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月白の魔法使い様

#11

第一章『月白の魔法使い様』十一話『暴走した脳』

アリス・ファーレイトside

あら、ここの主人公奪っちゃいそう()
おっほん、失礼。

翌日、私はカイから渡された小さな紙を持って、ランヌの家に行った。
ランヌの家には、ウトトも住んでいるらしいが、今日はお仕事で留守。私はウトトに家事も頼まれている。不器用な私に頼んで、後悔するなよ。

とは言っても、小さい紙にはたった一言しか書かれていないのである。何度紙を見ても、全く頼りにならない。

そこにある紙の内容は、
『薬 新 粉』と書かれていた。
はあああ???なんですか、花粉ですか??新しい花粉???いやですね〜、花粉症に失礼すぎる。

ランヌの家の玄関前までついた。すでにウトトからこの家の鍵をもらっている。私は鍵で玄関のドアを開けた。

中は薄暗く、人は出入りしていなさそうな空間だった。
だが、一つだけ光が漏れている部屋があった。私はそこのドアを開けた。すると…

ランヌ『…え、アリスちゃん。』

そう、そこには不思議そうな顔をしていて、両手には本を持っているランヌがいたのだ。彼は柔らかそうなベッドで起き上がっている。

彼の容姿は、5年前とは驚くほど違った。とても太いレンズの眼鏡をかけているのにも関わらず、特徴的なコンタクトもつけている。さらには、ピアスも大きくなっていたり、ネックレスやチョーカーも着こなしていたのだ。

だが全てファッションじゃない。これは健康のための、ランヌのためのものなのだ。

私は元気よく声をかけた。

アリス『やっほランヌ!遊びに来ちゃった!』

ランヌ『はぁ、鍵を持っているということは、ウトトはこれを知っているな?』

アリス『うん、許可取ってあるよ。』

ランヌ『アリスちゃん。今日はどうしたの?』

元気がなさそうな声で私に聞く。やっぱり、調子もだんだんと悪くなってきている。そのスピードは加速し続けているのだろう。明らかな元気のなさに驚く。

私は要件を話し始めた。

アリス『カイに頼まれたの。今度Sランク昇格試験があるんだけど、そこで第2回目の審査の時の審査長をお願いできないかなって。』

そう言い切ると、ランヌは驚いた表情で話し始めた。

ランヌ『できればやりたい。だが、この状態ではできない。暴走した脳の制御ができないから、人の感情や心の中が読めてしまう。』

ランヌ『しかも試験は人がたくさんいるんだろ?膨大な知識量で、俺の状態が更に悪化する。』

アリス『…私はランヌにしかできないと思うな。』

ランヌ『なんで?』

ランヌは暗い表情で私に喋りかける。きっとこの状況でも辛いのだろう。そんな気持ちだろう。

私は気持ちが読めないけれど、わかる。いつも、一緒に行動してきた仲間だからこそ。

だから、ランヌにしかできないんだ。

アリス『第2回目の試験内容は、面接。』

ランヌ『ひとりひとりのやつだな。あれも、キツイんだよなぁ。』

アリス『…それには条件があるの。』

私はカイに言われたことをしっかりと話した。

アリス『その面接、ランヌは一言も喋らなくていいよ。』

アリス『喋らなくても判別できるんじゃない?ランヌだったら。』


ランヌ『…俺のこのぶっ壊れた脳を上手く利用したいって?』

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作者メッセージ

読んでいただきありがとうございます…!
続きもよろしくお願いします…!

2024/10/23 19:06

縺薙≠繧九s ID:≫9820tLSVMWUTw
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