「どうしたの。アーニャちゃん、うわの空よ。」

ベッキーに聞かれてはっと気が付くアーニャ。

食堂のテーブルの上で美味しそうなオムライスが冷めそうになっている。

「ベッキー。ダンスの誘いって何？」
「ああ。そのこと考えてたのね。今回の舞踏会、好きな人とかにダンスの誘いをして踊ってもらうと一生結ばれるっていう言い伝えがあるのよ～。ロマンチックだよね！」
「ほう。？」
「アーニャちゃんは相変わらず、そういうことに興味がなさそうね。」

（やれやれ、あいつが苦労するわけね～。）

（あいつ？）

ベッキーの心を読んだアーニャが首をかしげる。

「あの、アーニャ・フォージャーさんですか。」　
「？　アーニャだけど…。」

ぽかんと見上げると、銀髪の綺麗な青年が立っていた。

「よろしければ、ダンスの誘いを受けてくれませんか。」
「むっ！？」

ほうばっていたオムライスを詰まらせそうになったアーニャ。

「どうするの。アーニャちゃん！？」

目をキラキラさせながら聞いてくるベッキー。

周りには、いつの間にか人が集まっている。

「うお。あの有名なアーニャ嬢に告白してるぞ。」
「マジか。」
「相手は、あの有名な軍用会社の御曹司、ライト・エルイットじゃね。」
「でもフォージャーさんって、デズモンドさんと付き合ってるって噂になってたけど。」
「えっ、うっそ、じゃあ二股？」