終わらない物語を終わらそう
その場を去ろうとしたクルトガは後ろから何かの気配を感じた。
振り向くと、
「おやおや、アナタもですか」
王子様とお姫様がいれば、それを守る騎士もいる。
彷徨える物語がまた一つ、自分も終わらせてほしそうに光り出した。
『昔々一人の騎士がおりました。どんな使命も実行させる騎士は、その実力を評価されてお姫様の護衛に就くことになりました。────』
物語はここで終わっている。
「なるほど、キミは先程のお姫様の護衛をしていたんだね」
こんな話はどうかな、と筆を走らせている途中で、足元に落ちている物体が目に止まった。
「これは……」
手の動きを止めてそれを拾い上げると、見た目こそ劣化しているが、確かに剣だ。
いや、剣だった物だ。
錆びれたそれは今は役目を終えている。
「せっかくだから、キミも登場させてあげるよ」
面白い展開に出来そうだ、とクルトガは笑みを浮かべながら続きを書き始めた。
『昔々一人の騎士がおりました。どんな使命も実行させる騎士は、その実力を評価されてお姫様の護衛に就くことになりました。しかし、優秀さ故に命令とあればお姫様の命でさえ奪うことに何の迷いもありませんでした。騎士の手にはお姫様の胸を突いた血に染まった剣が握られていましたとさ。めでたしめでたし。』
物語の残留思念はすーっと弾けるように散り、剣だった物も風化が酷かったからか風と共に散っていった。
「あーあ、手が汚れてしまったよ」
手をパンパンと払い、クルトガは次の目的地へと向かったのだった。
振り向くと、
「おやおや、アナタもですか」
王子様とお姫様がいれば、それを守る騎士もいる。
彷徨える物語がまた一つ、自分も終わらせてほしそうに光り出した。
『昔々一人の騎士がおりました。どんな使命も実行させる騎士は、その実力を評価されてお姫様の護衛に就くことになりました。────』
物語はここで終わっている。
「なるほど、キミは先程のお姫様の護衛をしていたんだね」
こんな話はどうかな、と筆を走らせている途中で、足元に落ちている物体が目に止まった。
「これは……」
手の動きを止めてそれを拾い上げると、見た目こそ劣化しているが、確かに剣だ。
いや、剣だった物だ。
錆びれたそれは今は役目を終えている。
「せっかくだから、キミも登場させてあげるよ」
面白い展開に出来そうだ、とクルトガは笑みを浮かべながら続きを書き始めた。
『昔々一人の騎士がおりました。どんな使命も実行させる騎士は、その実力を評価されてお姫様の護衛に就くことになりました。しかし、優秀さ故に命令とあればお姫様の命でさえ奪うことに何の迷いもありませんでした。騎士の手にはお姫様の胸を突いた血に染まった剣が握られていましたとさ。めでたしめでたし。』
物語の残留思念はすーっと弾けるように散り、剣だった物も風化が酷かったからか風と共に散っていった。
「あーあ、手が汚れてしまったよ」
手をパンパンと払い、クルトガは次の目的地へと向かったのだった。
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