碧と霞は当たり前かのようにビルの中に入っていく。
そんな二人の背中を構成員は綺麗な姿勢で見送る。そして思う。
”この組織は何分くらい持つかなあ”と。

突如現れた二人に、中にいた組織の下っ端たちが騒ぐ。
碧「うるせぇうるせぇ、黙ってろ」
霞「嫌だなぁ……」
碧は足元に風を生み出し、瞬きの間に下っ端を斬り伏せていく。
霞は銃を持つ下っ端の中に突っ込んでいき、日本刀を心臓に突き刺していく。
すると、霞の上から巨大なハンマーを持った大男が現れる。
大男はハンマーを真っ直ぐ霞に振り下ろし、
霞「(間に合わないかなあ……)」
霞の体がハンマーに潰される。
すると、
霞「この距離なら外さないかなっ」
大男の心臓を銃弾が貫いた。
碧「お前の能力はいつも肝を冷やすな！」
霞「自動発動だから別に怯えなくてもいいよー」
霞の能力【リセット】。
自分が死ぬその数秒前に限り自動的に使用される能力。自分が死ぬという事実がリセットされ、その戦いなどがもう一度行われる。いわゆる巻き戻しだ。ちなみに人に使用することもできる。
霞の方を見ていた碧の背後から下っ端が刀を碧に振り下ろす。
「余所見すんなよっ‼」
碧「してても勝てるんだからしてんだよ。お前ら如きにナイフを使うまでもねぇな」
碧はそう言って人差し指をくるりと回した。
その瞬間、下っ端の体が斬り刻まれた。
碧の能力である【[漢字]天津風[/漢字][ふりがな]あまつかぜ[/ふりがな]】。
風を自在に操れる。自分で生み出したり、自然発生した風も操れることもできる。強さも自在だ。
30人程いた筈の1階は、碧と霞を残し全滅。その時間はたったの5分。