【参加終了】無くした記憶と宝探しの旅
『……すまん、一気に全員は難しい。人外に変わってしまった者が帰るのは、もう少し後になるだろう』
誠「えっ、そうなの!?ってか、なんでみんな人外に!?」
肝心なことを聞けていなかったことを思い出す。そういえば、この世界に人間って義人とあたしくらいしかいなかったわ!
すると、メモーリアは眉を寄せて口を開いた。
『この世界の構造上、記憶を失ってこの世界へやってきた者は人類として生存できる。たまに外の世界へ繋がる扉があるのだが──お前たちが見た黒い物体だな。それに巻き込まれて迷い込んできてしまった者は、人類としての記憶を保持し、人類としてこの世界で生きることはできない。これは神の力を持ってしても、変えることはできん』
誠「だから……」
『あぁ。我は神と言えどもこの世界の管理人にすぎん。ここの管理人になる前にことも、覚えておらんのじゃ。すまん』
説明があやふやで、あまりよくわからない。が、彼女自身も知らないことが多いのだろう。これくらいで、一旦尋問はストップ。
誠「……わかった、絶対みんなは戻るんだよね?」
『約束しよう。お主がここへ移動する少し前からちょうど1ヶ月後の午後4時27分、彼らは絶対元の世界へ戻る』
メモーリアはこちらを見て、微笑んだ。威厳、申し訳なさ、神々しさ──全てを併せ持つ、美しい笑顔だった。まぁ、到底許す気は起きないけど。
誠「場所は?」
『彼らを攫った場所と同じ、ウラヤマ?の野いちごのあたりじゃ。キヲクの欠片を保持していれば、いつでもここを人の状態で出入りできる』
ポケットの中にある、キヲクの欠片。あたしをここまで導いてくれた宝物をそっと握りしめる。
背の高いメモーリアをきっと睨むように見つめると、彼女は堂々とした立ち振る舞いであたしの頭の上に再度手をかざした。
『如月義人は、病院のベットの上で目を覚ますだろう。ここでの記憶を保持したまま、な』
誠「見舞いに、行かないと……さ、早く」
『あぁ』
今度こそメモーリアの手元に淡い光が集まり、ぼぅっと音を立てて弾ける。視界が、淡色に染まっていく──。
[水平線]
面前に、玄関先の棚の角が迫ってきている。
誠「でぎゃばっ!?」
咄嗟に体を捻らせると、脇腹のあたりを棚に強打した。すごく痛い。結構痛い。しばらく痛みに悶えていると、そこが自分の家の玄関であることを思い出した。
リビングから、私より深い緑色の髪をもつ母が顔を出す。見慣れた顔だ。
「ちょっと、誠大丈夫?」
誠「……戻って、きた…」
「はぁ?」
誠「よっしゃあ!!!!!戻ってきたぁ!!!!」
近寄ってきた母に思いっきり抱きつくと、そのまま喜び全開で転げ回る。嬉しい。帰ってきた。日本だ。
ふと、我に帰る。あたしが戻ってきたってことは、義人の意識も戻って──
「どうしたのよ!あんた、転けた拍子に頭でも打ったの?」
誠「頭はきっと大丈夫!!!!ちょっと、義人のとこ行ってくるわ!」
玄関を突き破る勢いでドアノブを掴む。義人の入院先は確か[漢字]開成[/漢字][ふりがな]かいせい[/ふりがな]医療センター。ここから自転車で10分!
「行かないで!」
母の鋭い声が、興奮状態のあたしをサウナ後の水風呂のように冷やして行った。振り返ると、鬼のように必死の形相の母が私の腕を掴んでいた。
誠「えっ、そうなの!?ってか、なんでみんな人外に!?」
肝心なことを聞けていなかったことを思い出す。そういえば、この世界に人間って義人とあたしくらいしかいなかったわ!
すると、メモーリアは眉を寄せて口を開いた。
『この世界の構造上、記憶を失ってこの世界へやってきた者は人類として生存できる。たまに外の世界へ繋がる扉があるのだが──お前たちが見た黒い物体だな。それに巻き込まれて迷い込んできてしまった者は、人類としての記憶を保持し、人類としてこの世界で生きることはできない。これは神の力を持ってしても、変えることはできん』
誠「だから……」
『あぁ。我は神と言えどもこの世界の管理人にすぎん。ここの管理人になる前にことも、覚えておらんのじゃ。すまん』
説明があやふやで、あまりよくわからない。が、彼女自身も知らないことが多いのだろう。これくらいで、一旦尋問はストップ。
誠「……わかった、絶対みんなは戻るんだよね?」
『約束しよう。お主がここへ移動する少し前からちょうど1ヶ月後の午後4時27分、彼らは絶対元の世界へ戻る』
メモーリアはこちらを見て、微笑んだ。威厳、申し訳なさ、神々しさ──全てを併せ持つ、美しい笑顔だった。まぁ、到底許す気は起きないけど。
誠「場所は?」
『彼らを攫った場所と同じ、ウラヤマ?の野いちごのあたりじゃ。キヲクの欠片を保持していれば、いつでもここを人の状態で出入りできる』
ポケットの中にある、キヲクの欠片。あたしをここまで導いてくれた宝物をそっと握りしめる。
背の高いメモーリアをきっと睨むように見つめると、彼女は堂々とした立ち振る舞いであたしの頭の上に再度手をかざした。
『如月義人は、病院のベットの上で目を覚ますだろう。ここでの記憶を保持したまま、な』
誠「見舞いに、行かないと……さ、早く」
『あぁ』
今度こそメモーリアの手元に淡い光が集まり、ぼぅっと音を立てて弾ける。視界が、淡色に染まっていく──。
[水平線]
面前に、玄関先の棚の角が迫ってきている。
誠「でぎゃばっ!?」
咄嗟に体を捻らせると、脇腹のあたりを棚に強打した。すごく痛い。結構痛い。しばらく痛みに悶えていると、そこが自分の家の玄関であることを思い出した。
リビングから、私より深い緑色の髪をもつ母が顔を出す。見慣れた顔だ。
「ちょっと、誠大丈夫?」
誠「……戻って、きた…」
「はぁ?」
誠「よっしゃあ!!!!!戻ってきたぁ!!!!」
近寄ってきた母に思いっきり抱きつくと、そのまま喜び全開で転げ回る。嬉しい。帰ってきた。日本だ。
ふと、我に帰る。あたしが戻ってきたってことは、義人の意識も戻って──
「どうしたのよ!あんた、転けた拍子に頭でも打ったの?」
誠「頭はきっと大丈夫!!!!ちょっと、義人のとこ行ってくるわ!」
玄関を突き破る勢いでドアノブを掴む。義人の入院先は確か[漢字]開成[/漢字][ふりがな]かいせい[/ふりがな]医療センター。ここから自転車で10分!
「行かないで!」
母の鋭い声が、興奮状態のあたしをサウナ後の水風呂のように冷やして行った。振り返ると、鬼のように必死の形相の母が私の腕を掴んでいた。