[中央寄せ][太字]「美味し～っ!!」[/太字][/中央寄せ]
「悪くないな」
キアクの作った料理がテーブルいっぱいに並ぶ。
マシロちゃんは、ずぅ～っとキムチマヨ冷やし中華を食べている。
トウカさんは、お酒に弱いらしく、ずっとリオンさんにひっついてうざがられている。
(やっぱりキアクの料理は美味しいな～)
現実世界に戻るつもりなんてない。一生この三つ星シェフ顔負けの料理を食べて暮らしたい。
(私は、どうしてここに来たんだ…？)
エナドリ飲んで、ラノベ読んで寝落ちして～…
「…」
「ルカちゃん、どうしたの？」
ライくんが、掃除機か？ってくらいの勢いでキムチマヨ冷やし中華を吸い込みながら、心配してくれた。
(ま、いっか～っ！)
「なんもないよ、ごめんね!私もキムチマヨ冷やし中華食べる～っ」
みんなでワイワイやってるなか、機材コード抜きニキのアルさんだけ暗い顔をしている。
(…やっぱ、気にしてるのかなぁ)
「ちょっとジュース飲みたくなってきたから、買ってくるね！アルさん、付き合ってくれる？」
「…！…あぁ」
賑やかな市場について、飲み物を選ぶ。
「ぶどうと～、オレンジと～、あとサイダー？アルさん、そこのメンバーはどれがいいとかある？」
[小文字]「…悪かった」[/小文字]
「？」
「悪かったって言ったんだ。機材コード抜いたりして…」
(意外と、話せば分かるタイプ…？)
「ま、別にいいんじゃない？みんなアルコールで気にしてないって！」
「帰ったら、ちゃんと謝る。」
「そっか！また路上ライブでも一緒にやろうよ！」
「ルカって、良い奴だけどアホだよな」
「え、急にひどっ!!この機材コード抜きニキ！」
「語呂いいの腹立つな…」
2人でジュースの瓶を抱えて、家に帰る。
「あ、ルカ帰ってきたぁ～っ!!」
と、いきなりメロメロモードのアイナちゃんが抱きついてきた。
(え!？)
「えっと、アキくん…これは…？」
「アイナが全然飲まなかったのを、トウカさんが煽ったからだよ」
(えぇ～、めんどくさ～…)
「アイナちゃん、水飲んで！ほら」
「…フォアドリの4人…悪かった。機材のコード抜いたりして、邪魔して」
「今更？まぁ、面白い演出できたしいいんじゃない？」
「斬新で意外と好きですよ、あれ」
「ていうか、アルあんた意外と良い奴じゃない～っ」
(なんかこのテンションのアイナちゃん嫌だな…)
「2人でさ、また10人みんなで一緒にライブしたいね！って話してたんだ」
「これからは、路上ライブのときも積極的にコラボしたいね」
「ルカさんとキアクさんに作詞の依頼したいです」
まさか、ライバルバンドとこんなふうに仲良くなれるなんて思ってなかった。
バンドも、歌も、作詞も、普段の生活も全部楽しい！
(絶対、音楽祭で優勝してやるーっ!!)
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