【参加終了】無くした記憶と宝探しの旅
誠「義人!?」
義人「うわぁぁ出たぁ!?」
転がる義人を叫びに近い声で呼び止めると、顔面に病院用のスリッパを投げられた。まぁ見事にクリーンヒット。あたしの反射神経、詰んでるわ。
「義人君、確保!!!」
その隙を逃すことなく看護師さんは彼の上にまたがり、義人の動きを静止させる。『重い…』と失礼なことを漏らした義人は、彼女のこめかみを少しぴくっと動かすだけで済んだようだ。
誠「うおぁっ!?」
ジタバタ暴れる義人の近くへ寄るとあたしの姿を認識したのか、急に泣き出しそのまま体にしがみついてきた。いや、寄りかかってきたと言った方が正しいか。
彼の力の弱さが、あたしが忘れた記憶の重みを物語っていた。
義人「誠ぉ……俺生きてたぁ…みんな生きてたぁ…親は死んでるけど…」
なんで脱走したの。本当にごめんなさい。生きててよかった。思い出したよ。アホ。大丈夫?
言いたいことは山ほどある。けど、これだけは伝えたかった。
誠「やっと、会えたぁ……」
義人「本当にな……ここまで長すぎだろ…」
その後すぐ車椅子がやってきて、久々の移動で体力筋力ともに限界な義人は抵抗することなくそれに乗り、病室に運ばれていった。
何年もずっとベットの上。チューブから栄養をとり、意識の境目を彷徨い続けた義人にとっては動けないほどの疲労だ。というか、よくあんなに動けたな。
[水平線]
それからあたしは、毎日義人のお見舞いに行った。記憶の中の義人が好きと言っていたお菓子とたくさんのお土産話を持って、一日15分。記憶の世界にいた義人とは違い昏迷中の記憶はあるようで、院内学級の話や最近できた病院内の友人の話など、たまに白熱しすぎて30分くらいいることもあった。
筋力がだいぶ落ちてしまい、体はあまり動かないが口だけは達者。流動食から徐々に慣らしていって、最近は普通の食事を大量に食べるようになったそうだ。
それから、あたしの親のこと。
義人の見舞いへ行こうとすると、毎回あたしを必死で止めてくる。家に帰ってからの父と母は、基本あたしを放置しているのに。
最近、彼らは遅くまで何か話し込んでいるようだった。早寝早起き信者の二人が、日付が変わるまで起きている。
最初はケンカかなーと思っていたが、あのヒステリックで有名な母の声色が焦りで揺れている。会話内容までは聞き取れなかったが、あたしが義人の見舞いに行くことだろうか。
どうして、私の両親は、メモーリアに記憶を消してと頼んだのだろうか。
どうにも気になってしまい、今日の夜父と母の会話を盗み聞きすることを決めた。
義人「うわぁぁ出たぁ!?」
転がる義人を叫びに近い声で呼び止めると、顔面に病院用のスリッパを投げられた。まぁ見事にクリーンヒット。あたしの反射神経、詰んでるわ。
「義人君、確保!!!」
その隙を逃すことなく看護師さんは彼の上にまたがり、義人の動きを静止させる。『重い…』と失礼なことを漏らした義人は、彼女のこめかみを少しぴくっと動かすだけで済んだようだ。
誠「うおぁっ!?」
ジタバタ暴れる義人の近くへ寄るとあたしの姿を認識したのか、急に泣き出しそのまま体にしがみついてきた。いや、寄りかかってきたと言った方が正しいか。
彼の力の弱さが、あたしが忘れた記憶の重みを物語っていた。
義人「誠ぉ……俺生きてたぁ…みんな生きてたぁ…親は死んでるけど…」
なんで脱走したの。本当にごめんなさい。生きててよかった。思い出したよ。アホ。大丈夫?
言いたいことは山ほどある。けど、これだけは伝えたかった。
誠「やっと、会えたぁ……」
義人「本当にな……ここまで長すぎだろ…」
その後すぐ車椅子がやってきて、久々の移動で体力筋力ともに限界な義人は抵抗することなくそれに乗り、病室に運ばれていった。
何年もずっとベットの上。チューブから栄養をとり、意識の境目を彷徨い続けた義人にとっては動けないほどの疲労だ。というか、よくあんなに動けたな。
[水平線]
それからあたしは、毎日義人のお見舞いに行った。記憶の中の義人が好きと言っていたお菓子とたくさんのお土産話を持って、一日15分。記憶の世界にいた義人とは違い昏迷中の記憶はあるようで、院内学級の話や最近できた病院内の友人の話など、たまに白熱しすぎて30分くらいいることもあった。
筋力がだいぶ落ちてしまい、体はあまり動かないが口だけは達者。流動食から徐々に慣らしていって、最近は普通の食事を大量に食べるようになったそうだ。
それから、あたしの親のこと。
義人の見舞いへ行こうとすると、毎回あたしを必死で止めてくる。家に帰ってからの父と母は、基本あたしを放置しているのに。
最近、彼らは遅くまで何か話し込んでいるようだった。早寝早起き信者の二人が、日付が変わるまで起きている。
最初はケンカかなーと思っていたが、あのヒステリックで有名な母の声色が焦りで揺れている。会話内容までは聞き取れなかったが、あたしが義人の見舞いに行くことだろうか。
どうして、私の両親は、メモーリアに記憶を消してと頼んだのだろうか。
どうにも気になってしまい、今日の夜父と母の会話を盗み聞きすることを決めた。