手を握る。
新たな旅の、始まり。